みなさんこんにちは!
大森靖子ファンインタビュー、まるまる一年以上かけてブログ上では完結いたしました。
そんなこんなですっかり邦楽インディーズレコメンドブログだということを忘れかけておりましたが、iPodとiTunesとにらめっこしてこしらえた2017ベストです。


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いらすとやでフリー素材を探しているとこの時期が来たな…と思ってしまう習慣が出来てしまいました。

今年も10枚選びました。なんとか今年中に間に合った。。
久々に音楽のことだけについて書くのは楽しい。


!注意! 

・邦楽に限りました。但し、インディーズ、メジャーは問いません。
が結局、ほとんどインディーズだったわけで。

・順不同です。

・シングルもアルバムもひっくるめます。
sora tob sakana
「cocoon ep」


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アイドルグループ特有のサビのユニゾンに個性を感じたのはもしかしたら初めてかも知れない。
AKBなどを聴いていて、複数人で同じメロディを歌うと無個性に近づくんじゃないかと思っていたのだけれど、彼女たちのユニゾンにはそれぞれを補完しあって増幅しているような響きがあった。
純粋無垢で、それでも決してあっけらかんと明るいわけではなく、決意を秘めたような切実さを感じる。
そしてここまで書いて、執拗に裏拍を突いてくるメロディの譜割りがいつの間にかクセになっていることにも気付く。不自然だと思っていた聴き始めと比べると、とっぷりと教育されているようだ。

ポストロックとエレクトロニカとこのメロディと。
少女たちがこのあどけなさの残る歌声を使って、切れ味鋭く仕上がった要素を乗りこなす姿には刹那を駆けるカッコ良さがある。







大森靖子
「kitixxxgaia」

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昨年はシングル「ピンクメトセラ」をベストに挙げさせてもらったけれど、それも収録されたフルアルバムであり、今年一年はファンインタビューを通して散々お世話になりまくった一枚。
インタビューさせていただいたファンの声を踏まえて聴くとまた違った方向から魅力を発見したりして、我ながら「こういう体験をやりたかったんだよ!」と折に触れて思わされた。

個人的には大森靖子ファンインタビューその14のカオスちゃんのお話がいつもちらつく。
入り口と出口だけ決まっていて後はもうどっから行っても良い。
(中略)
私からするとイオンみたいな…。笑
どの曲が好き!という推しが人によってバラバラなのが面白いところ。
どのアンテナで受信するかによって変わってくるところだろうけど、自身の生きてきた経験によってそのアンテナの角度が変わっているというのがよく分かった一枚。







King Gnu
「Tokyo Rendez-Vous」

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今回名前を上げたアーティストの中では一番”売れ線“に乗っかるんじゃないかと期待してやまない。
前進バンドSrv.Vinciから改名、メンバーチェンジを経て現在は四人組ツインヴォーカルバンドとなっている。

二人のヴォーカルのキャラクターの違いを始め、キーボードからドラムまで気持ちのいい音と気持ちのいい間しか入ってない。捨て曲、マジでなし。
今のところ、都会の人ごみを急いで通過するときが一番テンションの上がる聴き方。もう歩きかたから是正されちゃうよね。こんなの。音楽は人を変える。

ヴィジュアルも含めてニクいほど洗練されていて、バンド名の由来についても「なんか、オシャレじゃないっすか?King Gnuって。Gnuって書いてヌーっすよ」とさらりと言ってのけるこの美意識。







葉山久瑠実
「レッツゴーあの世」

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関西を中心に活動しているピアノ弾き語りスタイルのシンガーソングライター。

キャッチーなアップテンポアレンジに元カレへの恨みつらみを乗せた「順調そうだね」や、生きること自体への諦めや葛藤を描いたような「生きちゃった」など、シニカルとコミカルが両立する不思議なバランス。
ジャジーでブルージーなピアノにハスキーな歌声が乗っかる渋さと、たっぷり詰まったブラックジョークさながらのお茶目な皮肉を聴きながら、きっと自己評価の低い可愛らしさを持つ方なんだろうなあと、人となりごと理解してしまったような後味。
その解釈が合ってるかどうかは別として、そんな理解をしてしまえたアーティストの楽曲には説得力があるのだ。

個人的なハイライトはアルバムのエンディングを飾る「遺言」。
そのタイトル通り、楽曲そのものをライトな遺言状に仕立て上げた一曲だけど、彼女自身の人生のスペシャルサンクスたちへ「どうぞお元気で!」と感謝を述べながらテンポを上げてアウトロを弾く流れがたまらなく美しくなんだか泣けてしまった。







東京塩麹
「FACTORY」

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8人組人力ミニマル楽団。
シンプルな音素材が次々に積み重なってバリエーションを含んで拡大と縮小を繰り返す姿は、バンド名そのまんま菌が発酵して育っていくよう。いやぁ。良いバンド名。

「Long Long Summer Vacation」が個人的ハイライト。管楽器も参加したクレッシェンドがこんなにも気持ちいいか。
一人一人の演奏するモチーフがシンプルであるがゆえ生まれる抑圧を、一小節ずつほぐしていくような解放感はぜひ一聴してほしいものがある。






吉澤嘉代子
「残ってる」

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今回のラインナップでは唯一のシングル。
こういうパターンだと、タンブラー「Ongaku Wankosoba」のベストに掲載することが多いのだけど、表題曲・ピアノアレンジ・カップリング曲と、三曲の中で彼女の魅力を多方面から掘った流れがとても美しかった。
ピアノアレンジバージョンとの歌い方の違いを楽しみ、カップリング曲でのキュートな一面を目の当たりにして結局ファンになっている流れ。

浮かれたワンピース、剥げたかき氷色のネイル、造花の向日葵、一夜で超えた季節。
夏の終わりを示すモチーフのチョイスが秀逸…!
このリアリティの積み重ねによって主人公の気持ちや情景が心に染みてくる感覚は、良質な小説を読んでるよう。

誰かが煙草を消したけど 私の火は狼煙をあげて

の一節に、怖いくらいの覇気を感じる。
誰がなんと言おうと好きという気持ちは揺るがない。危なっかしい少女性とその強さ。







チーターズマニア
「チーターズマニア」

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ライブ動画で一目惚れ。ディスクユニオンでたまたま発売したばかりの音源と出逢うことが出来て、衝動買いしたのを覚えている。
MANGASHOCKやでぶコーネリアスEXなどのメンバーを統べるのは谷口共鳴という九歳の男の子!
音楽やってみたい!という衝動を表現するのに、パンクミュージックほどうってつけなものはなかっただろう。

じぶんのしらないよそもの でも でも ともだち

こんな歌詞、大人には書けないよ!

彼の両親(父…Lessthan TV主催 谷ぐち順、母…Limited Express(has gone?)ヴォーカル Yukari)を追ったドキュメント映画「MOTHER FUCKER」はもはやチーターズマニアの魅力を解体するものだったんじゃないかと思っている。







ヒロネちゃん
「ゆめのゆめ」

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ピアノの弾き語りを中心に活動しているシンガーソングライター。
芸術系の大学でピアノ専攻として学んでるからかは知るよしもないけれど、和声に準じたメロディの着地点やコーラスワークがどこを取っても美しく、全曲スキのない美メロばかり!

コンセプトにもなっている”日常と宇宙”のモチーフがそれぞれシームレスに繋がっていて、日常で感じるような孤独感や距離感や疎外感が、宇宙に照らし合わされるとより果てしなく儚い印象になる。
そしてなによりもそれらの感情の起伏が恋愛から生まれているということが肝。
正解もない、なにがなんだかわからない、さらさらの砂を掴んでは手からこぼれ落ちていくような恋愛の手探り感が、その儚さによって増幅される。

メジャーデビューあるあるだけど、弦楽器バックのコラボレーションとかあったら絶対映えるのでは。彼女にはそんな壮大なアレンジにも耐えうるメロディの強さが備わっていると思う。







Koochewsen
「愛のクウチュウ戦」

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クウチュウ戦から表記を改名。また、クールビューティなベーシスト西平由美子も西平匠杜へ改名となにかと変化の多かった今年。
もはやこのブログでは何度も登場している彼らだけども、1st Love Albumと題されたこの初のフルアルバムにもやっぱり度肝を抜かされたのだった。

ラップも交えた新境地「セクシーホモサピエンス」を封切りに、彼ららしい緩急とダイナミクスをぶち込んだ「テレパス」などの新曲群の存在感もさることながら、個人的には2017ver.として再録されたライブではおなじみの初期の名曲「白い十代」や名バラード「アモーレ」がハイライトだった。
特に「アモーレ」は以前の音源よりもグッとテンポが落とされ、その堂々たる佇まいとブレないテクニックをまざまざと見せつけられ、Vo.リヨの色気と妖気が詰まった仕上がり。





MAGI(c)PEPA
「テル・ディスコ」


_SX425_


2000年生まれの新世代ヴォーカリスト吉田凜音をプロデュースするべく、西寺郷太(NONA REEVES)と村田シゲ(□□□)がタッグを組んで生まれたハイブリッドポップバンド。

とにもかくにも吉田凜音の歌声が素晴らしすぎる…!
耳から脳まで抜けるような透明感と柔らかさ、それでもその中にはブレない芯が備わっていて、なんというかもはやアルデンテ。

「なんだかわからんフラッシュモブ」ではお得意のラップをねっとりと挟んだ後、Bメロでカラッと切り替えなんかはツインヴォーカルかと思わされるほど。

「 LOVE-KISS-HUG-HUG」のサビ、

すっとぼけるほど君に夢中なの

の一節なんて全て同じ音が並ぶだけのメロディなのにその引力たるや!
マジペパ結成以前、一度西寺プロデュースのアルバムを出した際のインタビューにおいても、西寺の書くメロディに対して、

「すごいウチのことをわかってて曲を作ってくれてる感じがして。サビとかで声が伸びるとこが好きなんですけど、」

と話していて、こんなにも吉田凛音の歌声に惹かれる内には、西寺の狙いが存分に込められていたのかと驚きが止まらない。

バンドサウンドにおいても、METAFIVEばりの引き算の美学を感じる「備長炭」や、往年のクラブから銀河までひとっ飛びする「TELL DISCO」の壮大なラストなど、聴きどころばかり。






以上です!

今年もありがとうございました。
毎年毎年面白いラインナップで、書いていて楽しいです。

昨年のベスト記事を見返していたら、ファンインタビュー開始直後ということもあって、あとがきで大森さんだらけにしなきゃな…とか書いてましたがなんのこっちゃない今年の記事全部大森さんじゃないすか。
沢山の反響もいただけましたし、過去最高のアクセス数を叩き出してくれたので感謝しております。
十数人の方へインタビューをしまくるという経験、素人ながら何か自信がついたような気がします。
来年はアーティストの方へと色々インタビューもしてみたいと考えています。やらせてくれー。


ブログでのもう一つのトピックスとしては、渋谷のライブハウス二会場往来自由のブログ自主企画「トーキョーワンダーグラウンド Vol.3」を開催したことでした。
http://hachibunme.doorblog.jp/archives/50854589.html
(当日のライブレポート)

8組ものアーティストをブッキングして、何かと大変な面もありましたが、貴重な財産になりました。
良いライブしかなかった。というような感想はライブレポートにて。


さて、本年も大変お世話になりました。
ファンインタビューを見ていただいたり、自主企画へ足を運んでいただいたり、たまたまブログを見かけたり、どんなきっかけ知ってくれたら嬉しいです。というかここまで読んでくれてありがとうございます。飲みにでもいきましょう。新年会とかかこつけて。

来年はなんというか、有名になりたいすね。
ひとまずの目標は大森靖子ファンインタビューの書籍化です。宜しくお願い致します!


 ふじーよしたか(音楽八分目/Ongaku Wankosoba) 
@fj_pg_yochi  
o.hachibunme@gmail.com