法政高校の音楽部が主催するイベントに行って来ました。
なんと創部20周年!それを記念したOB・OGバンドのライブとのこと。

学生たちが中心となって設営された音楽室は、そのまんまライブハウスになって いた。
そんな音楽室で大好きなバンド、井乃頭蓄音団を見てきました。



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夕方、井の頭公園駅から住宅街をぐねぐね歩いて15分。ちょっと不安になるくらい歩いていると、 森を思わす高い木々の中に綺麗な建物が姿を現した。 夏休み中の閑散とした学校だ。

半開きにされた門を通り抜けると、受付のお兄さんが「こんにちはー」と挨拶してくれた。
挨拶!そうだ、これが学校だったんだ! 突然ノスタルジックな気持ちに襲われつつ挨拶を返したのだった。


会場となる音楽室ではすでに午前からライブが行われていて、 自分が入ったときにはOBの方々のジャズセッションが繰り広げ られていた。当たり前ながらみんな上手い…!

PAや照明は学生たちが運営しているようで、 タイムテーブル上は押していたものの、 すでに専門学校のような体験が出来ている彼らを羨ましく思った。


イベントではOBバンドに混じって、ザ・ ラジオカセッツやたいへんにんげんVo/Gt 中原チャーリーの弾き語りというインディーズシーンの面々も並び 、さらには「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」 でブレイクしたゆうぞうも音楽部のOBという縁でバンドとM Cで参加していた。

なんと豪華な顔ぶれ。そして無料。なんだか申し訳ないくらい。



そして今回の目当ては、井乃頭蓄音団

アルバム「さよならロンサムジョージ」 について結構前に記事を書かせていただいたものの(http://hachibunme.doorblog.jp/archives/37661371.html)、 あれからほとんどライブを観に行けておらず、この貴重な機会にやっとこさ巡り会えた。

彼らはあれから渋谷B.Y.Gにて三ヶ月連続のワンマンライブを敢行 (全てソールドアウト!)し、 さらにはフジロックフェスティバルにも出演を果たす。
12月には渋谷WWWにてワンマン【グッバイ東京コンサート】が予定されており、 まさに今波に乗っているところ。

サポートドラムであるキシモッティ が、この音楽部でドラムコーチをしているらしく、 その縁でバンドとして参加することとなった。
全く彼らを知らない高校生にはどういう風に映るのか、 楽しみだった。


セッティング中でも、Ba大貫 が一生懸命チューニングやらバランス調整をしているときに、
「あのベースのお兄さん、 アンプいじってるようでなんにもしてないからね! なんもやってなくてもいかにカッコよく見せるか、 これがチューニングの極意ですよ!」
などと笑いを取りにいくVo/Gt松尾よういちろう。


「改めまして、井乃頭蓄音団です!宜しくお願い致します!」
しっかり漢字を使って書きたくなるような丁寧な挨拶の後、 始まった一曲目は『昔はよかった』

これを高校生の中で聴くノスタルジアたるや!

音楽室に行くまでに通ってきた教室に置かれた机や、 落書きだらけの黒板が一気にフラッシュバックしてくる。
井乃頭蓄音団のメンバーよりは若いけれども、 高校生よりは圧倒的に歳を重ねてしまった。 いわば年代のサンドイッチにされた微妙な立場でこの歌を聴くとい うことは独特の感慨深さがあった。


「これが君たちの未来の姿です!君たち一人一人に歌います!」 と叫んで鳴らされたのは『親が泣く』
その真意は曲中に。





諦めきれずにもう三十四!

とリアルな歌詞に変えたり、

おやーがなくー!

というサビがそのままコール&レスポンスとなる風景。
会場の学生も含めて、 急に親不孝者どもの集まりのように思えてニヤリとする。

彼らからはこのバンドはどういう風に見えたのだろうか。 諦めきれずにずるずる好きな音楽を続けているおっさんの集まりに 見えたのか、それとも。

あぁそういえば端っこの方にはPTAの名札を下げた保護者もいた っけか。
でもやっぱりいい曲でしょうコレ。


音源未収録曲、『文豪気取り』後半のソロ回しではドラムソロを二回もプレイ!
「先輩が叩いてるんだよ!もっと盛り上がろうよ!」と煽る松尾。
キシモッティ先輩もここぞとばかりに暴れ回ったドラミングを見せ る。ヒュー!!とかイエー!と声を上げて盛り上がる学生たち。
彼がバンドメンバーに愛されてる感じが見ていても伝わってくる。
しきりに「岸本はいいやつなんですよー。 仲良くしてあげて下さい」 と話していた松尾の姿が思い起こされた。


松尾のふざけっぷりが炸裂する『アンゴルモア』も披露された。
冒頭のアコギリフを背面弾きで披露したり、 曲が始まってからはギターを手放して自由にフリをつける。 サビではトレードマークのジャケットを自分ではためかせるパフォーマン ス。
その松尾の一つ一つの仕草にハマっている女子高生二人組が目の前 にいて、微笑ましい気持ちでいっぱいだった。

サビ終わり、サイドギターの二人の「ギター!!」の掛け声とともに 繰り広げられる、松尾の口ギターソロ! 初見のお客さんたちが爆笑する姿と、肝心のソロの( ちゃんとした)かっこよさにやられて、 ついつい涙が出てきてしまった。
これはなんの涙だ。

せっかくなので、バカバカしい(褒め言葉) PVもあるのでここで。





最後に披露されたのは、カントリーロード』

ふざけたりもしたけれど、いい歌もきちんとあるんですよ。 と言わんばかりの一曲を最後に持ってくるこの感じ。ニクい。

卒業してから今日までの道のりは本当に長かった
友達とも学生の頃の様には会えなくなっちゃった



歌い出しの歌詞からして、まさにこのライブにぴったり。
松尾も歌い出してからそのマッチングに気付いたようで、 少し表情が変わったのが印象的だった。





音楽部20周年を記念した今回のライブ。 井乃頭蓄音団が出演したのは本当にたまたまの縁だけれども 、音楽部の積み重ねてきた歴史、 軽音楽への熱意をびしびし語った顧問の小出先生、 そして音楽を愛してやまないOBたちや学生たちの中でこの楽曲が 披露されているこの瞬間がとても尊い景色だった。

昔に戻るとしたらやっぱり高校生だなと。
当時は大学生になったら…、大人になったら…、 なんて考えていたけれど、 やっぱり一日のどこかにある体育の授業に怯え、 激安の紙パックぶどうジュースを飲みながら友達と盛り上がり、 夜遅くまで部活をやって帰っていたあの日常が、 今でも鮮明にフラッシュバックしてくるのだ。
よりにもよって高校の校舎の中でこんなノスタルジカルな想いにさせられる曲たちを 聴く日が来るとは。


誰もが知ってるこのサビ。

Country Roads  take me home  To the place I be-long
West virginia  mountain momma Take me home  Country Roads



松尾のボーカルはこの二行目から急にカタカナっぽくなる。

一番も二番も三番にも、それぞれ主人公がいる。
一行目では原曲が主人公の頭の中を流れていて、二行目になるとそれを主人公が口ずさみ始めたように思えるのだ。うろ覚えでも、へたくそでも、あの時聴いたあの歌を。

今回のライブでは、まさに自分自身がそこの主人公になってしまったかのような錯覚すら覚えた。
熱量と環境。



終演。
やばかったねー!がこだまするあの音楽室。
面白かったね、かっこよかったね。色んな声が聞こえた。

アウェーのライブではあったと思うが、 学生たちをぐいぐい引き入れていく感覚があった。 その証拠にいざ終わったこの雰囲気はすっかりホームではないか!

エンターテイメント性すら兼ね備えたこのバンドのライブは、 学生たちに強烈なインパクトを残したに違いない。
高校生の人生観を変えてしまっていてもいいようなライブだったと 思っている。
まかり間違ってインディーズバンドなんかで頑張って活動しような んて思っちゃったやつもいたんじゃないか。

もはや心の底から応援したい。いい曲作ってくれ。


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