明けましておめでとうございました。
本年も宜しくお願い申し上げます。

というわけで、年末ベストでどーのこーのがすっかり去ったこのタイミングで2015年ベストCDを公開させていただきたいと思います。
年末に公開したタンブラーからのベストは楽曲ベストみたいな感じでしたが、こちらに載せる予定だったものは避けて選曲したので、どちらも被りなしです。両方見ても面白いですよ。ぜひに。

さて、昨年からがっつり減らして10枚に絞りました。
特に順位も無く、素敵だったものを挙げております。


!注意!


・邦楽に限りました。但し、インディーズ、メジャーは問いません。
やっぱり結局、ほとんどインディーズだったわけで。

・順不同です。

・シングルもアルバムもひっくるめます。



どついたるねん
「ミュージック」

ミュージック

新メンバーを増やし8人組となった彼らの8枚目のフルアルバム。
彼らにとって今アツい音楽というものが毎回の新譜となる最近の傾向の中、今回は全編R&Bテイストな一枚に仕上がった。
パンクやフォークからの流れによって『大人になったどついたるねん』というようなキャッチコピー。チープでジャンクな面も良い意味で残しつつ、楽曲のクオリティが全体的にグッと向上しているのが印象的だった。

トラックメイキングから携わっているBa.DaBass(ダバス)の存在感たるや!ラップパートでの声のキャラクター性もヒップホップの流れにぴったり寄り添うようなカッコよさ。
そんな彼が作曲したという「Carifornia」の、

Keep the change Yo ! 釣りはとっとけ
恋人に花でも買ってやりな


の言葉の乗せ方がめちゃくちゃいいです。

今年は彼らのライブを見ることが激増したのだけれど、毎回驚かされる観客の度外れした熱も面白さの一つ。
そんな観客全員で合唱できるような「生きてれば」はまさに彼らが歌うからこその名曲。
好き放題という言葉を実存させたようなどついたるねんという一つのクルーが、結局こういうことを歌ってしまうのは反則なんじゃないかコレ。






トリプルファイヤー
「エピタフ」


エピタフ

こちらは各所のベストでよく見かけたけれどやっぱり挙げざるを得ない。

いきなり話は逸れるけれど、書き出し小説なるものをたまにやっている。架空の小説の書き出しだけを投稿し、それを主催であり漫画家の天久聖一先生に選評してもらうという、ざっと言ってしまえば大喜利×文学のようなコンテンツである。
まさにその書き出し小説を思い起こさせるような、歌詞一行のパンチ力の強さが随所に光る。
その一行から主人公の性格が目に見える感じ。そしてそれは誰しもが持ってるようなクズな部分だったりするのが痛い。

今日は寝てよかった日だと思う 納得してる
(今日は寝るのが一番よかった)

お前らの言うことで俺一回も笑ってない
(面白いこと言わない人)

だって 俺 携帯のゲームしかやってないから
(ゲームしかやってないから)

情けないやつだとか思っていると、『一番自分に似合う髪型をよくわかってた』人や、『マスコミの言うことは一旦疑ってかかった』人があっさりとトラックに轢かれていく、「トラックに轢かれた」のシニカルでブラックな世界にゾッとしたりする。

ただ、それを歌うボーカルはジャブという言葉よりも生ぬるい、相変わらずの脱力感を醸し出す。
ガモウひろしのギャグ漫画『とっても!ラッキーマン』の主人公である、ラッキーマンのふにゃふにゃパンチが思いがけないところに当たり敵を倒したりするような、全てのパンチの打ちどころの良さと、それを狙ってやってる感じの全く無いイヤミのなさ。

新しい価値観の若者が
スターダムを駆け上がっていく
俺は 変なおっさんになる


この感情の盛り上がりはなんだ。なんのクライマックスだ。




butaji
「アウトサイド」

out


アルバムの流れ、アルバム一枚としての完成度が群を抜いていた作品だった。
前作「シティー☆ボーイ」からの流れを汲み、今流行りのシティポップへのアンチテーゼとして『移動し続けていくということ』を提唱しきった今作。

アルバムを聴き終わった後、ほんの少しだけポジティブな気持ちになった。どこかフラッと出掛けようかなと思わされたそのちょっとだけの幸福感が日常に寄り添うリアルさだったのをよく覚えている。
絶妙な曲順のセレクトとアルバム全体でも40分弱というボリューム感によって、メッセージが自然と体に染みているような感覚であった。
シングルカットしてもいいくらいのドラマチックさを持つ「銀河」もさることながら、やはりラスト二曲、「Light」「ギター」は必聴!

美味しい水みたいなアルバム。ごくごく飲めるし、もちろん全く害もない。
そして飲めば飲むほどそれが体に循環していくのだ。
もしかしたらこの感覚を増長させていくと、butajiの音楽ではあるけれどそれと同時に自分自身の音楽となり得るのかも知れない。この曲たちを携えて、出掛けてみよう。どこか遠くに。





クウチュウ戦
「コンパクト」


KC

彼らお得意のプログレから、長尺要素を徹底的に排除し、文字通りコンパクトにまとめたミニアルバム。

エッセンスのように散りばめられた彼らなりのプログレは、拍子感をずらされるフレーズ終わりのキメだったり、ガラリと展開を変える思い切りだったり、とにかく印象的なギターリフやキーボードのフレーズだったりに集約され、さながらボディーブローのようにじわりじわりと蝕んでいく。

それが存分に発揮された「追跡されてる」「リカバリーポップス」はロック好きもプログレ好きも引っかかるものがあるのでは。
そんな楽曲が続くなか、最後に収録されている「作られた歌」はメロディというもの自体を題材にした歌詞の通り、生まれたメロディにそのまんま寄り添うような優しいバンドサウンドが意表を突いた名バラード。

歌謡曲然とした雰囲気の融合なんぞはもうお手の物で、その一つの集大成が「アモーレ」なのだと言えそう。
冒頭から泣きのギターソロ。このことについて触れるたびに、荒れる日本海と例えさせてもらっている。まるで演歌じゃないすかこれ。






大森靖子&THEピンクトカレフ
「トカレフ」
ptk

大森靖子のインディーズ時代から組んでいたバンド形態、THEピンクトカレフでのメジャーデビューアルバム兼ラストアルバム。
ブログ内の記事でも書いたけれど、大森靖子の歌詞内の感情を増幅させるだけでなく、それぞれが違うバンドにも携わっているというTHEピンクトカレフ個々人のエゴが混ざったような混沌。

彼女たちがその編成で様々な大舞台に立っている姿はバンドドリームを体現しているようで、音楽業界って面白いと思わされた。
この一枚に関してはここで述べるよりも以前の記事【LIVE】 大森靖子&THEピンクトカレフ 『トカレフ』発売記念ワンマンGIG 新宿ロフト の方を見ていただいた方がいいのかも。

大森靖子個人としては産休から復活を果たし、どんな歌を歌っていくのか。
「マジックミラー」でその片鱗があったように、パーソナルなものよりももう少しスケールの広がった歌を歌うのでは。






あヴぁんだんど
「ピクニック at nerd park」


ピクニック at nerd park


地下アイドル界隈からはこのグループを。
今月末には渋谷WWWという大箱でのワンマンを控え、さらに非常階段とのコラボ音源も発売間近。さらにはその非常階段と一緒にとアメリカツアーまで!何という加速度なのだ。

タンブラーでのベストにゆるめるモ!に対してジャンルレスという言葉を用いたけれど、あヴぁんだんどにおいてもまさに同じことが言えよう。ただあヴぁんだんどのローファイっぷりはなかなか真似できるものではない。
「文鳥」や「てのひら」など初期からあってファンにも好評のライブ定番曲を収録せず、インダストリアルラップのような「西鶴一代女」やオールドロックのようなノイズ混じりの「Feedback Friday」など、あえてアイドルという枠を外れジャンルレスになるような楽曲たちを中心に収められているような感じ。

夏休みソング「勝手にしやがれ」のアッパーさと脱力感がクセになりつつ、詩人の最果タヒが歌詞を提供した「点滅ばいばい」で泣けてきてしまう。
走馬燈のように歌の中で点滅する風景は、普遍的な言葉なれども誰かにとっては憎むべき存在なのかも知れない。どうしたって誰かからは嫌われてしまうということを背負って、見捨てられたアイドルは今日もステージに立つのだろう。





清竜人25
「PROPOSE」


prp


アイドル繋がりだとこちらも外せない。世間的にはまだ地下アイドルなのかしら、この方々は。
清竜人というシンガーソングライターの存在は知っていたけれど、こんなにもエンターテイメントな人だとは思ってもいなかった!

男女ボーカルが生きる一夫多妻制のコンセプトも新しく、それでいて敵を作らないような清竜人のキャラクターとの相性も良い。いわゆるイケメンともまた違うのだけど、歌はセクシーだし、ダンスはキレがいいし。
歌って踊れるボーカリストって久しぶりに見た気がする。岡村靖幸、藤井隆、清竜人。いや、もっといるんですよね、きっと。

緩急自在にバランス良く配置された楽曲たちだけれど、男女ボーカルの静と動が鮮やかな「The Birthday Surprise」や、「A・B・Cじゃグッと来ない!!」を個人的にはよく聴いていたような。AメロもBメロもサビも全て良い!






はなし
「はなし」

はなし


ジャケットイラストのベストがあるとすれば、こちらを挙げたい。それくらい良いジャケット!

昨年の1月22日、『トーキョーワンダーグラウンド』というブログ名義の自主企画にご出演していただいた彼らのライブが結局一年間ベストライブとして脳内に君臨し続けた。
総勢6名の大所帯だからこそのリズム。MVでも公開されている「天才集団はなし」に代表されるように、土着的なドラミングだったり、否が応でも体を揺さぶられるお囃子だったり。日本人ならこれに惹かれてナンボだろう。

ツイッターでもたびたび呟いていたが、「はなし」という楽曲は人生のアンセムだ。
人と話して生きていくということ。会話を通して自分を見つけて、自分を見失っていくということ。人と話すことの面白さ、底知れなさ。話すという行為の深さをまるっとソフトな言葉で歌い上げたのがこの一曲。


中心人物である、Vo/Gt.あおやぎさんを始め、色んな方々にインタビューをさせていただいた2015年であったが、欠かさずこの曲をインタビュー前に聴いていた。これからも聴き続けるであろう。

※ブックレットのスペシャルサンクスの欄に音楽八分目と僕の名前を載せていただいておりました。夢が一つ叶いました…ありがとうございます。






ビイドロ
「ひろばとことば」

ひろばとことば


はなしと同じくフロントマンにあおやぎたかしを据えたこちらはスリーピースバンド。
ぐるぐるとミニマルに回るタイトなリズムの上で遊ぶSFチックにエフェクティブなギターと言葉たち。

おとぎ話や童謡のように平易で親しみやすい言葉の裏にある、批判だったり愛だったり様々な感情が音楽と合わさることでぐっとドラマチックに。

落ち着いた曲調である「ボートこいで」がまさに。
純朴な言葉、優しいバンドサウンド、霞の中に道しるべのように点滅するキーボード、そして多数のコーラスに囲まれて自分もその世界に誘われる。ミドルテンポでトリップしていく感覚は清楚なドラッグのようだった。

「星をとる人」もまたしかり。聴いた人はそれぞれ違った自分なりの星を想像し、自分の世界に当てはめる。
この歌の主人公には妻と子供もいるけれど、やっぱり家族は星という存在ではなく…。
各々の思う星とはなんなのか、星をとることがそもそも幸せなのか。これに関して誰かと語り合いたさ。

映像はアルバム一曲目「こわれてしまったわたしのきかい」
このループ感とコーラスの圧ですよ。やはり。





Ring Ring Lonely Rollss
「goodnight Bohemians」

rrlr


このバンドに出会えて良かった!という感情を今年は抱けるのだろうか。
振り返ってそう思わされてしまうほどの衝撃だった。

バンドが推しているサイケデリックさというよりもとにかくピースフルな一面にベタ惚れ。
イントロ的な導入を経た二曲目「Spectaculer」を聴いて、度肝を抜かされた。
壮大なコーラス(ライブでも色褪せない再現度だった)、浮き立つようなギターリフ、柔らかく繊細なボーカル。
とりあえず一回聴いてみてくれ!と言いふらしたくなるような、文句のなさ。
これで評価されなかったら俺は音楽業界を信じない。

「Wake up Zombie Show !!!」「February」など、キャッチーであることを大前提に、彼らにしか出せない音楽がしっかりと確立されていてそれがもの凄く心強かった。まだまだ知らない音楽が沢山あるんじゃないか!というワクワクっぷり。

そう言えば多幸感という言葉をあまり使えなくなった。というのも、これこそが多幸感!!という体験を彼らとはなしのライブに対して使ったため、それ基準で全て考えてしまうと、なかなか安易に使える言葉ではなくなってしまったからだった。それぐらい大きな感情の揺さぶりをもたらしてくれた音楽であった。





これで以上でございます。
昨年のベストのあとがきでは、シティポップの流れが来るのではなんて言ってたけども、この前Yogee New WavesがNHK出演をちょうど果たし、シティポップの代表格がお茶の間にお披露目されてましたね。全然音楽とは関係ない知人も「あのヨギーってバンドいいね」と言っていたのが印象的でした。

一方、インディーズ界隈というか、もう少しだけディープなところではもうそろそろシティポップはいいんじゃないの?なんて言われていて、一年ももたないのか!とびっくりしているところ。
じゃあ次は何がくるのかね?なんて思ってたけれど、トリプルファイヤーや水曜日のカンパネラのようにシーンとは関係のない突出した魅力があるバンドをどんどん知っていきたい。
個人的には今それは岡崎体育だったり。


昨年は、様々な方へインタビューさせていただいた機会を通して、音楽とその人の人間性が密接に感じる瞬間がすごく愛おしく思えた一年でした。
だからこの音なのか。だからこの言葉なのか。と、その音楽の書き手のことも踏まえて惹かれていくことが多かった。
さながらロキノン的な解釈の聴き方だけれど、自分の音楽の聴き方の一つとしてしっくりくるということが、インタビューさせていただいたりライブを観たりと自らの経験を踏まえて体感できたのが良かったのかなと。

今年もインタビューいっぱいやってみたいですね。
企画もやりたいのだけど、毎回毎回どこから手を付ければいいのか分からない…。
見守っててくださいませ。

それでは、今年も邦楽インディーズレコメンドブログ「音楽八分目」と、デイリーレコメンドタンブラー「Ongaku Wankosoba」を宜しくお願い致します!


ふじーよしたか(音楽八分目/Ongaku Wankosoba)
@fj_pg_yochi
o.hachibunme@gmail.com