お久しぶりです!
音楽八分目企画のイベントもあり、すっかり間が空いてしまいましたが実はまだ終わってなかったんです。大森靖子ファンインタビュー。


その15まで来ました。今回のお相手は、あめちゃんさん。

GLAYや筋肉少女帯をこよなく愛する彼女がどのように大森さんに出会い、惹かれていったのか。
そして、このインタビューを行ったころから少し日にちは経っていて、あめちゃんなりの後日談がきっとあるはずですが、そこはご本人にお任せするかここで追記するかしようかなと思っております。


大森さんについて語ると、自分の人生についての話になる。
とファンインタビューを進めるにあたって兼ねてから感じていたことでしたが、
今度は自分の人生経験と照らし合わせて、大森さんについての解釈を広げる。というのも面白い考え方だなとふと思いました。

例えば学校では馴染めなくて…みたいな過去がなければ大森さんについての思いはどう変わったんだろうか…。とか。
もしもの話ではありますが、大森さんへの、音楽への、ひいては自分自身の過去への、新たな解釈が出来たりするんじゃないでしょうか。
あっこの考え、肯定とか生きる上でプラスになればそれはそれでベストでしょうけど、ただ単純に面白いんじゃないかなと。


ちなみにこのインタビュー、次回でひとまずラストです。
最後まで誰かの暇つぶしに寄り添えますように。
あわよくば大森靖子さんの魅力の再発見に繋がりますように。

それではどうぞー。


あ…あめちゃん
ふ…ふじーよしたか(音楽八分目)




ふ それでは、簡単な自己紹介からお願いします。


あ あめちゃんです。年齢は靖子ちゃんと同い年で、仕事は普通にOLをやってます。

現場に足繁く通うようになったのは、まだ一年くらいですね。

通い始めたのは去年の3月くらいからで。

池袋で『TOKYO BLACK HOLE』のリリースイベントがあって、そこで初めてぼっちで靖子ちゃんの現場に行ったんです。

それまでは一人で現場に行くのは無理って思ってたんですよね。


ふ うんうん。結構ハードルは高いですよね。


あ そう。でもたまたま池袋は家が近かったし、その日はちょうど暇だったんですよ。
そしたらツイッターで池袋のリリイベを知って。CDも買っちゃってたんですけど、でも近いしなあ…って思って。


ふ なるほど。一応すでにもうファンではあるから、発売日にはCDは押さえてて。


あ そうなんですよ。その頃はまだ感覚が正常で、一枚あればいいって。笑


ふ まあ普通はそうですよね。笑


あ でもライブは無料だったので、とりあえず行こうかなと。人はいっぱいいたけどたまたま二列目くらいに行けたんですよ。

その前に見た靖子ちゃんの現場が中野サンプラザの二階席だったので、至近距離で靖子ちゃんを見るのは初めてだったんです。


ふ 初めてのリリイベでいきなり前の方に行ったんですね。


あ 思い切って行きました。その距離で「TOKYO BLACK HOLE」の演奏が始まって。

あまりの…なんだろう…なんかよくわかんない気持ちになって、ものの始まって数十秒で泣きそうになってて。

近くだから泣くとバレちゃうじゃないですか。それで我慢しながらすごいブスな顔をしてたんですよ。笑

そこにハッと気付かれて、ニコッて笑ってくれたんです。そこで完全に落ちて。笑


ふ もう覚えてらっしゃるくらいですもんね。その瞬間を。


あ 今話してて泣きそうです。「なにこの人!」って思って。


ふ その「なにこの人!」はどういう感情なんですかね。


あ 確かちょうどその当日だったと思うんですけど、めざましテレビで靖子ちゃんについて放送されてて。そこでファンの人が「大森さんは目を見るんですよ」って話をしてたので、ホントだ!ってなって。


ふ これかー!みたいな。笑 しかもいきなり二列目で。


あ いろんなものがリンクして、「なにこの人!」って。食らいつくように見ちゃったんですよね。




~みんな共感してるのに自分は共感出来なくて嫌でした~



ふ そもそも大森さんを知ったきっかけっていうのは…?


『黒歴史EP』がネットで500円で配信され始めた頃、たまたま誰かがそのことをリツイートしていて。

それ以前に大森靖子っていう女の子がクソキノコって呼んでる男の人と車の中で喧嘩してるツイートを見てたんですよ。笑

遠征の途中で運転してるところで、「まじムカつく」とか言ってる女の子がいて、すごいのいるなって思って。笑

それで名前は知っていて、『黒歴史EP』も500円ならって気持ちで買ったんですよ。


ふ 出だしが『黒歴史』っていう方は結構珍しいと思いますよ。


あ 何の前情報もなくて、音楽のことよりも、まずツイッターでクソキノコっていう人にキレてた女の子!って印象がとにかく強烈だったんですよね。笑 

元々物心ついたころからビジュアル系が大好きで、エレキギターごりごりのロックとか激しい音楽を聴いていたから、弾き語りとか聴くタイプじゃなかったんです。

だから、「そもそもアコギなんだ! 弾き語りの女の子だったのかぁ」って最初は全然ピンと来なくて。


ふ 女性ヴォーカル自体もあんまり聴かなかったんですか?


あ 椎名林檎とかJAMとかあゆとかは、世代なのである程度聴いてはいるけど、普通に好きっていう程度で。特別、信仰心に近いような感じでハマったことは一切無いです。
曲が好きとか可愛いなくらいで、共感とかはあんまり出来なかった。むしろみんな共感してるのに自分は共感出来なくて嫌でした。本当は100%共感して、分かるー!ってみんなと言い合いたかったけど、そこまで同じ温度で共感することが出来なかったことがしんどかったですね。


ふ それは学生時代の話ですか。


あ そうです。だから聴くには聴くけどハマる事もなく、何となく聴いて、カラオケで歌ったら楽しそうだし

という気持ちで歌を覚えるくらいでした。



あ 音楽遍歴で言うと、音楽への入り口がちょうどGLAYで、「BELOVED」とかを出したところで好きになって、そこからビジュアル系とかも聴き始めて。

そのまま中学に入ったものの、同じような趣味の人はあまりいなくて結局学校で上手くいかない、よくいる浮いた子みたいになってたんですよ。「あの子はビジュアル系だからね」って。


ふ ビジュアル系だから。笑


あ いわゆるバンギャで。学校ではバンギャは怖いみたいな風潮があって孤立したんですよね。

その頃に大槻ケンジに出会っちゃったんです。笑

筋肉少女帯がレンタルショップでGLAYの隣にあったんですよね。子どもの頃からその並びをずっと見てたから、筋肉少女帯ってなんなんだろう?って。


ふ あー!刷り込まれてたわけですか!GLAYを見るたびに!笑


あ そう、いつも隣にいるから。笑

それで中学生になって借りてみたんですよね。聴いたことない音楽だし、これは誰も知らない!カッコいい!ってなって、自分だけのものになったような気持ちになったんですよね。


ふ 確かに当時ではなかなか尖った中学生になられて…。


あ 地元が江古田に近いんですけど、そこにある雑貨屋さんの店主と仲良しで、それを報告したんですよ。

たまたまその人は80年代バンドブームをリアルタイムに過ごしていた人で、「何でそんなの聴いてんの?気持ち悪いよ?」とか言いながらラフィンノーズとスターリンとケラと有頂天を全部焼いてくれたんですよ。笑


ふ あー、ナゴムレコード。よくないお兄さんですね。笑


あ そこからもう80年代とナゴムにどっぷりで。

それと兼ね合いでビジュアル系の方は白塗り系とかのキワモノにいっちゃって。


ふ どんどん掘り下げちゃって…。笑 自分で掘っていくタイプだったんですか?


あ もう掘り出すと止まんなくて、キリがなくなっちゃうんですよね。

17歳のときなんですけど、バンドのスタッフとかもやったんです。

一応高校には行ってたんですけど、あんまり通ってなくて、学校がもう嫌っていう時期にアーバンギャルドに出会って。まだ無名な状態のときに対バンイベントで知って、フライヤーを見たらスタッフを募集してたんで応募してみたんですよね。

そこで写真撮らしてもらったりとかフライヤー作らせてもらったりとか、学校じゃ出来ない経験をさせてもらって。その間も松永さん(Vo.松永天馬)にいろんな音楽を教えてもらったりして過ごしていて。

結局十代は音楽に傾倒しまくって学業を全ておろそかにしながら生きてたんですけど、二十歳になってからは仕事と音楽と半々くらいになって今まで至るというか。



~靖子ちゃんにとって道重さんってそういう存在なのかも知れないなって思うんです~



ふ ライブの話もありましたけれども、昔からライブにはよく観に行ってた感じなんですか?


あ そうですね。ライブはすごい行ってました。


ふ 掘り下げる知識欲と一緒に、ライブは生で観ないとというものがあったんですかね。


あ DVDとか家でじっと観てるとなんか違うなって思う。


ふ 自分も放出する何かがあって。


あ そうそう。好きになるとそれだけ真っ直ぐになっちゃうので。

そうなったバンドとかアーティストって今までGLAYと靖子ちゃんだけなんですよ。

GLAYは元々大好きで、HISASHIが好きだったので彼のコスプレをして。今でいう痛バッグみたいな切り抜きでデコッた黒いミニトランクを持って、ライブ会場に行って友達を作るみたいなことをしてました。

当時GLAYのアンオフィシャルサイトがあったんですね、SNSがなかったので。そのサイトのチャットルームで出会った人とライブで会ったり。

ダイバーシティでやったピエールナイト(2014年3月)に行ったんですよ。

カオティック・スピードキングにHISASHIが出るからっていう理由だけで行って。HISASHIさんが単品で狭いところで観れるなんて最高じゃない?って思って。


ふ 単品。笑 完全にHISASHI目当てで。


あ そうです。その日どんなライブなんだろうってツイッターを眺めてたら「大森靖子さんのライブではピンクのサイリウムを持つので、ダイバーシティにはダイソーがありますから皆さんそこで買いましょう!」みたいなツイートがあって。

え、なにペンライトとか振るの?熱心で怖い!そもそも大森靖子ってアコギの弾き語りだったじゃん?なのにペンライトって…意味分かんない!みたいな感じで。笑


ふ そうか、『黒歴史 EP』で印象が止まってるわけですもんね。


あ そうなんです。それしか聴いてないから、あの曲でピンクのサイリウムとか意味わかんないって思って。笑

『黒歴史 EP』を聴いたあと、YouTubeはちょっと観てたんですよね。でもそこまで印象には残ってなくて。でもライブが始まると明らかにYouTubeで聴いた曲がすごい激しくなってやってるっていう。

一曲目が「hayatochiri」だったかと思うんですけど、そのイントロで全部持ってかれました。アコギの音悪い音源だったあの子と別人じゃない?って食い入るように見ちゃって。笑






ふ いきなり全然知らなかった一面を目撃した感じですよね。


あ そうそう。だったらもっと早く観に行けば良かった!くらいに思って。笑

その一瞬でめっちゃ興奮して、後悔もしたんですよ。みんなの知らないものが好きだったので、こんな良いものを一年前から知ってたのに、この瞬間はその頃よりもみんなが知ってるってなってた。だからもっとみんなが知らないときに好きになれてれば良かったのにって思いながら見ていて。


ふ ピントカもビジュアル系の系譜を汲んでたりしますからね。


あ 「hayatochiri」のPVもそうですしね。

その頃、HISASHIさんが「大森靖子最高!」って言いながら大森靖子死ねTを着ていて。笑

「HISASHIも好きなんだ!」っていうのは拍車をかけた部分でもありましたね。「私が良いって思ったものをHISASHIも良いって言ってくれた!」っていう。笑

今までHISASHIが好きだったものを私が後から聴いて、良い!って思えることはいっぱいあったんですけど、その逆はなかったので、それもすごく嬉しかったですね。

靖子ちゃんにとって道重さんってそういう存在なのかも知れないなって思うんです。靖子ちゃんにとっての道重さんがわたしにとってはHISASHIさんで。


ただ、「サイリウムを買おう!」ってツイートもめちゃくちゃ熱狂的な感じがしたし、観れて良かったっていうのは思っても、このライブはわたし一人では絶対行けないな…と思いましたね。


ふ なるほど、その熱狂っぷりに。


あ 失礼ですけど、(ファンが)こんなにすごい人たちだったんだって気後れしちゃうというか。

ここには入れないなぁっていうのが直感で分かりました。


ふ 大森ファンにはぼっちが多いって言いますけど、ぼっちが固まってる姿って結構強く見えますよね。


あ そうなんですよ、本当に。

でもそのあとに音源とかは自分で揃え始めて。聴けば聴くほど、あー良いじゃん良いじゃん!ってなって、そのタイミングで『黒歴史 EP』をもう一度聴いてみたら、やっぱり良い!ってなったんです。免疫がなかったんですよねきっと。

現場には行かなくても、その辺りからいろんな人に「大森靖子ヤバいよ!」って言いまくって広めてて。




ふ 時系列としてはそれが終わってリリイベの話になるのかなと思うんですけど、二列目でバチっと目が合って落ちたところから通うことになったわけですよね。

あ その日は初めて握手会に参加したんですけど、なんも言えなかったですね。


ふ 初接触ですもんねぇ。


あ 順番回ってきたけど、「今日もう一枚CD買いました」くらいしか言えなくって。笑

しどろもどろになって握手して剥がされるっていう。

でもぼっちで行けた!っていう自信を少し付けて、白シャツ限定ライブ(2016年4月 新宿LOFT)が面白そうだったので、新しく白シャツワンピースを買って、ぼっちで行って。

固まってる人はいるけど、私が好きなのは靖子ちゃんだから関係ないやと思って吹っ切れたんですよね。別に友達を作りに来たんじゃないしって。


ふ ちょっと意外な感じもしました。コミュ力高いんじゃないかなって思ってて。


あ あ、ないです(即答)。


ふ いや、というのも自分の好きなものの界隈の中ではしっかりとコミュニティを確立してたんじゃないかなって思ったんですよね。


あ 元々全くないですよ。

バンギャの中でも界隈ってあるんですけど、女ばっかりだから面倒くさいんですよ。そういう人間関係に疲れてライブに行きたくなくなるとかもう絶対に嫌だからって、今度好きになった人は誰とも行かないし誰とも仲良くなりたくないと思ってて。
自分の好きな人に100%気持ちを注げればいいやと。自分よりも好きな人がいるとか自分と解釈が違うとか、気が散っちゃうんですよね。
どうでもいい事だけど、それが真正面から来たら凄く嫌じゃないですか。自分の好きを汚されたくなくって。結構重いんですよね、たぶん。

だから今はこの界隈で友達が出来たっていうのが意外です。


ふ 自分の思う好きな気持ちは自分の中で大事に持っていたいんですよね。


あ そうです。超大事に囲っていたいんですよね。


ふ 今仲良くしてる界隈の中でも、そういう気持ちってやっぱり言えなかったりしますか。


あ あー…言えない…かなぁ。

実際現場に行っても、他愛のない話はするけど靖子ちゃんに対する気持ちとかって語ったりしたことないと思いますね。


ふ うんうん…よく来てくれましたね今日?笑


あ あー。笑 それを試したかったんですよ。

(靖子ちゃんに対して)ずっと思ってることあるし、スイッチが入ると彼氏の前で二時間くらい語ってたりするんですけど。


ふ 大森さんの良さについて。


あ そうです。ずっと語ってて寝れない。みたいな。笑

語り尽くしたところで、「教祖さまなんだね」って言われたりして。笑


ふ 彼氏さんはそこまでではないんですね。


あ 好きは好きです。でも男性だからっていうのもあると思うんですけど、落ち着いて見てるんですよね。私みたいに感情を持ってかれるふうにはならなくて。




~その曲のちょっとした部分でも自分の曲だって思っていいってことが奇跡に近い~



ふ どんどん掘っていく傾向にあるっていう話でしたけれど、その傾向ってマイナーな方向へ行く傾向でもあると思うんです。

そこで、元々知ったところからさらに大森さんが有名になってくるにあたってのギャップって感じたりしましたか?


あ 『洗脳』が出たときに、『黒歴史 EP』から聴き始めたからなんだろうこの差はって思って。
でも私はちょうど途中からだったから、割と受け入れやすかったのはあるかも知れない。


ふ びっくりはしたけど。という。


あ うん。意外だなって思ったけど面白いなって思って。

(メジャーになったら)路線を変えてくるような人って多いですよね。ビジュアル系だったらすごいコテコテだったのにナチュラルになって売れ線の方に行っちゃった、寂しい、みたいな。でも靖子ちゃんの事はそんな昔から見てました、と言うような程でも無かったし。変わった変わってないでの一喜一憂がなかった。


筋少の話題ばっかりでアレなんですけど、「ノゾミのなくならない世界」って曲があって。ある女の子があるミュージシャンに恋をして、

”この人あたしをわかってる  あたしの心を歌ってる / あたしを覚えてもらわなきゃ”

って歌詞があるんです。でもその曲、後半になると


”アレレレなんだかピンとこない”

ってなるんです。それを10代のときに聴いて考えたんです。

いちいちその曲で自分の感情を測って、自分の共感の点数をつけて一喜一憂するのを面倒くさく思っちゃって。だから、この歌は自分の曲だなとかって感情移入するのをやめたんですよ、それで冷めたとか好きとか嫌いになったとかしたくないから。

靖子ちゃんを聴いたときにはそういう風な気持ちで音楽を受け止めていたんです。靖子ちゃんっていう絶対的な自分の中の好きな女の子っていう存在がまずあって、その子が繰り出すものは全部受け止めようって。別に自分のための音楽じゃなくても好きだから。


でも、実験室で「自分の好きなように曲を解釈することは素敵なことだから」ってMCをして曲を始めたことがあって、その言葉がすごく嬉しかったんです。

 “この歌わたしのこと歌ってる” って歌詞もあるけど、それをこの人は推奨してる!って思って。


ふ 自分の中で確立した愛情がどれだけ歪んでたとしても、それもアリだよねって言ってくれるような感じもしますよね。


あ 全部良いんだ!って思えて。

しかもそれを「素敵なこと」って言葉でまとめてくれたのが嬉しくて。多分それで救われた人は結構いるんじゃないかなって。

その曲のちょっとした部分でも自分の曲だって思っていいってことが奇跡に近いんじゃないのかなって思うんです。そもそもそれを許してくれてる事実が異常なんですよ。別にどう感じようが良いっていうのは思うんですけど、それを本人が言ってくれることって有り得ないと思う。




~そもそも綺麗とか汚いとか関係なく~



ふ ちょっと気になったんですけど、歌詞に対して共感する女の子とはちょっと違うなって思ってた過去がありましたけど、筋少の歌でまさに自分の思ってたことと一緒だったわけじゃないですか。


あ そうですね、確かに。


ふ その歌詞に対してこそ、めっちゃ分かる!これだった!にはならなかったんですね。さらにそこから冷静になって俯瞰したような。そこが面白いなって。


あ それはですね、自分の中で分かってることがあって。

筋少って私と年も性別が違うから、だからなんか違うって思うんですよね。


ふ 歌い手がかけ離れてる段階で、ちょっと違う人なんだってなるんですね。


あ ただ、大槻ケンジは小説も書いているくらい言葉をすごく使う人だから、歌詞全部じゃなくて歌詞の一節だけでも物凄いパワーがあると思うんです。そういうところで響いたっていうのはあります。

攻撃力って言ってもいいかも知れない。笑


靖子ちゃんは性別も一緒ですけど、一番大きいのは同い年だってことかも知れないです。

これまで靖子ちゃんの人生を全部知ってるわけじゃないですけど、色々掘り下げたときに、同じ部分がいっぱいあるんですよね。

小さい頃いっぱい習い事やってたし、学生時代の疎外感とか、わたしも美大に行きたくて画塾に通ってたこともあったりして。靖子ちゃんの出身校も志望校の一つだったから、真面目にやってればもしかしたら一緒の場所にいたかも知れなくて。夏期講習でギッタギタに言われて辞めちゃったんですけど、そこからの人生が完全に分岐したと思ってるんですよね。

そこから何年か経って、やっと会えたというか、超勝手に運命を感じてるんですよ。もしかたらすごい近いところにいたのかも知れないって。

初めてちゃんと共感出来る…というか鏡みたいなもので、自分に出来なかったことをやってくれてる人みたいに途中から見ていて。私が出来ないことも、大森靖子がやってくれるんじゃ?って。指針になったんですよね。その背中を追っかけて何かをやっていれば大丈夫なんじゃないかなって。

だからすごい説得力があるんですよね。


ふ さっきで言う攻撃力ですね。


あ ほんとそう。笑

例えば歳も違う境遇も全然違う、友達最高恋愛最高青春!みたいな歌ばかり歌う歌手に

「学校なんて全然余裕だよ!!」って言われても、そりゃお前はそうだろうなって捻くれて思っちゃう。


ふ 笑


あ でも靖子ちゃんにそれを言われたら、ちょっとだけ頑張ってみようかなって気持ちになれるから。




ふ 大森さんを鏡のように思っているという話で、こう言っちゃあれですけど、(大森さんは)自分の汚い部分も垂れ流すじゃないですか。それってどう思うんでしょう。


あ そういう方が好きです。どうせみんな汚いから…。笑

元々私、人間に対しての不信感が凄いんです。だから汚いクセに汚いことを見せないで生きてる人間が気持ち悪いっていうか。


ふ 胡散臭く見えるんですかね。


あ そうです。だから靖子ちゃんの良い部分も悪い部分も全部さらけ出してるっていうのは人として信頼出来るというか。

基本的に熱狂的なファンって気持ちが重いじゃないですか。だからアーティスト側からのファンへの気持ちよりも、ファンからの気持ちの方が絶対的に重いと思うんですよ。
でも靖子ちゃんは一人で全部受け止めるし、一人で出来る最大限のパワーでその気持ちにちゃんと応えてくれてるところが凄い。

ファンの重さに対して同じくらいのパワーで返すには、綺麗な部分だけじゃ絶対に無理だと思うんですよ。そもそも綺麗とか汚いとか関係なく、全気持ちを持っていかないと出来ないと思うんです。そこまでやる人っていないですよね。現実的に難しいから、結局は口だけで。


ふ 汚い部分も含めて鏡にして。自分自身の汚い部分ももちろんありますしね。


あ そうそう。靖子ちゃんが全部綺麗なところだけになっちゃったら自分の汚い部分は本当に汚いものになって軽蔑しないといけないし、許されなくなっちゃうんですよね。

(靖子ちゃん)本人に自覚があるかどうか分からないですけど、そういう態度も含めてそれを見た人たちがいろんな部分で許されて(赦されて)るのかなって。

私も今は普通に働いてるけど、10代の頃は本当にクソみたいな暮らしをしてたし、学校もロクに行けなかったし。言葉にもしたくないくらいしょうもなかったですよ。

でも今まで生きてこれて靖子ちゃんに会えたから。


ふ じゃあ例えば10代のそういう頃に大森さんに会えたとしたらどう思うんですかね。


あ どうなるんだろう…。

例えば私が高校生だったとしたら靖子ちゃんはもうお姉さんだから、もしかしたらその人の半生を知ったとしてもいまいちピンと来ないかも知れないですね。経験値が足りないっていうか。


ふ そうなると同い年っていうのは本当に大きな部分なんですね。


あ GLAYの曲とかでもそうなんですけど、子どもの頃に聴いた曲と二十歳超えてから聴いた曲だと全然重さが違うんですよ。

それは自分が恋をしてきたとか悩んだとか人と出会った数とか言葉の理解度とか、そういうのが違うと思うんです。

だからたぶん高校生で靖子ちゃんを聴いたとしても私だったらそこまで理解出来ないのかもなぁって。ファッションとかから好きになるかも知れないけど。

あとは同族嫌悪して絶対に聴かないパターン。私と似てるのに上手くいってるように思えて嫌に感じるかも知れない。


だから今のこの距離感とか、出会ったタイミングとかも何もかも含めて、今で良かったなって思えてます。




あ 夢を叶えてもらったくらいに思ってることがあって。
ユリイカで靖子ちゃんとHISASHIさんが対談していたんですよね。

現場に行き始めてからまだ一年くらいだったけど、アンケートに「GLAYのHISASHIさんと共演してください」ってしつこく書いたり、HISASHIさんが靖子ちゃんのTシャツを着てるところを執拗なまでにリツイートしてたりして。

それが叶ったっていう朗報を聞いたところが池袋のニコニコ本社での「オリオン座」のリリイベで、崩れ落ちましたね…。笑

そのときの特典会で「HISASHIさんと対談するんですか…?」って聴いたら「そうだよー!絶対面白いから見てね!っていうかHISASHIさん観に来たときに私のこと観てくれたんだもんね」って覚えてくれてて。

それって靖子ちゃんに出した一番最初のファンレターに書いたことで。覚えてんの⁉︎って思って震えましたね。

私信だ!ってオタクはよく言いますけどいまいちピンと来てなかったんですよね。でもHISASHIさんと対談するっていうのは私信にしか思えないくらい嬉しくて。

いざ決まると夢が叶ったような気分で。願うたびに私の夢みたくなってたなって思って。だから私も夢を持って靖子ちゃんと同じようにその夢に向かって頑張ろうって思って。


ふ ちなみにその夢ってどういうものなんでしょう。


あ 正直もうある程度挫折してきちゃってるんです。美大も諦めちゃったし。

今は結婚して子ども産んで幸せな家庭を築ければ…って思うんですけど、靖子ちゃんを見てると本当に幸せそうで。


ふ 確かに、あの…って言ったら失礼ですけどあの大森さんが家庭を持って幸せそうにしてらっしゃいますからね。


あ そうなんですよ。それってすごく希望で。


ふ この前仙台のライブ(『kitixxxgaia』ツアー)を観てきたんですけど、アンコールのときに大森さんがMCで(畠山)健詞さんと話してて。あの二人同い年だから、「もう30なんだね。フラフラしてるわぁ俺」とかケンジさん言ってたら、大森さんが「ほんとだよね、私はもう子どもいるし」って言ってて。

その「子どもいるし」ってサラッと言うのが昔からすると全然想像出来ない光景だって思えてちょっとグッと来ちゃったんですよね。

結婚は本当に幸せなのか?っていう考えも大森さん持ってたと思うんですけど、それを今大森さんが幸せそうに「もう子どもいるし」みたいに言えるのは本当に希望に見えたんですよね。


あ 結婚って幸せかどうか確かに分からないですけど、そこに辿り着くまでって本当に大変なことじゃないですか。それがまず出来たっていうところで本人の自信になってるんじゃないかなとも思うんですよね。

私も来月たぶん入籍するんですけど、超クズみたいな感じで生きてきたのに案外結婚とか出来るんだって思ったし。

だからそれを同い年の人が言ってるっていうのは本当に納得しやすくて、背中も押されたし。そういうところが靖子ちゃんの強さに感じますね。





ふ それでは最後に推し曲を聞いて終わりにしましょうか。


あ 好きな曲はいっぱいあるんですけど、その中でも「絶対彼女」が好きなんです。セリフの部分が本当にリアルで。

女の子の気持ちを歌う曲っていっぱいあるけど、今日は誰にも会いたくないって気持ちとかも含めてそのセリフに全て集約されてるなって。自分の日々の暮らしとか気持ちの揺らぎとかをここまで言葉にして分かりやすく情景が浮かぶくらいキャッチーにしてくれて。

大森靖子を知らないギャルでもおばさんでもJKでもオタクでも、みんな同じ気持ちをどこかで持つはずなんですよね。何もかもうまくいかなくって好きな服着たのに汚れちゃってもうヤダみたいになっちゃうときとか。

それを言葉にして歌に組み込んだ人っていうのは私は靖子ちゃんしか知らないし、他にもあるかも知れないけど優勝!って思えますね。笑


女でいることって本当に面倒くさいと思うんですよ。それでもなお女の子がいいなって言葉で肯定してくれてると思う。特別じゃないどうでもいい毎日を肯定してくれてる曲です。