今回の更新はインタビュー企画!

およそ二年ぶりの2ndミニアルバム【37.2℃】を引っ提げて、イロメガネの東亜優(ひがしあゆ)さんが登場です!
前作【お花畑につれてって】の発売時もインタビューをさせていただいたあゆさん。
イロメガネへのインタビューが二回目となる媒体は初めてとのことでふじーも気合いが入っております。

イロメガネってどんな人…?みたいなインタビューはおそらく他であると思うので、この二年の変化についてじっくりお話を伺ってきました。
そしてもちろんアルバムの話も。ポップでカラフルでよりパーソナルな部分に迫った一枚だと思っております。


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あ…東 亜優(イロメガネ)


イロメガネ
 
東 亜優(ヒガシ アユ)のソロプロジェクト。
幼少期のころよりピアノを習い、3歳の時、父の誕生日に初めてピアノで作曲をし歌を歌いプレゼントする。 
イジメにより高校を中退、2年間引きこもりの後に大学に進学。 
唯一の趣味である音楽に自分の存在意義を感じ、DTMによる音楽制作を始める。
2009年「イスラエル・パレスチナ学生会議」における学生映画の主題歌を担当。
2009年、8月YAMAHA 3rd music revolution 山野楽器 東京大会 特別賞受賞。
2010年バンド「イロメガネ」での活動を経て、
2012年7月ソロプロジェクト「アユイロメガネ」を、重厚なサポートメンバーを迎え、活動開始。

2014年6月、名称を「イロメガネ」に戻し、初の全国流通ミニアルバム「お花畑に連れてって」をリリース。 TOWER RECORDS 渋谷店 週間チャートJ-INDIES 2位、週間総合アルバム9位、デイリー総合4位を獲得。

2016年5月、2nd アルバム「37.2℃」を全国リリース。

http://iromegane.net/

 

ふ…ふじーよしたか(音楽八分目) 



~全部シングルカットに出来る曲を選びました~


あ 今日は建前を取っ払って頑張りますので、よろしくお願いします!

ふ 二回目ですしね、ぜひ取っ払っちゃってください!お願いします。
最初に、音源めちゃくちゃ聴かせていただきましたが…凄い良いんですよね。
これまでのイロメガネの良さを引き継ぎつつも、さらにカラフルになった感じがして。深化したというか。あゆさんの言葉とか歌詞とか、より深く感じました。

あ ありがとう!私も前作より好きです。
今回はアコースティックっぽかったり打ち込みもあったり色々で。
打ち込みだけなのが、『召し上がれ』『Shall we love?』なので、バンドがあり打ち込みがありアコギもあり、って感じを試みました。

ふ その振り幅は素敵だなと思って。一枚目『お花畑につれてって』は攻めな感じに一貫していたようでしたが。

あ そうですね、前はバンド色が強かったです。

ふ そこから打ち込みが増えて。前のインタビューでも「DTMは同期させたい」と話していて、ようやくそれが出来たのかなぁと。

あ 別に打ち込みのクオリティが上がったとかではないんですけど、9曲の中にバラエティさを出したくて。
前回は6曲だったから1曲だけ浮いちゃうとかで、色んな試みができなくて。それがやっとできたって感じです。

ふ 曲数が最初に決まっていたんですか?

あ 最初は8曲でした。それが増えたんです。

ふ ちなみに増えたのは…? 

あ 本当は『召し上がれ』と『Shall we love?』が入らないはずで、代わりにもう一曲違う曲があったんですけど、色々あって録れなくなっちゃって。
それで打ち込みの曲を急遽2曲作ったんですけど、「どっちもいいからどっちもいれよう!」ってなったんです。

ふ その9曲が新旧入り混じった曲たちで。ライブでもよく演奏する昔からの曲もあるし、新しい打ち込みもあるし、その選曲の基準はなんだったんでしょう?

あ 全部シングルカットに出来る曲を選びました。
今まではそうじゃない曲も入れてバランスを取りたいって思ってたんですけど、もう次があるか分からないですし。


ふ あゆさんの中でシングルカットの基準っていうのはなんだったんですか?

あ メロディアスなこと、耳に残ることですかね。

ふ 昔からの曲もリアレンジされていましたよね。それはライブを通じて変わっていった感覚なのでしょうか?

あ ライブを通して変わっていったのもあるし、『思春期』なんかは前回レコーディングしたときに、もっとこうしとけばよかったなって部分があって。今だったらこうするのになっていうのを何年も思っていて、アレンジが変わっていきました。

ふ 本当に今回も良い曲尽くしで!メロディアスで耳に残るというのも仰るとおりだなって思います。

あ 心を突き刺せる曲であればいいなと思います。
突き放したくないけど、突き刺したい。
共感してもらいたいですね。
「あ、分かる」とか「こういうことあるよね」って感じで自分の体験として共感してもらいたいです。




 
ふ ジャケットもすごい好きなんです。

あ 素晴らしいですよね!私もすごいお気に入りです。

ふ アルバムタイトルとジャケットと合わさって、あゆさん自身がリスナーの解熱剤みたいな。

あ !!なんて素敵なんでしょう!えーそれちょっと使っていこう!

ふ タイトルと合わせてジャケット見たときに、「あっ(あゆさんが)錠剤だ」って思ったんですよね。溶けてる途中みたいな。
解熱剤飲むときってもうすこし高熱じゃないですか。これぐらいの体温ってわりかし元気なんですよね。日常とはまた違うちょっとハイな感じもあり。例えば恋愛とかムカつきとかそういう感情の昂ぶりをこれ飲んで(聴いて)ちょっとハイなところまでで抑えるというか。その出来事は覚えているけど自分は平気っ。みたいにしてくれる一枚なのかなって思いました。

あ うそー!これデザイナーさんによると胎児なんですよ。
そうか、そんなことを考えていたのか。初めて気付いた。

ふ すみません、自分の話ばっかり…!
ちなみにこのアルバムタイトルの由来はなんだったんですか?

あ 「ベティー・ブルー 愛と激情の日々」って昔のフランス映画があって、その原題が「37.2℃」で。
いびつで直情的な恋愛を描いたラブストーリーなんですけど、それがすごく好きでそこから拝借したのと、37.2℃って女性が一番妊娠しやすい体温で。

ふ おぉ、ちょっとゾッときました。

あ 微熱がある感じも相まって…曲を作ってるときすごい辛い恋愛をしたので。そのいびつな愛っていうことがバックになってぴったりだなって思って付けました。



~タダじゃ這い上がれないのかも~


ふ 最初の話にも被りますが、今作はパーソナルな部分がより見えてくるような感覚だったんですけど、前作からこの二年を振り返ってみてご自身の思う変わったところってありますか?

あ ちょうど一年前にアコースティックライブを始めました。それで初めてアコギを弾いたので、『勇気を持ってグッドバイ』『白い橋』なんかはアコギから初めて作った曲だったんです。
今まで打ち込みやピアノから作ることが多かったんですけど、アコギって歌がすごい浮き彫りになるから、そういった意味で作り方が変わったのかなって思います。

ふ 今作は素な感じがあったんですよね。そう言われるとその二曲なんかは特にその赤裸々な感情が出ていますよね。

あ 辛かった…笑

ふ 話せる範囲で聞きたいんですけども…。笑

あ まだ立ち直ってないけど大丈夫かな。笑

ふ そのすっごい辛い逆境を曲ではポップにしてしまっているところが好きで。

あ 多分自分が這い上がるパワーが欲しいからだと思います。
暗いまま終わる曲はあまり好きじゃなくて、勇気が貰えるとかハイになれる曲が好きなんです。
(曲を作るときも)暗い、悲しいで終わりたくないなっていうのはすごく思っています。

ふ 一曲の歌詞の中でも暗いところから始まってはいるけれど、中盤からそれでもわたしはやるんだぞ!っていう感じが出ているのが印象的で。
もしかしたら歌詞を書いているうちに浄化されるのかなって思ったんです。

あ そうだと思います!

ふ 実は前も似たような話をしてて。前回のインタビューでも「ノートに衝動を書き溜めていた」っていうような話をしていましたけれど、それが今では一曲の歌詞の中でその感情のアップダウンが表れていて。

あ 自己暗示とか皮肉もあるかも知れません。

ふ 皮肉…というと?

あ 聴く人が聴いたら分かるみたいな…。笑

ふ ちなみにそれって聴いたら分かる人には聴いてほしいですか?

あ 絶対渡します。毎回渡してますね。『ブラックバードを歌って』も『白い橋』も渡しました。
…これヤバい女だな。笑

ふ 恋の終止符を曲で打つんですね。タダじゃ終わらないぞと。

あ タダじゃ這い上がれないのかも…!


ふ ちょうどMVも先日公開されましたけれど、映像収録曲を『勇気を持ってグッドバイ』にした理由ってなんでしたか?

あ 良い曲だったから…笑 なんか暗いだけで終わらない曲だったので、いいなと思って。
あと新しいからかな?今の自分が反映されてるから。

この間、その映像を撮ったときに、『白い橋』とたまたま被るような映像を撮ってくれて。白い橋で突き飛ばすような。 この曲は『白い橋』と同じ恋愛対象の人だったので、まるでその人との決別のようで…。
『勇気を持ってグッドバイ』はそういう意味で作った曲じゃなかったんですけど、映像になったことによって、「わたしはこの映像を撮って、本当に決別する段階を踏んでいる気がするな」って思ったんです。
曲を作る過程だったり映像を撮ったりライブをやるたびに、整理して決別できている気がします。まだしてる途中ですね。 

ふ そんな曲をライブで歌うときっていうのはどんな感じなんですか…?

あ すっごい辛いです!歌ってて泣いちゃったりもしますね。『白い橋』は何回も歌いながら泣いちゃってますね。

ふ それくらいリアルを歌詞に落とし込んでいるという。
不思議なのが、あゆさんの歌詞って結構リアルな恋愛の歌詞なのに、全然関係ない僕が勇気を貰えるという。

あ 前作から今作の中で一番変わったのはそれかも知れないです。
自分が発散するだけじゃなくって、共感してもらいたいとか明るい気持ちになってもらいたいとか、人が聴いてくれているっていうことを前作が出てからすごい意識するようになって。だからそれは意識してやっていたことなので嬉しいです。





~満面の笑顔よりも、本当に悲しいときにニッて笑った笑顔の方が美しい気がする~


ふ ちょっと載せられないような話もありましたけれど、最初のインタビューで「言えないことじゃないと衝動にならない」というようなことを話していて。
それが今も続いてるんだなぁとしみじみ思いました。結局今でも衝動で書き始めるのは変わってないんですか?

あ そうです。パーソナルなことが起点になるとは思いますね。「なにくそ!」で書き始める時もあるし、当てつけの時もある…笑 自分に対しての言葉でもあるし。

ふ そこまで衝動的だと、自分で歌ってて「こんな歌詞書いてたんだ!」って気づくときもあったりするんですか?

あ あーそれはすごくあります!
今回コメントを頂いたり、インタビューをしていてもそんな風にわたし歌ってたかって思います。
「なんでこの歌詞にしたんですか?」って言われても「分かりません!」っていう…笑
自分でなんで書いたんだろうなって不思議に思うこともありますね。

ふ 書いている間はぐわーっとそれに付きっきりになるんですか?

あ  惑うことがない。一直線です。
例えばなんで『白い橋』は失恋の曲なのに、曽我部さんが言っていたみたいに「わたしの現実は完璧」で締めたのか…。
ひどい恋愛しかしてなかったのに、なんでその言葉で締めたんだろうって最近よく考えてます。多分皮肉だとは思うけど…。

ふ この一行はあゆさんっぽい感じがすごい伝わってきます。
イメージですが、泣いてボロボロの顔だけどビシッと立っている感じがします。

あ あ、嬉しい!笑顔って満面の笑顔よりも、本当に悲しいときにニッて笑った笑顔の方が美しい気がしているので、その美意識とか価値観が反映されているのかも知れないです。
そのイメージはすごく嬉しいです。そういう風にありたい。

ふ その笑顔は強がりなんですかね。

あ 強がりでもあるし、達観でもあるし。そういう出来事を皮肉って斜に構えている笑顔かも知れないし、全部受け止めて許してあげる笑みかも知れないし…そういう人間でいたいなって思います。
ちょっと喋ってて自分で腑に落ちました!笑

ふ 曲を書くことによって、人間的に成長していくというか階段を登っている感じがありますね。

あ ほんとそうだと思います。
引きこもりだったので、音楽があったから人と喋れたり、第三者に聴いてもらうってことを意識するようになったりとか、音楽とか曲作りによって自分ができない経験をしてきているんだなって思います。
成長できてればいいけど…。前に進みたいって気持ちはすごくあります。



ふ 頂いた音源をすっかり聴きこんでしまっていたので実感が無かったのですが、ついにアルバム発売ですね…!

あ 緊張しますね…!九ヶ月かかったんですけど、自分も体調崩して休んだりとか色々あったりして。
頑張っても報われない、レコーディングしても形にならない、ジャケット撮ってもそれが形にすぐ現れるわけでもない。それがやっと形になってパッて見える瞬間、この九ヶ月間の頑張りのご褒美って思うと緊張もするし、待ち遠しいし、泣いちゃうかも知れないです。

ふ そしてリリースパーティも近づいておりまして。

あ そうなんです。素晴らしいバンドの皆様が揃っております。
ちなみに18時10分からアコースティックセットでも演奏して、最後にもバンドで演奏するので、ぜひオープニングからいらしてください!

ふ 最初にも!イロメガネ尽くしですね。

あ あと、21時半からアフターパーティがあって。
わたしが皆さんに挨拶する時間っていつもないじゃないですか。トリだと終わって物販やったらもうそれでさよならで、お客さんにちゃんとありがとうを言えないから、早めにライブを終わらせてDJさんを入れて「みんなありがとー!かんぱーい!」って言えるような時間が欲しいなと思って作った新しい試みです。

ふ 最後に、今後イロメガネがどうなっていくのかなっていう話をしたくて。

あ 正直続けられるか分かんないくらい、今のリリースに賭けたいと思っていて。
だから今はこのリリースとリリースパーティの事しか考えられないです…本当は考えなきゃいけないんだけど…!でもとにかく一人でも多くの人に届いてほしいな…と思ってます!

ふ 分かりました、ありがとうございました!



インタビューは以上です!
およそ二年前の前回のインタビューと照らし合わせてみると非常に面白いのですが、前回彼女は

「楽しませる音楽じゃないと思うんですけど、リアルな音楽でいたいと思ってる」

というような発言をしていたのですが、リアルさはもちろんそのままに「楽しんでほしい、共感してほしい」というような答えに変わっているのがなんとも印象的でした。
全国流通を果たして、聴いてくれる人の声を実感したからこそのお話。

そしてもちろん今作、あゆさんのお話通りの名曲揃い!
こっから二曲シングルカットしなさいと言われたときにどうとでも組み合わせることが出来そうなくらい、一曲一曲に感情の濃度が、メロディセンスが、アレンジの振り幅などなどがぎっちりと込められています。

冒頭で僕はカラフルという言葉を使わせていただきました。
打ち込みからバンドサウンドから幅広い音楽が収録されている、という意味の他のもう一つ。
カラフルというと色鮮やかで明るい色ばかりな感じですが、そもそもひっそりと寒色系が混ざってこその明るさでして。そう言った意味で、ネガティブな感情があるからこそ光るポジティブという意味でのカラフルさも見えるはず。
いわば今の彼女そのものを凝縮した一枚!本当におすすめです。


イロメガネ「37.2℃」 

 372

収録曲
1.勇気を持ってグッドバイ
2.あの時を
3.こわい
4.召し上がれ
5.白い橋
6.Shall we love?
7.空はみずいろ
8.思春期
9.ブラックバードを歌って

発売日: 2016年5月11日
価格:¥2000(税抜)
ESRR-0003


 
そしてお話の最後に出ていたリリースパーティの詳細はこちら! 

イロメガネ『37.2℃』リリースパーティ

日時…2016年5月27日(金)
場所…大塚Hearts+ (
http://hearts-web.net/plus/
OPEN…18:00 START…18:30
前売…˜0(+1Drink)

出演者
イロメガネ
ヘンレの罠
エコ怪獣
無敵キャンディ
DJぞんびちゃん

オープニングアクト(18:10~)
イロメガネアコースティック

以前同じくインタビューさせていただいた無敵キャンディもご出演。 
要チェック!