お久しぶりでございます。
仕事や私事でばたばたしててアレですが、タンブラー「Ongaku Wankosoba」は毎日ペースでコツコツ更新してますのでぜひチェックしてみてくださいというアレ。
今回もタンブラーきっかけの記事。


以前タンブラーで
『上京タワー』という楽曲をご紹介させていただいたのだけれど、それを聴いてからというものの、しばらくMOROHAばっかり聴きたくなる衝動から抜け出せなかった。
MOROHAの音楽には中毒性がある。
リズムやコードやメロディに恍惚を感じるというよりも、やはりAFRO(MC担当)の言葉にあてられた感覚が一番近かった。

今回はそれが収録されたシングルについて。昨年の12月に発売された両A面シングルである。
なんでこんなタイミングなのかというと、4月に公開された『バラ色の日々』のMVをつい先日やっと観たのだ。
いつもならひょいっとタンブラーに挙げてしまうのだけれど、ちょっと勿体ぶってせっかくならシングルとしてブログにしてしまおうと購入した音源を改めて引っぱり出して聴いていたのだ。


  mob


東京という街に夢を抱いて上京するということは旧世代的なものとなった。
芸術の表現はインターネット一つであらかた済んでしまい、むしろ片田舎で自分の暮らしをちゃんと営みつつ、それぞれの活動を続けるようなスタイルがおしゃれでかっこいいと言われるくらいだ。

そんな中彼らの発表した『上京タワー』という楽曲は、そういった生き方に真っ向から中指を立てるような一曲だった。





打ち込みのトラックでは生み出せないアコースティックギターの生きた熱量、そしてその熱量をカタパルトのようにして耳元へ発射されるリリックの数々は、どの一節を取ってもこちらの価値観を揺らがしにかかるような力を持っていた。

生まれも育ちもいわば田舎
緑豊かで広い空
「は?それらが何してくれた?」
はっきり言えば恨んでた 



ただただひたすら腹立つ位に綺麗な星空が
輝き全部奪ってくような
そんな感覚が怖くて
星降る夜の地面を蹴っ飛ばす 

MOROHAは曽我部恵一のお墨付きと共にローズレコードから音源をリリースし、生田斗真や東出昌弘のレコメンドでテレビ番組「しゃべくり007」にも二度出演を果たす。でもまだ足りない。足りない。
番組でも披露した楽曲『三文銭』の一節にも、【今時代に風を吹かす】というという歌詞があった。
 
アフロの考えるアメリカンドリームならぬトーキョードリームは、たとえカッコ悪くても一人でも多くの人へ届かすことだ。テレビくらいじゃまだ足りない。
 

自分の器を問うその前に
溢れる位に注いでからだろ
「やりたい」「やってた」
じゃなく「やってる」
進行形以外信じない
 
 
その為にやることをやる。やるべきことをやる。出来ることをやる。
地道に地道に、田舎の農作業のように毎日を積み重ねていく。
良い曲を作り続けて歌い続けることの難しさは東京から田舎に帰っていった星の数ほどいるバンドマンが表しているだろう。



もう一曲、『バラ色の日々』という楽曲も収録されている。

その話をする前に、2ndアルバム『MOROHAⅡ』にはその対となるような『ハダ色の日々』という楽曲が収録されていた。

この星のネオンに肌色が無いのは
迷わずあなたに帰れるようにと

それは二人でいることの楽しさや幸せを詰め込んだ、不器用で真っ直ぐなラブソングだった。
失恋や片想いの想いの強さをラブソングにぶつけて、共感を経てヒットした楽曲は数多かれど、幸せな今をそのまんま歌えることって実は稀なことなんじゃないか。
そもそもクサいし、彼女がいるだとか彼氏がいるだとかやっぱり公言しないのもミュージシャンとしての姿勢かも知れないけれど、誰かを愛しているということを胸張って宣言するその男気もMOROHAの音楽を通すとカッコいい。


そしてそのアンサーソングのような位置付けの『バラ色の日々』。

リズミカルな押韻の『上京タワー』とは対照的に、ポエトリーリーディングさながら今までの彼女との思い出を一つ一つと確かめるように、単語や文脈一つ一つを大切に伝えてくれるような温度。
ただ、どうにも切ないこの失恋ソングに宿る温度は、溢れ出た涙の温かさのようだ。
涙が眼から流れることによって、自分の肌より涙が温かいことに気が付くようなハッとした感覚が耳元に届いた。


涙がとまらんなんて嘘だよ

必ず互いが幸せになれる ただ
それが悲しくて今泣いてる

悲しいという言葉には冷たいイメージが宿るけれど、その象徴である涙は温かい。泣くという行為は単純なブルーではないのだ。






このMVは映像作家のエリザベス宮地が元カノと別れるまでを記録したドキュメンタリー。
7:13~のシーンは必見…!

大量の写真や映像を歌と一緒にパッケージングすることによって過去の失恋をちゃんと終わらせた。
過去にするために過去と向き合って真正面から花を手向ける覚悟が、幸せそうな写真一枚一枚からびしびしと伝わってくる。楽しそうであればあるほど、辛い。


他人事なれどこんなに感情移入させられてしまう感覚はもはや映画でありドラマのようだけど、これは紛れもなく彼ら(この場合はMOROHAの、そしてエリザベス宮地)のリアルであって、それを音楽として作り上げてしまう勇気。こんなにノンフィクションが強烈な作品は初めて。



そしてMOROHAは恵比寿リキッドルームでのワンマンを超満員で成功させたばかり。
そこで発表された自主レーベルからの3rdアルバム発売予告! 
少しずつ規模が大きくなってきている今、彼らの音楽にどんな変化が訪れるのか非常に気になるところ。
いつだって今を演奏しているのだから、一緒に今を体験しないことには勿体ない!

彼らのノンフィクションは続く。目撃しよう。