前編からの続きです。
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後編になって、より音楽的、ゲーム的な話になってきました。
音源収録曲がどんなゲームからインスピレーションをもらってるか、ネタバレみたいなお話もあり、無敵キャンディの狙うところ、彼らの音楽で何が出来るかという、より本質的なお話も。


 ヂ…ヂロウ(Ba)

フ…フウガ(Vo/Gt)

わ…わたかし(Dr/Cho)

な…なる(Syn)


藤…ふじーよしたか(音楽八分目)




~人間的じゃねぇってことで。笑~



藤 ロックとゲームミュージックについての話もしたいんですけども、作詞・作曲はフウガくんなんですよね。アレンジはみなさんで?


フ 大体僕がデモをしっかり作って、全員にお渡しして、ちょっとずつアレンジしてもらうというか。


藤 そのデモをコピーしていくというような側面もあるんですかね?


な スタートはそこだよね。無茶苦茶難しいもん。


わ 難しい…。笑


藤 キーボードはまぁ打ち込みでいけるとして、ベースとかドラムなんていうのは、デモを作るときに大変だったりとかは…?


フ 元々地元ではバンド友達もいなくて、一人で録音して曲を作るっていうのが基本だったので、実はベースもドラムもギターと同じくらいやっていて。


藤 じゃあ実際例えばヂロウさんは、フウガくんのデモを聴いていかがでしたか?ベーシストとして、とか…。


ヂ どうだろうなぁ…弾き方が違うっていうのはもちろんなんですけど、僕としてはフウガくんはギタリストのニュアンスがどうしてもあるんですよね。だから、これ指で弾いてたら無理じゃね?っていうのがあったりはしますね。
でもちゃんと考えて作られているので、すごいやりやすかったり。
でもこの三人共通して思うのは、(フウガのデモは)人間的じゃねぇってことで。笑


一同 笑


ヂ ゲームに近い音って相当難しいので。
わたかしくんなんかは歌いながら意味分かんないことやってますし、なるくんはキーボード一台で、一曲の中で設定を何十個も変えてやらなきゃという。笑


藤 キーボードの話も聞きたいのですが、音、まんまですよね?
この音はあそこの場面だ!とかあのゲームだ!とか想像が付きやすいというか、好きな人だったらピンとくるものがあると思うんですけど。その辺は何か意識してたりとか。


な それもフウガが最初から欲しい音のリクエストがちゃんとあって。


藤 デモの段階でそれっぽい音で来てるんですね。


な それに近づけたり、こっちの方がいいのではというような感じでディスカッションしたり、基本的にはフウガからくるものにどう合わせて寄せていくか、或いはそれより良いものを作るかっていう意識ですね。
でもやっぱり鍵盤弾きじゃない人の打ち込みならではのフレーズが結構多いから人間じゃ地味に弾けないなっていうのがすごく多いですよね。


藤 笑


な 片手で弾けそうだったのが物理的に無理だったり。そういうところはこっそり変えたり、頑張って弾いたりっていうのをやってますね。


藤 ドラムに関しては、キメっぽいのが多いですよね。音にはめてく感じのフレーズが。
以前お話ししたときに「無敵キャンディの曲すごい難しいんですよ…」っていうようなことをおっしゃっていたのが印象的で。


わ 難しいんですよね。 あーこれは出来ないな。って思いながら。


一同 笑


フ 一番最初の音源を、初めて聴かせたときも、「(低い声で)あーこういう速いの出来ないかも…期待しないでね」って言われたので。


藤 すごくローな感じですけども。笑


わ だってぇ~!弾き語り見てもらって、ドラム誘われて、あんな速いのってなくない?


一同 笑




~ドットのキャラクターたち独特の、あのドットだから出せるスピード感~


藤 そのときのデモは『エスパーエントランス』だったんですか?


フ そうですそうです。


藤 というとじゃあデモを作る段階で、ゲーム感とロック感のすり合わせはもう行われてるわけですね。


フ そうですね。僕の中では。
元々メロコアチックな曲とかロキノン的なものも割と好きなので、ギターはやっぱり歪ませて鳴らしたい感じがあって、それと上手く融合できたらなっていうのは最初にコンセプトが決まったときからありました。
尚且つ、ゲーム独特のスピード感といいますか。


藤 それはBPMだけじゃなくて色々工夫しているような面もあったり?


フ はい、あります。コンセプトが最初決まったときに、僕が昔感じた悔しさっていうのがありまして…。
「星のカービィ スーパーデラックス」がすごい好きだったんですけど、その時のドットのキャラクターたち独特の、あのドットだから出せるスピード感っていうのがあって。
今、3Dで綺麗に可愛くなって、あのスーパーデラックスの時のスピード感って無くなっちゃったんですよね。

それって生の人間に近付いているからだと思うんですよ。
ドットだと単純に点が消えて出てくるっていうだけの仕組みで動いているので、スピード感が出るわけですけど、生の人間は一瞬で移動することが出来ない。
そのスピード感が無くなったのが自分の中で悔しいなって思ってたのがあって。
今度はバンドで、人間がドットのスピード感に近付けたらなって。


藤 それこそスーファミのあの頃に則ってやっているわけですよね。それはこれからも変わらないんでしょうか。


フ いや、根本にはあるくらいで。この音源の中の曲でもすでに外れたものもあるので、根本にはありながら、それをどう柔軟にやっていくかだと思います。


藤 ゲーム感とロック感という二つのワードがどうしても出てきてしまうのですが、そのバランスがすごい上手いなぁと思って。
これぐらいのニュアンスを出せているバンドって今まで見たことなくて。それこそ8bitのピコピコ感に寄っちゃった感じはよくあって。
8bitでなく、スーファミ独特のあのスピード感やらドット感を持って、さらにロックを被せて、パッと聴いてロックっぽく思わせて、ニュアンスとしてのゲーム感がある。というバランスが上手いなと思うんですけれど、それについて何か意識してたりすることってあるんでしょうか。


フ 僕の単なるロック好きが多分そうなっていて、サビではコードをジャーンって鳴らしたいなっていう思いがあるからだと思います。
あと、ゲームはすごい好きですけど、8bitに寄ってしまった場合ってあんまり好きじゃなくて…。それは別にゲームに任せればいいと思ってるので、こだわっているというか、どっちも同等に好き過ぎてこうなっているっていう。


藤 僕はロックとゲームミュージックの狭間で一番難しいと思うのがベースだと思うんですけども、ヂロウさんいかがでしょう。
無敵キャンディのメンバーとなって、何かプレイングで変わったところとか意識的に変えているところとかってありますか?


ヂ より人間的じゃない方がいいのかなっていう事ですかね。
かつベースの音出してて、ベースの音じゃない!っていう。やっぱりシンセチックにならないと個人的にはそんなに面白くないのかなって。


藤 ベースを弾いてるわけじゃないですからね、カービィのバックトラックは。


ヂ そういうところを考えていく面白さっていうのはあるかなって思ってます。別にそこをシンセにしたらそれはそれで面白くないんでしょうけど。


藤 ベースでそれをやってるから面白いっていうのはあるかも知れないですね。


ヂ そうですね。悩むのも面白いかなぁっていうのもあります。




~ゲーム感=テクノ感ではなくて、キャラクター感~



藤 渋谷チェルシーホテルで行われたライブ(10月13日、無敵キャンディ初披露企画ライブ)、観させていただいたんですけども、本当に素晴らしいライブで楽しかったです。
結構若いお客さんが多かったなっていうのは最初の印象としてあって、そこでふと思ったんですけど、もしかしたらあんまりゲームとかそもそも親しみのない人、カービィも名前だけは知ってるみたいな人が聴くかも知れない。そういう人にも聴いてもらうジレンマだったりは多少出てくるかなと思うんですけど。


フ あ、でもそれは割と最初に考えてたことで。
僕はゲーム感に他とは違うこだわりがありまして。ゲーム感=テクノ感ではなくて、キャラクター感だという。
ゲーム感を出すために、世間一般で言われてるゲームっぽさだけで押していくと、ゲーム好きにしか好かれないなっていうのは思ってたので、それをキャラクター感という方に昇華してしまう。
僕ら自体が現実にあまりないキャラクターたちになって演奏をしている不思議な感じ、ヘンテコな感じを出せたらなって思ってPVもあんな感じにしました。
そうやって自分のキャラクターを徹底していったら、別にゲームが好きだからとか何が好きだからとか関係ない領域に行けるんじゃないかなって思って。


藤 それもあって、一人ずつ担当カラーがあったり、職業っぽいのがあったりするんですね。


フ そうですね。それもあって、ある種アイドルみたいな作り方をしてしまっていいんじゃないかと思ってやってました。




~まだほんとに任天堂しかやってないもんね~



藤 この音源の中でもゲームゲームした感じからは少し離れてきた部分もあるという話でしたが、最近の傾向としては離れてきてる面もあったりするんですか?


フ あぁ、えーと…ゆっくりな曲を作るようになりました。笑


一同 笑


フ まぁでもこのバンドの強みだなって思えるのが、ゲームっぽさというその雰囲気さえ守っていればどんなジャンルの曲も出来るっていう。
それこそ、ただピコピコして速いだけがゲームじゃないぞっていうのを見せつけられる場だなと思って作ってます。


藤 壮大な曲とかもアリですしね。


フ そうですね。でもオシャレなのになってくるとカービィ感というよりも個人的にはマリオ感を押していきたいっていう。(この曲は)このゲームっぽい。っていう曲別で作ってるので。


藤 そうなんですか!じゃあこの音源の中にも例えばカービィから離れたものとかってありますか?


フ ありますよ!なんなら『エスパーエントランス』『はずかしい!』しかカービィの曲じゃないんですよね。僕の中では。


藤 そうなんですか!『冒険日記』はフィールドっぽい感じがしました。


な  おー!良かったねー!!


わ 良かったなぁ…。これは「カエルの為に鐘は鳴る」のオマージュというか。

フ そういうデモの案が(わたかしから)来て、それを僕がアレンジして。個人的にBメロに「サルゲッチュ」っぽさを入れるっていう。笑


藤 あーちょっとわかるかも…笑


な 『真夜中パトストロール』「マリオパーティ」だもんね。

フ そうです。まさかのマリオじゃなく、マリオパーティで。
一番最後の『この日のために』は、「ヨッシーストーリー」「どうぶつの森」の融合で。


藤 あー楽しいコレ!すげー分かります。笑
ちょっと話逸れますけど、パトストロールの語源ってなんですか?


フ パトロールとストロールですね。ストロールが散歩って意味で。
自分が学生時代すごい暗い人間だったので、夜中とかに目が覚めて、大体が寝静まってる町を一人で歩いてボーッとするのがすごい好きだったんですよ。
時々数少ない友達を誘って行ったりっていうワクワク感がとんでもなくて。


藤 冒険っぽいですね。


フ そうなんです!なんかそういうバカな遊びがすごい好きで、その遊びが定着したときに、「またアレ行こうよ」って言われたときのワクワク感を曲に出来たらと思ってやったんです。

ふ 『はずかしい!』とかはボス戦っぽいなと思ってたんですけども。


フ それです!メンバーの中ではボス戦っていう通称で。

藤 今の話で言うと、ボス戦っぽい曲なのに『はずかしい!』ってタイトルなのが面白いなと思って。


フ 単純に『はずかしい!』はなるさんに「カービィのボス戦みたいな曲作って」って言われて。よーし!と思って作ったんです。
歌詞は僕の感情的なものだけをテーマにしたい感じはあったので、自分の恥ずかしがり屋なところを出してみたら、と思って。


藤 メンバーの中から、こういう曲にしてくれみたいなリクエストって結構多いんですか?


な 二人でそういう話はよくしたよね。
それこそゲーム音楽は色々あるから、その広さをもっと出していきたいところだよね。
まだほんとに任天堂しかやってないもん。


藤 ! そうですよね。


な みんな共通で任天堂が好きなんですけど、そこからそれぞれ枝分かれしてるところがあるから。


藤 それこそ僕は任天堂にこだわっているのかなと思ってたんですけど。


フ それはもう単純に、僕が小さい頃ニンテンドウ64がすごい好きだったってだけで。笑
だから僕も別にゲームにすごい詳しいわけでもないんですけど、完全にその世界観がすごい好きだからやっただけで。




~お客さんがそれぞれ思っているゲームへの想いみたいなものが色んな形で昇華されるような~


藤 これからはライブも増えていくと思うんですけど、皆さんバンドを掛け持ちされていて、継続していくのが大変そうな感じはあるのですが…。


フ まぁライブを沢山やろうというよりは、その都度しっかり練ったものを発表できる場っていうものとして、数よりも質といいますか。
月一本でも二ヶ月に一本でもいいから、「新しいのが出来ました!今こんな新しいことやってます!」っていうのを、発表できる場としてライブが出来ればとは思っております。数には特に重点は置いてないですね。


藤 そうなると、一回のライブがすごく重要になってくると思うのですが、例えばライブの見どころなんてそれぞれあったりしますか?
各々のキャラクターが色々なことをやっていて、色々なところに目が行くと思うんですけれども。
せっかくなのでお一人ずつ…


フ 本当にそれぞれが変な人で、日頃から話していて変な人だなって思うんですけど、ライブでまたさらにそれが爆発する感じがあるので…。
それこそ見所でこの言い方はおかしいんですけど、どこ見ればいいんだろうって迷って欲しい感じがすごくあります。


な 俺らとしてはフウガを見てもらえれば嬉しいですけど、でも多分こんなことやってたらフウガ以外のところに目が行かないわけがないから、好きに楽しんでくれ!っていうのが率直なところですね。


わ うーん…。なんだろう…。CDでは全部聴いてもらって、ライブではややフウガ寄りで。笑

…あとちょっと自分のことを見て欲しい。


一同 笑


藤 ヂロウさんはいかがですか?

ヂ そうですねぇ…これっぽいあれっぽいというのが色々あるとは思うんですけど、お客さんがそれぞれ思っているゲームへの想いみたいなものが色んな形で昇華されるような30分になるのかなぁと。

フウガ君が言うようなアイドルっぽさはこいつらにはないですけど、普段のやり取りがライブに出てると思うんですよ。こういうキャラクターでいこうっていうものにプラスして内面がどこかできっと出ているので、MCしてるのに遊んでるとか、そういう普段のやりとりが出てくるところも魅力になるのかなぁと思ったりしてます。結局は無理してキャラ作りをしているわけでもないので。

ただ曲が難しいので、苦しんでるところを観に来て欲しいです。笑


一同 笑


藤 音源とライブはやはり完全に別物で。


フ そうですね。音源は自分が思い描いているものを完璧に作ったもので、ライブでは想いだの熱さだの、そういうところを観て欲しいと思います。



インタビューは以上です!

もうゲームミュージックへのオマージュとリスペクトの塊みたいな話ばかりで、あっという間に時間が過ぎてしまいました。楽しくやらせていただきました!

多くのミュージシャンが、「海外バンドの〇〇に影響を受けて…」とか「それは〇〇というアーティストのアルバムのオマージュで…」なんて話しているのをよく聞くけれど、そんなノリがゲームになるだけで、こんなにもポップな話題に見えてしまうのが面白いところ。

しかし、ただのBGMとして誕生したゲームミュージックが、まさに「ゲームミュージック」という一つのジャンルとして愛されるようになったのには、まさに日本のゲームから始まった深い歴史が。
ちょうど先日はテレビ朝日の「題名の無い音楽会」においてゲームミュージック特集が組まれて、昔懐かしのゲームミュージックたちが吹奏楽で再現されたり、別の機会ではプロのオーケストラによる演奏会があったりと徐々に市民権を得ている様子。
たかがゲームと侮るなかれ。本当に奥深い魅力がそこにはあるんです。


〇〇を聴いて、遡って〇〇も聴くようになりました!
みたいな感じで、
無敵キャンディを聴いて、カービィやってみました!って最高だなってふと思った。



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無敵キャンディの皆様ありがとうございました!
ハイチーズ!で撮ったのにこのオフショット感。笑


無敵キャンディ「Get Ready!!」

grd

収録曲
1.冒険日記
2.エスパーエントランス
3.はずかしい!
4.真夜中パトストロール
5.この日のために

価格:¥1000(税抜)
無敵キャンディのライブ会場で発売中!