本年もよろしくお願い致します。

2018年一発目は、地下オカマアイドルを自称する悪女の方々へのインタビュー!
地下オカマアイドル。
この一文からの情報量!笑

つべこべ言わずにプロフィールを引用させていただきます。


日本のアイドル界隈に突如として現れた期待の超大型ニューカマー、地下オカマアイドル 悪女。
枕芸者 しと、クリエ・インターナショナル…それぞれが過去に悪行を犯し、パクられた経験のある前科持ちのオカマ(というコンセプト)。
今ではそんな自身の邪心との決別、そしてラブ&ピースの為に、時に歌い、時に踊り、お客さまに楽しんで頂く為ならステージの上ではなんでもアリアリーノ♂なBBA。それそれー!


おぉ、プロフィールを見ても情報をさばけないまま、よりその強度(狂度)を増した情報の波に飲まれます。


ライブを見させていただきましたのでその印象を。
大森靖子や面影ラッキーホールなどのアーティストの楽曲をカバーし、それを時にエモーショナルに、時に観客にちょっかいを出しながら、歌う彼女たち。
笑いあり、下ネタあり、お下品あり、でもオカマの生きづらさや憤りもあり。そんなアイデンティティを様々なベクトルで見せつける彼女たちのパフォーマンス。

初ステージからわずか四か月でクリトリック・リスの企画でオープニングアクトに抜擢された経験もあり、今年めきめきと頭角を現してくるであろうお二人へ、お話を伺ってきました!


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悪女
しと…枕芸者しと(右)
クリエ…クリエ・インターナショナル(左)
https://akujo-xxx.jimdo.com

ふ…ふじーよしたか(音楽八分目)





ふ  よろしくお願いします。
早速ですが、お一人ずつ自己紹介をお願いします。

しと  はい。悪女の枕芸者しとです。犯罪歴は詐欺罪です。お願いします。

クリエ  悪女のクリエ・インターナショナルです。犯罪歴は万引きです。よろしくお願いします。

ふ  ふふふ。笑 前科持ちオカマアイドルというお二人で。

しと  アイドル業界も◯◯+アイドルが流行でしょ?
オカマアイドルはちょくちょくいるんですよ。だからちょっと個性を出すために。笑
隙間産業なんでね…。前科持ちアイドルがどの世界にいるんだという。笑

ふ  いないですよね。笑
でもオカマだということはキャラではなく。

しと  うん。もともと私はトランスジェンダーで。
体が男の子で心が女の子で、生活も女の子として送っていたんです。

クリエ  わたしはゲイで。ずっと男の格好で男の子として暮らしていたんですけど、しと姉と出会って、いろんな刺激を貰って。
それでアイドル活動とか楽しいことをしようと思っていて。

しと  もともと知り合ったきっかけが、私がアルバイトをしてた神戸のオカマバーで。
そこで半年くらい働いてたところでクリエちゃんが新人バイトとして入ってきて。
それまではわたしが店の中で一番下だったんで、店ではクリエちゃんの教育係みたいなものになったんですよね。
それで色々話してたら、住んでるところがとても近いってことが分かって。神戸で知り合ったのに、家は二人とも姫路の方で。

クリエ  本当に車で十分とかの距離。

しと  いつでも会える距離で。
学生時代では出会わなかったんだけど、お互いの知り合いがたくさんいるような状態で、話もすごい弾んで仲良くなって。
結局二人ともお店は辞めちゃったんだけど遊んだりしていて、その遊んだ帰りに、クリエちゃんの中で、なんか楽しいことしたいよねーみたいな話になって。
(クリエに)どうやって言ってたっけ?

クリエ  「アイドルとか興味ない?」って。
有名になりたいよねっていう話をしていたんです。
自分はアイドルになりたいっていう気持ち
は無かったんですけど、芸能人になれたらいいなとは思っていて。

しと  最初は夢物語だったのが、なぜか具体的になってきて。

ふ  有名になりたいって言う根本には、しとさんの強い思いみたいなものがあったんですか?

しと  私はもともとシンガーソングライター志望で、ギター弾いてライブハウスで歌ったりもずっとしていたんです。
でもギターも歌も一向に上手くならないし、上手い人って腐るほどおるから、ギターで歌ってても売れんなって思って。
じゃあ違うアプローチで訴えてみようと思って…それがこれ。笑

ふ  クリエさんは「しとさんがそこまで言うなら私も…」っていう感じのスタートだったんですか?

クリエ  それもあります。
服が好きなんですけど、昔身体がすごく太くて着れる服も無くて。最近になって痩せてからやっと色々な服を着られるようになったんです。
服に関わりたいから、モデルとかがいるような芸能界に出たいなとは思っていて。

ふ  うんうん。この悪女の活動が何かしらの糸口になればと。

クリエ  でも私は行動力があんまりなくて。
想像性とかアイデア性っていうのは結構あるかも知れないけど、行動に移せないタイプだから、その分しとさんが引っ張ってくれてるって感じですね。

しと  自分も、悪女は全力でやってるんですけど、悪女が売れたら曲を作ったり歌ったりしたいんです。そしてこの子(クリエ)はモデルになりたい。
そんなお互いの夢を後押し出来るプロジェクトになったらいいなって。

ふ  あーなるほど。コンビの芸人が役者になるケースみたいな。

しと  そうそう。もう売れたらなんでも出来るし。

ふ  確かに。それに悪女の名前が付いてくれれば悪女も相乗効果で売れていくでしょうし。



~ベッド・インとあやまんJAPANを足してオカマにした感じ~


ふ  そんな成り行きで結成して、まだライブ三回目(取材時は9月下旬)でしたよね。
いざ活動を始めてみてどうでした?

しと  うーん、やっぱりまだカバー曲だけですし、まだちょっと…。
お遊びのノリの域から抜け出せてないんかなとは思うんやけど、でも今日のライブ(高円寺無力無善寺)ですごい自信がついて。
今までライブをやってきた間にもたくさん時間があって、「こういうとこダメやったな」とか「こういうとこ伸ばしたほうがええな」って話し合いをするじゃないですか。それを活かせたライブになったかなと。

ふ  ちょうど今日始めてライブ見させていただいたんですが、オカマをウリにしてお客さんをいじっていくエンターテイメントな部分もあれば、オカマだからこそのアイデンティティをシリアスに出すような部分と両方あって。
悪女として売れていくには、これを両方上げていくのか、それともどうやりたいのかなって思って。

しと  面白いことをノリ良く楽しくやってたら売れるんやろなって思うんやけど、根が真面目やから真面目な話もついしてしまうんです。
だからいつかはそういうバラエティ番組に出るのもいいし、「ハートネットTV」(NHKの福祉情報番組)なんかでセクシャルマイノリティーについて語ったりできるくらいの地位になれたらなって。

ふ  なるほど、クリエさんはどうですか?

クリエ  ライブを通して自信が付くっていう話だと、自分は逆で。
ライブを重ねてやればやるほど地名度が上がってくると思うんですけど、そのぶん不安も上がってきますよね。

ふ  不安っていうのはどんな部分なんでしょう。

クリエ  やっぱり知名度が上がるってことはそれなりに期待してくれるお客さんも多いってことじゃないですか。その分失敗出来ない。
「楽しませないとアカンな」ってどんどん不安が募っていく気がします。そのプレッシャーに耐えられるかどうか。

しと  へぇー。そういうプレッシャーを感じたことは無かったなぁ。
(クリエに)自分が良いと思えるものが出来たら、それを良いと思ってくれる人が付いてくれるから、逆にそれを良いと思わない人はファンにはならないような別の世界線で生きてる人じゃない?
自分らが良いと思ってることを良いと思って応援してくれる人がどんどん増えていくように活動できたらいいんじゃない?

ふ  まあ難しいところではありますよね。
自分のやりたいことと、見てくれているお客さん全員を楽しませてようとすることと、ギャップが生まれてしまう部分はどうしてもあるんじゃないかなと。
でも二人の意見が違うっていうのもある種バランスが取れてるのかなっていう印象で。お互いの良いところを活かして成り立っていけばいいのかなって思います。

クリエ  確かに結構考え方は違いますよね。

しと  違うよね。毎回かみ違う。

ふ  でもそれこそですよね。
きっとこれからオリジナル曲を作ったりしていく上で、方向性が二人の中で違ってくることもあると思うんですよね。そのバランスがどうなっていくかが面白いところなのかなと。

しと  実は今悪女の一曲目を作っていて。歌詞は完成していて、アレンジャーさんと今話してるところなんです。
最初は悪女のふざけてない側のパブリックイメージに沿う曲が出来たらなって思ってやってるんですけど、次でふざけてみたり、交互にやっていけばいいんじゃないかなって。

ふ  最初にプロフィールを拝見したときに、楽しそうな人たちだなっていうエンタメ感があったんですけど、その点今日のライブはまさにそのエンタメに振り切ったものだったのかなって。

しと  宴会芸ですよね。笑

ふ  あーなるほど!笑 分かりやすい。

しと  ベッド・インとあやまんJAPANを足してオカマにした感じ。笑

ふ  収録外でも聞きましたがほんとそれいいですよね!めっちゃ伝わる。

しと  個人的にはそこに大森靖子のエモみをスパイスとして入れたいんです。

ふ  やっぱりそれは大森さんへのリスペクトで。

しと  靖子ちゃんを知って、アイドル文化を肯定出来るようになったんです。
学生のときもクラスの女子二、三人で集まってごっこ遊びで悪女を名乗ってたんですよ。

ふ  原型というか。

しと  そう。友達同士のごっこ遊びの延長みたいな感じだったんだけど、悪女の1stシングルを考えたりする遊びをやってたんですよ。ルーズリーフに歌詞を10曲くらい書いてきて、ホチキスで留めてそれがアルバム!みたいな。
全部アカペラで録音したのをCDにして、メンバーに渡して聴いて笑ってみんなで口ずさむくらいの遊びだったんだけど、結局それを三枚くらい作って。笑

ふ  すごいですねぇ。笑

しと  アニメの「けいおん!」とか流行ってたから、みんな「ドラムやりたい」とか「ベース弾きたい」とか言ってて、「じゃあバンドやろう
!」って話になったんですけど、私が「そうなったら毎週◯曜日に集まって◯時間とか練習してライブやって…」とか言ってたらみんなが「面倒くさい」って言い始めて。「何一人だけ熱出して言うてんの?」みたいな。
LINEグループがあったんやけど、私以外のみんながグルになって私をハブったり陰湿な感じになって、悪女らしく解散したんですけど。笑

ふ  確かに悪女だ…。笑

しと  みんな悪女やった。笑 その悔しさが根っこにあって。
悪女はもともとアイドル(という形態)だとは思ってなかったんやけど、大森靖子を知ってからアイドルっていいなって思って、あの時の悪女をアイドルにしたら面白いんじゃないかなって。
そういうアイドル像がずっと自分の中にはあって…っていうところでこの子と知り合ったので、これでやったらええやん!って。





ふ  大森靖子を始め、今披露しているカバー曲などの音楽性に関してはクリエさんはどうお考えですか?

クリエ  全く知らなかったんですよ。
今まで普通の暮らしをしてたから、ほんまに王道の西野カナとか今で言うとback numberとかそういうランキングに入ってるような人たちしか聴いてなかったので。

ふ  今回いろんなアーティストの曲をカバーして悪女として歌うことって、自分の中でギャップが生まれたりはしませんでした?

クリエ  ギャップは…あんまりないですね。女装したら悪女で立ってるときとそんなに変わらないっていうか。

ふ  あぁ、まず女装でスイッチが入る感じですか。

クリエ  あ、でも男装してても道とかで「あんっ」って言っちゃったりします。笑

ふ  はははは!笑 職業病だ!

しと  (クリエに)じゃあ悪女で大森靖子とか矢島美容室とか面影ラッキーホールとかを自分が持ってきて、覚えさせて一緒にやるやん?その曲についてはどう思う?

クリエ  持ってくる曲の中でも、良い曲と悪い曲があって。悪い曲だったら自分も微妙って言って拒否していて。
結局自分が踊ったり歌ったりするっていうことは、自分も好きになれそうだなっていう曲じゃないと無理じゃないですか。
だからこの曲好きじゃないなぁって思ったらその曲はちょっと…って拒否ったこともありましたね。

しと  じゃあ今日やった曲は良いかなって思ってやってくれたってこと?

クリエ  面影ラッキーホールの「あなただけにかけて」は聴いとったら好きになったんですけど、最初のイメージとしてはあんまり好きじゃなくて。でも悪女感としては合ってるんかなって思って。

しと  あの曲が一番悪女感ない?自分らの曲かと錯覚してしまうような。

クリエ  そう、あの曲が一番らしさが出てるって思った。
最初は微妙やったんですけど、悪女感すごいなって思ってとりあえずOKにして。
歌いよったり聴いとったりするうちに好きになってきた。

ふ  今話を聞いていても、しとさんのワンマンにクリエさんがついていってる感じがして。
二人のユニットだけど、クリエさん振り回されてるだけなんじゃあ…って心配もあったりしたんですが…。

クリエ  あっ、そもそも振り回されて迷惑とかじゃなくて。
ブログとか書いたりするのもしとさんやし、作詞作曲とかしてくれるのもしとさんやから、それについていってええんかな?って感じなんです。

しと  そう、「売れたら給料7:3でね!」とか言って。笑
だから私もこの前「クリエも作詞とかやってみたら?」って言ったんですよ。
「メロディを考えるのは難しくても、作詞だったらチャレンジしたら出来るんじゃない?」って言ったら「じゃあやってみようかな」って言ってて。

ふ  面白そう。それは聴きたいですよね。

クリエ  でも甘ったるいポエムしか書けないです、たぶん。笑



~ただただお客さんを笑わせて楽しませてなんぼ~


クリエ  有名になるにつれて、いつか自分の中でも一回吹っ切れないといけないところがあるんです。

まだしとさんみたいに小さい頃から自分のことを女の子って思っていて男の子を好きになって…って感じじゃなくて、女装してることを知ってる友達も本当に数えるくらいしかいなくて。
親にも女装してることも言ってないし、男の子が好きっていうのも言ってないので、売れるかどうかは別としても、そういうところも考えないといけないなぁって。

お客さんを否定するわけじゃないですけど、悪女って下ネタとかをめっちゃ言うじゃないですか。それを親が見てどう思うんかなって。
別に自分は親からどう思われてもいいんですけど、親が他の知り合いから見られたらどうなんだろうとか…。

しと  ただふざけてるだけやったらしょうもないけど、歌ってる姿を見て格好良くしとったら認めてもらえるんじゃない?

ふ  うーん、難しい部分ではありますけどそれも含めて、胸を張って言える存在にならないとですね。
悪女らしさっていう話も出てきてますけど、二人の思う悪女らしさってなんですか?

クリエ  セクシーで下ネタも挟むんやけど、カッコええときは格好良く歌うっていうのが自分の一番のイメージですかね。

しと  曲に登場する悪女は、色っぽくてちょっと高飛車な高いヒール履いて真っ赤な口紅塗ってっていう女のイメージ。
ライブで実際に自分たちが演じる悪女は…宴会芸。笑 
ただただお客さんを笑わせて楽しませてなんぼっていうか。
だからさっき言ったベッド・インと…っていうイメージのほんまそのまま。

ふ  そうですね。その部分をどうやって魅力として出していくかですよね。

しと  うん、それが課題ですよね。だからベッド・インにヨイショして妹分にしていただけたら…。笑

ふ  ははは!面白いツーマンとか出来そう!笑



インタビューは以上です!
そして後日談として、話題にも上がった1stシングルの情報がじわじわ解禁されています。

悪女1st single「今夜はミラーボール」
しとが描く高飛車なのにどこか切なくいじらしい女心と、昭和歌謡さながらの妖しいメロディにアレンジャー(後日発表)が豪華絢爛なアレンジを施してくれました。

悪女たちの名刺がわりになること間違いなしのキラキラでライブ映えする1曲です。

オリジナル曲を引っ提げてますます読めない彼女たちの可能性!

今年の関西地下アイドル界隈を揺さぶることを期待しています。
そしてそれは関西のみならずきっと東京へと飛び火してくるでしょう。
うーん。楽しみなような怖いような…。笑