春ですね!
春と言えば大塚のサーキットイベントがあるんです。
春と秋に開催されるYOIMACHIというイベント。2016年秋から開催されており、大塚駅周辺のライブハウスを中心にロックバンドもアイドルユニットもヒップホップアーティストも網羅したラインナップ!

最近は別のサーキットイベントであるフェスボルタ界隈のアーティストもなだれ込んできて、毎回毎回混沌としたタイムテーブルに驚かされます。
ちょうど丸一日参加してきたので、見てきたアーティストたちを書いておきたいと思います!


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十四代目トイレの花子さん

昼前からスクリーム!轟くツーバス!血まみれ衣装でヘドバン!
衣装に合わせて真っ赤なランドセルを背負った可憐な女の子がハイスピードデスメタルを歌いこなす姿は恐ろしいギャップだった。
そしてこの時間帯に彼女をもってきた運営の悪ふざけ感がすごい(褒め言葉)。
恒例のトマトジュースを撒くパフォーマンスも。前列は花子さんとおそろいの血まみれになれる。
MCから察したオタクたちが前に行ったり後ろに行ったり、自然と選別されていくさまが面白い。



otori
東京のオルタナ、ポストパンクと言えばこの方々。
オワリカラのツダさんがベースとして加入してから結構経ってしまったけれど、ようやく観ることが出来た。
楽器隊のミニマルで骨太なグルーヴに、紅一点でヴォーカルが妖しげに舞うさまは、呪術の儀式を見ているかのような洗練された空間だった。グルーヴに乗せられているうちにどうにかなってしまいそう。



しずくだうみと可愛いカニ
ギター、ベース、ドラム、キーボードが集まった初披露のバンド編成。全員着席していて、静かで厳かな雰囲気。ピンと張り詰めたような緊張感というよりも、柔らかく会場を包み込むような温かさがあった。もはやこれが母性か。

それにしてもなんだこのバンド名!笑 という印象とは裏腹に、歌に真摯に寄り添ったアレンジが光る。
ダイナミクスのなめらかな変化を聴きながら、だうみさんの歌にはいっそオーケストラとか合うんだろうなぁとも考える。低音も高音もそれぞれの引力があって、何度聴いても素敵。こういう歌声の方、そうそういらっしゃらないよな。
最後に披露された「忘れる」の鍵盤がすごくセンチメンタルでたまらなかった。






イロメガネ
アコギ二本と歌でのアコースティック編成。
"大切な曲" という前置きを必ずしてから演奏するバラード「私のニュース」はアコースティックになっても……いやアコースティックだからこそ、一対一で歌と対峙している感覚があって、歌の覇気に心が持ってかれるようだった。
ゲストとして招かれた中平さん(中平jim智也 I love you Orchestra等)のアコギがとにかく情熱的。「大好きよ」の沸々とした熱量がアコギ一本で醸し出されるさまはアコースティック編成ならでは!



SAKA-SAMA
六人組Lo-Fiドリームポップアイドル。
前々から気になっていたユニットなのだけど、やっと見る機会に恵まれた。嬉しい。
幕が開けて最初の曲が「朝日のようにさわやかに」。
細かいドラムフレーズから、広大な歌い出しで一気に宇宙まで吹き飛ばされた。衝撃。

嵐を 巻き起こす いま 星は輝く
死んでいた時間たち 取り戻すため進む
Movin’on

Lo-Fiというと宅録的なこじんまりしたイメージを勝手に抱いていたのだけど、冒頭数十秒で圧倒されてしまった。
全員キラキラしてらっしゃる。。ツイッターでも書いたのだけど、特にあいうえまし子さんの表情の変化に目が離せなかった。振り一つ一つでコロコロと表情を変えていく細かさ。なんというか、えらい。すごい。





NaNoMoRaL
元々別のアイドルグループで活動していた、雨宮未來のソロユニット。
ソロユニットとは言っても、プロデューサーでありトラックも手掛けている梶原パセリちゃんもステージに上がって、さながら男女ツインヴォーカルユニット。

雨宮未來さんに対してすごく柔和なイメージを持っていたのだけど、アッパーな曲調でガンガンお客さんを煽っていく姿を目の当たりにしてめっちゃ成長してる!と感動してしまった。歌い方もパワフルになって、さながらガールズロックバンドのヴォーカルのよう。
神聖かまってちゃんとかニガミ17才とかを思い起こすようなパセリちゃんの歌もカッコ良い。



ぎゅうにゅうとたましい
YOIMACHI恒例の一曲入魂アクト。
お茶目でエグみのあるトラックをふにゃんと乗りこなす男性ラッパー。
余計にカッコつけるわけでもなく、ただ日々の生活や思ったことを歌うという文字通り等身大な姿に惹かれるものがあった。リズムに乗って心地良くブログを読んでいるような感覚。音楽ってそういうものだよな。とも思ったりもする。






ez do dan子
三人組アーバンポップユニット、Urban Drive Familyのメンバー。今回はソロでの参加ではあるけれど、同ユニットメンバーでありez do dan子のトラックメイキングも担当している簾ンデゲオチェロがベースで参加。
繊細なフックと淡い歌声のラップ、浮遊感のあるトラックにたゆたうさまは真っ暗な海を泳ぐクラゲのように神秘的だった。

君が思ってるよりも
僕は君に興味があるよ
僕は君に興味がある
なに話してくれてもとっても嬉しい

人柄が存分に表された歌が好きだ。これは「ハッピーアワー」という曲。
歌の上では誰も拒まれることなく平等であり、"興味がある" という一言だけで相手を認めるやわらかさがある。






グーグールル
THERE THERE THERES(解散しちゃったけど)やMIGMA SHELTERなどが所属するAqbiRecのアイドルグループ。
YouTubeでたまたま「Picked」のMVが公開されたときに見たのだけど、シリアスなシンセにライブハウス映えしそうな圧を感じて観に行った。
会場はびっしり埋まっていて、自分のいた後方では諦めて帰ってしまう人もいるほど。今回見たステージでは一番の大入りだった。
そしてなによりも激しいフロア!前列は右へ左へと大移動し、モッシュに近いぐちゃぐちゃに揉まれる人たちの掲げられた手の向こうからステージライトの差す光景がすごく美しかった。
それを率いるのがステージ上の六人。柵に乗り出して煽る熱量にフロアも応え、どんどん激しさを増していくようなシナジーの強さがあった。
演者が見せる景色と観客から見せる景色の相互作用、やっぱりアイドル現場ならではの面白さ。

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riyo(Koochewsen)
YOIMACHIにはライブハウスに縛られず街の特性を生かした面白いステージが毎回あるのだけど、今回はお風呂ステージとバスステージ。
ロックバンドKoochewsenのフロントマン、riyoのステージはごくごく普通のバスの中!
運転席と後部の一段上がっているところとの間のフロア(と言ってしまっていいのか)に、機材が並べられて、後部座席に抽選で当たった20名ほどの観客が座ることが出来る。

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このブログでもちょうどソロ作品についてのインタビューをさせていただいたばかりで、夜が似合うようなチルい雰囲気という印象だった。

大塚駅周辺を周遊するような道のりでゆったりとバスが進むなか、ルーパーを駆使してリバービーでゆったりした曲が目の前で構築される。ごとごとと揺れる車内で音楽がじんわりと満ちていく感覚。水滴が落ちた波紋を延々と眺めているようだった。
最後の曲「作られた歌」が披露されたのはちょうど夕暮れから夜に変わっていくタイミング。

人に作られた社会 社会に作られた僕
僕に作られたこの歌
左のビルも 右のアリクイも ほらほら

オレンジからゆったりネイビーに街の色が変わっていき、ビルや車や社会のど真ん中を周遊しながら聴いたこの歌はしばらく忘れることは出来ないだろう。



井乃頭蓄音団アコースティック
ドラムレス、バンジョーやマンドリンも導入したアコースティック編成。
このイベントの前日にはちょうど下北沢CLUB Queにてワンマンライブが開催されており、ちょうど自分もそこに行ってきたばかりだった。前日に見たような顔も多く並ぶなか、きっとそれに配慮してくれたのであろう、ワンマンでは披露されなかった過去曲も合わせて演奏してくれた。

フル編成よりもカントリー色が抽出されたアンサンブルで、「ようこそ我が家へ」や「ヘイヘイマイマイ」など、楽曲本来の持つあたたかみを存分に引き出したような感覚。松尾さんの歌もよりパーソナルに人間味そのまんまが溢れたよう。
最後に披露されたのは初期の名曲「デスコ」!久しぶりの演奏だったらしいけれど、いのちくの持つ良い悪ふざけの代名詞のようなこの楽曲。



Koochewsen
ゲストベーシストとしてHelsinki Lambda Clubから稲葉航大を迎え、正規メンバー三人がそれぞれフロントに着くセッティング。テクニカルなドラムが前方で観られるのは嬉しい!

先ほどと同じインタビューでも、Koochewsenのネクストステップとして「Your TV」が挙げられていたけれど、ギターを手放してラップをキメる「セクシーホモサピエンス」から同じくキックを効かせたラップチューン「Your TV」に繋がる流れこそ、これからのKoochewsenの指標だったのではないか。早く新曲を聴いてみたい!






オワリズム弁慶
YOIMACHIに来たら観ておかないと!という個人的風物詩。
金管木管網羅したホーン隊はもちろん、ダンサーや弁慶(真ん中にずーっと立っていらっしゃるだけ)も含め総勢25人の移動型ジャパニーズフェスティバル要塞。なんというか、暴力という褒め言葉が良く似合う。統率をどう取っているのかすら謎。
新メンバーとして加入したタケダエイカのヴォーカルや立ち振る舞いがカッコ良くてびっくり!
「大飢饉」ではバンドから振る舞いフードが配られ、塩焼きそばをみんなで食べながら踊るという混沌が繰り広げられる。ステージもフロアも目が離せない要素が多すぎて、毎回その情報量に圧倒される。





以上です!
結局10時間近くも大塚をうろうろしていたよ……!

年二回でこの規模を継続するのは本当にすごい!
過去にも都電を使ったステージがあったけれど、今回もバスや銭湯を使ったステージがあったりと街に根差したフェスってそれだけであたたかい特色があって素敵。
そのうち駅前広場で無料野外ステージなんか出来たら最高だよね!

個人的にはez do dan子さんがベストアクトでした。
いわゆるクラブなどでのヒップホップイベントとは違うシーンとして、ライブハウスからヒップホップを取り入れたバンドやユニットが盛り上がってくるところが最近面白いです。
彼女はその中でもフロウと声の相性がぴったりで、ふんわり軽やかなラップが心に沁みます。
ez do dan子さんはちょうど本日(4/17)「ハッピーアワー」という楽曲が各種サブスクで配信リリースされたので、ぜひ合わせてチェックしてみてもよいかと!