今回はメールインタビュー!
「浅いファンですが…」という内容でツイッターのDMをいただいたのですが、
僕は編集していてちょっと涙ぐむようなところもありました。



前回、その7のインタビューご覧いただけましたでしょうか。
ラスト部分、ふじー自身がファンインタビューについてちらっと話しているシーン。
本来ならてめーの話は聞いてねえんだよコラ的圧力を課してデリートキーを押しているところでしたが、「そろそろいいだろ」とそのまんま載せた次第であります。

いちアーティストのいちファンであるただの一般人のインタビューを、こんなインターネットの果てにまでわざわざ見に来て下さるような方々であれば、

なぜ好きになったのかっていうのは、その人の人生に密接に関わってくることが多いですね。他のアーティストではこんなことにならないはずなんですよ。

と僕が話した意味も、これまでのインタビューと照らし合わせるとなんとなく理解していただけるんじゃないでしょうか。

聞き手がわざわざそんな自意識を持ち出してきたのも、今回のメールインタビューの肝となるのはまさにその部分だったからであります。
浅いファンでも。浅かろうが。





 
●お話しできる範囲であなたのことを教えてください。
 
年は30代後半、高校で美術教師をしています。
既婚で、子どもが2人います。

 
●あなたが大森さんに惹かれたきっかけは何ですか?
 
NHKで放送された「ブレイクスルー」という番組に大森さんが出演されているのを見たのがきっかけです。
 
夕食後、台所で洗い物をしようとしてTVをつけたら大森さんが出ていました。
パンクっぽい黒い衣装を着た女の子が出ていて、「しゃべるの早いな。面白い子だな。」って思いながらぼんやり見ていました。お皿洗いながら。
 
そして、番組の中で「ノスタルジックJ-pop」が流れて、その中にあった《昨日のお金でパチンコするとこ見てたよ きみが好き》という歌詞にやられてしまいました。「すごい。恋愛の馬鹿になっちゃう状態、あの感覚そのもの!」って。
とても奇抜な衣装を着ているのに、歌声や歌詞は自分(歌手本人)の生活圏内のリアルがそのまま写しとられているように感じて、「この子好き!」となってしまいました。
 
その後仕事から帰った相方に「すごい子がいる。CD買う。」って宣言しました。






 ●あなたの思う大森さんの魅力はどういったところですか?
 
大森さんの作品が、私を肯定してくれるし、否定してくれるところです。
 
 
●この曲のここが好き!なポイントがもしあればお教えください。
 
私の中で「POSITIVE STRESS」の歌詞にある《ネギ to the ネジ 大人たちはへし折る 社会で使えるネジにするため》と、「ドグマ・マグマ」の《死ねば死ぬほど生きられる時代》という歌詞がつながっています。
 
今は個性が強い子供ほど生きにくい時代だと感じています。
私は美術大学出身で表現することが大好きな友人達と学生時代を過ごしました。中には個性の強い子もいて、社会に出る際に苦労しているようでした。「素直に生きているだけ」なのですが、職場で浮いてしまったり、「変わってるよね。」の一言で周囲から距離を置かれてしまったり。
私はファッションも言動も地味な人間なのですが、それでも考え方の違いに苦しみました。

教師をしながら製作を続けており、新人時代、職場で個展の案内を配ったところ、先輩教師に「君は作家になりたいのか、教師になりたいのか。学校という大きな組織の一員なのだから、歯車にならなければいけない。」と批判されてしまいました。また、美術教師は変わり者だとからかわれることもありました。
教える者が芸術を楽しんでいなければ、その魅力を十分に伝えることはできないと考えているので、製作をやめることはしませんでしたが、ショックでした。そういったことが重なり、職場では自分の事は話さないようにしています。上司が会話の主導権を握り、それにうんうん頷いていれば、職員室で浮きません。一人の時以外は愛想笑いをしてしまいます。私は生活のある場面ではネジなんです。楽だけど、そのことを恥ずかしいと感じる時があります。
ある時、職場の後輩から、「○○先生はいつも笑顔でいいですね。」と言われてしましました。その後輩に悪意はなく、褒めてくれたのですが、私はそれがとても恥ずかしかった。大森さんは戦うことを選びましたが、私は自分を殺しています。でも、それを多くの人が「良い」と肯定するんです。私は私を殺しているのに、それを肯定されるんです。
 
大森さんが「ドグマ・マグマ」で、《ほら あなたも もう死んでるでしょ》と歌うとき、社会に適応する為に変化した私が否定されます。周囲がいいねというネジになった私を、大森さんに踏み潰して、粉々にしてもらえたような気がしました。なぜか救われた気がしました。
 
私は現実に生きているし、へらへら無責任に笑い続けています。それでも芸術を信じているし、出会った生徒たちに芸術の楽しさを感じてほしい、個性を大切にしてほしいと願っています。
同時に、私という型にはまった「ステレオタイプの大人」も見せたいとも考えています。みんなが個性豊かに生きられたら素敵だけれど、子供の中には、本当に弱い子もいます。型にはまることで、集団に属することで生きやすくなるなら、それも生きる力だと思うのです。
 
ひどく矛盾した文章で、自分で悲しくなってきました。
 
 
●大森さんに関わる事柄で印象的な思い出はありますか?
 
今年、初めて大森さんのライブを見に行きました。初参戦にわくわくしていて、「靖子ちゃんの歌を聴いてくるからね!お土産買って来るからね!」と子ども達にのりのりで言って出かけました。でも、会場に行く途中、青文字系ファッションに身を包んだおしゃれな若者達を見つけて、「浮いてるな。」と自分が恥ずかしくなりました。
 
ライブは弾き語りでした。素晴らしかったです。
途中客席へ出て観客とコミュニケーションを取る場面もあり、生の大森さんがいきいきと動く姿に感動しました。歌っている大森さんは大森靖子以外の何者でもないのですが、演劇の舞台を見ているような気分でした。一人の人間がギター1本で、ここまで世界を作り上げられるということに驚かされました。
もう一度書きます、素晴らしかったです。
* *   *
ライブの途中、ステージを降り客席の半ばまで走り出た大森さんは、空いていた客席に膝を載せ、身を乗り出し、後の観客に語りかけるようにして歌い始めました。それを見て盛り上がった観客から笑い声が起こりました。私も突然の行動に驚いて、なんとなく笑っていました。すると、大森さんがくるっとステージ側を振り返り、「笑うな!」と叫んだんです。「無責任に笑うな!」「笑った奴は理由を言え。」と言われ、一瞬会場が静かになりました。
大森さんは、生歌を届けようと観客に静かにするように言われたのだと思うのですが、私は情けない自分に言われた気がして、ショックでした。でも、気持ちがよかった。曲を聴いていた時の感情と、現実がリンクしてしまった感じがしました。

終了後は子ども達にグッズのピンクとブルーのタオルを買って帰りました。喜んでくれました。
 
 
●最後にフリースペースです。

私はライブの為に遠征したり、大森さんのライフスタイルを取り入れたりすることができません。
今までインタビューに答えられたファンの方々のような熱量をもって大森さんを応援することはないでしょう。
それでも、大森さんの歌は大切な私の生活の一部です。CD買って、近くでライブがあれば行くくらいの浅いファンです。でも、ファンです。
 
大森靖子様
あなたの作品が好きです。これからもずっと芸術を愛し、表現し続けてくれたら、私は嬉しいです。
お体を大切にされてください。