新年あけましてそれなりに経ちましたがいかがお過ごしですか?
しっかり日常に戻ってしまいましたか?そういや餅すら食べてないわ。

2018年ベストをまとめないと落ち着かなくなってきたので、まとめました。



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今年も10枚選びました。
この曲良い!!という驚きが毎年あるの、音楽すごすぎないすか。

!注意! 

・邦楽に限りました。但し、インディーズ、メジャーは問いません。

・順不同です。

・シングルもアルバムもひっくるめます。



Mom
「PLAYGROUND」

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レゴやプラレールやシルバニアファミリーのような箱庭的世界観をロマンチックに拡大させ、それがすでにこの一枚でMomの魅力として確立されている。
彼のやりたいオリジナリティ(クラフトポップ)とそのセンスの相性たるや!

スキットとして差し込まれる「45 Seconds Daydreamin'」がすこぶる良い。
単純な弾き語りを加工した声でやっているところに恥ずかしがり屋っぽい一面を想像させつつ、そのままセンチメンタルな「タクシードライバー」へと繋ぐ流れが最高。

「今momを知ってて好きなウチらって強いよね」
というYouTubeのコメント、すごく良い。






butaji
「告白」

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ウェブ上で様々な感想やレビューを観たのだけど、どれもしっくりこないことばかりだった。
それくらい自分の思うように作品を変化させていたのではないかと気付いたのは、アルバムが発売されてからもう半年も経った最近のことだった。
なんというか、語弊を恐れずに言えば、聴きすぎて自分のものになってしまっているような感覚なのだ。
ただ振り返って考えると、歌謡曲やJ-POPで名曲と呼ばれるものたちは、多種多様な人間の脳内でそういうプロセスを経てきたのではないか。
「告白」には一生かけて聞きたい強度が備わっている。

愛という言葉の深度や重みについて考えて、答えなど出せるわけもなくモヤモヤすることを繰り返す。

祈りながら音楽を作りたくはないなと思ったんですよね。でも、もはやそんなことも言ってられない事態だなと。それこそ30歳をむかえようとしていて、既に手に負えないことばかりだし。というか、もうこれはどうしたって宗教性を帯びますよね。だって、僕は愛をテーマにした作品をつくろうとしていたんだから。
引用元の公式インタビューはこちら。

言葉にならないような感情が爆発する「抱きしめて」の重厚なコーラス、何度聴いただろう。そしてことあるごとにまた聴いてしまうのだろうな、とも思う。
一生を通して。





Ring Ring Lonely Rollss
「IKEBANA POP」

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和とサイケ、クラシックとロック、日常とファンタジー、わずか三曲にリンリンの新たな可能性を余すところなく詰め込んだ作品。そして新しいことをやっているのにちゃんとリンリンなところがたまらない。
インタビューもさせてもらったし、そこで音源の印象は述べたつもりなので、もしよければ作品と一緒にチェックしてほしいところ。

【INTERVIEW】 Ring Ring Lonely Rollss『IKEBANA POP』
http://hachibunme.doorblog.jp/archives/52737554.html


個人的にはほとんど主役をピアノに譲ったロックチューン「Hyper Love Song」を推したい。彼らが今まで鳴らしてきた天井要らずの壮大さとはまた違う、ドラえもんのタイムトンネルの中のように音楽の歴史そのものを物凄い勢いで辿るような好奇心に満ちたアレンジを聴くことが出来る。






Have a Nice Day!
「わたしを離さないで」

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ライブパフォーマンスに惹かれ続けてきたハバナイだけど、これはもう格別に音源の魅力を推したい。
お得意のカノンコードに乗せた文字通りのアンセムだった。
これは先程のリンリンに感じた天井要らずの壮大さとは異なって、ひたすらに高い天井にミラーボールが鎮座しているさまが似合う。
yusaのコーラスの存在によって、賛美歌のような神々しさを帯びたメロディ、踊らせながらも泣けてくる。もはや感情のごった煮。

MV冒頭のタイトルバック最高!!!





sora tob sakana
「New Stranger」

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テレビアニメ『ハイスコアガール』のオープニングテーマ曲だからこその、ゲームへの愛を感じる歌詞が胸を熱くさせてやまない。

ずっと画面の端 待ちながら溜め続けた
情熱の炎が西の空染める
……
心の奥のゲージを使うのはいつ?
……
教科書に載ってない答えを探して
戦いはずっと続く

普段働いているときにふと思うのだけど、RPGの単純なレベル上げだったりシミュレーションゲームでの敵対策の最適化だったり、ゲームをやる上でいつも繰り返し考えながらやっていた効率化が完全に仕事に生きている。

そして教科書には載ってない感動や可能性や好奇心を、ゲームから貰っていたことに気付かされる。そしてそれは音楽からも貰っていた。
この作品は、やっぱりゲームも音楽も好きだなぁと自分自身の原点を思い出させてくれた。

一度聴いたら必ず驚かされるであろうサビの掴みはもちろん、最後の最後でイントロが歌と合流する展開、たまらないですよね。冒頭で生き別れた恩師が終盤の窮地に陥ったタイミングで現れるようなアツさ。






折坂悠太
「平成」


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平成が終わることへの実感が全くない。

表題曲「平成」は、誰の側にもある何の変哲もない日常を描いたものであるが、その歌い始めに ”平成” と切り出すだけで途端にカメラのフレームが捉えた尊い風景へと変わる感覚に驚かされた。

《施工当時の◯◯駅周辺》なんてタイトルが付けられた白黒写真を見て、「周りの建物めっちゃ低い!」とか「交差点はかろうじて残ってるな」とか、平成の今ではすっかりと変わってしまった風景であることを認識する。
「平成」というタイトルと歌い出しで収められたそれらの風景は、どれも時代とは関係のない普遍的なものであるからこそ、それぞれの歌詞の最後に高らかと叫ばれる祈りのような歌にただ気持ちを重ねてしまう。
変わらない風景がちゃんと変わらず続きますように。


歌い回しや言葉の使い方から折坂悠太に対して抱いていた日本的なイメージを大胆に崩しにかかったような、モダンでジャジーなアレンジも多く、特に「逢引」ではスキャットまでしだしちゃうギャップにあっさり惹かれてしまった。






吉田凛音
「Find Me! EP」


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表題曲にプロデュースとして参加したSKY-HIの"女の子分かってる"感に圧倒される。
トラックや歌の乗せ方の切れ味に格好良さを見せつけつつ、歌詞はひたすらにもどかしくてキュート。
リアルな女子高生はこれどう聴こえるんだろう。

「夜遅くにごめん良かったまだ起きてた?」
起きてたし待ってたし全部君のせいだ

表題曲が吉田凛音のアッパーなラップをフィーチャーしたものであれば、いわゆるカップリングの「SUMMER MAGIC」は彼女の歌唱力そのものが発揮されたバラード。音源だから的外れな意見かも知れないけど、音程への感度とそれをメロディへと乗せることへの嗅覚が半端じゃない。






水野ねじ
「songwriter」


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水野寝地からひらがなへと改名、そして初の全国流通版の発売!
僕自身も縁あって「ウォーキングブルース」という楽曲にトロンボーンで参加させてもらった。
自分が関わったということを差し引いても素晴らしい作品であることは間違いなく、彼自身のソングライティングの繊細さと一切の無駄の無さがどの楽曲にも光る。

激情的なバンドサウンドや、ワンルームの近さを持った弾き語りが、歌に登場する主人公たちの感情に呼応するようで、歌詞からというよりも音楽そのものに共感してしまうような感覚。
素敵な音源だったのでインタビューをさせていただきました。
これは次の記事にする予定!

とりあえず今はこの映像だけでもぜひ。
ラストの花火のシーン、MVでこんなに美しいカットを見たことがない。






Koochewsen
「sweet illusion」


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このアルバムに先駆けた配信シングルの発売に際して公開された「Your TV」を最初に聴いたときに、これまでイメージしていたKoochewsenの像がガラガラと崩れたのを感じた。
なんだこの曲は?なんだこのエグみは?

アルバムを聴いた今なら分かる。
一曲目の「soul」を聴き終わって、彼らがやりたかったこと、彼らが今向かっているベクトルがはっきりと理解できた。
その腑に落ちた感覚は、リリースツアーファイナルのメンツ(呂布カルマとSuiseiNoboAzとのスリーマン!)の意味まで通じて、この組み合わせこそアルバム全体を包括していた。


過去にライブ会場限定で発売されていたシングル(と記憶している)から再録された「いっそUFO」の細かいアレンジの変更がニクい。拍を詰めるだけでよりエッジーになった中盤のギターカッティングは何度聴いても痺れる。






中村佳穂
「AINOU」

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米津玄師も唸る才能……!
一度東京でのライブのタイミングで見る機会があったのだけど、自分の声とピアノを使って遊びまわっているような無邪気さがあった。
ただ、その遊びがいちいち神業じみていて、自分の思った音を出せる技術とそれを瞬時に曲に組み込んでしまう即興力と全くブレない音程感とリズム感にすっかり虜になってしまった。

ビートアプローチが尖った打ち込みまで乗りこなすフレキシブルな歌と、ヒップホップに通ずる言葉がもつリズムを活かした節回しの楽しさの中、一石を投じるような「永い言い訳」のピアノ弾き語りの物悲しさが心に染みる。


アルバム後半、「アイアム主人公」「忘れっぽい天使」と畳み掛けるように続き、「そのいのち」で大団円になったところで、(まだ一曲あるの!?すごすぎない??)と興奮したのをいつも思い出す。
そんな流れにしておいて最後に表題曲「AINOU」を持ってくるやり方、カッコ良すぎないか。






以上です!!

2018年はApple Musicを初めてインスト―ルしてみて、自分の音楽配信サービス元年となりました。
使い始めて感じたのは、フィジカルじゃなくても自分にとって大切になった音源への愛は変わらないなというところ。

パッケージとしての魅力が素敵であればそれにお金を出すけど、そうじゃないのであれば歌詞も表示されるし配信で不満は全くないです。あと個人的には一回買ったCDは売れない体質なので、物理的に仕舞う環境が無くなってきているところも大きいかも。

実際、ライブハウスでバンドマンとお話をしても同じような話がよく出てきて、配信リリースへとシフトしてアプローチする手段がもはや主流と言ってもよいのでは。
(フィジカルにするお金も相当かかるしね……!)

モノとしての価値が問われるようになっている中では、never young beachがアナログ盤と配信のみのリリースをしたり、of Tropiqueというエキゾチックインストバンドが音源付の飾れる絵本をリリースしていたりと面白いやり方が増えています。
これが2019年はどうなるか。楽しみ!


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『La Palma』という作品。音源としてもおすすめ!
文字通りトリップ出来ちゃう亜熱帯のサウンドトラックです。
 https://www.oftropique.com/la-palma/



さて、2019年はディスクレビューから少し離れてインタビューに注力して少しずつ動き出していければいいなと思います!
もしかしたらインタビュー各種は音楽ニュースサイトUROROSさんの方でも掲載してもらえるかも。
早速一仕事しております。


噂のカオスパーティーが4年振りに復活!廃病院パーティーの魅力に迫るフニャ院長独占インタビュー
http://uroros.net/interview/haibyouinparty001/


ぜひお仕事させてください!
ここまで読んで下さった奇特な方のインタビューは快く引き受けたく思います。
今年も素敵な出会いがありますよう。


 ふじーよしたか(音楽八分目/Ongaku Wankosoba) 
@fj_pg_yochi  
o.hachibunme@gmail.com