見たことも聴いたこともなかった人の音楽に、対バンライブを通して出会えるということは何度経験しても興奮するものだ。
今回ご紹介する方もそんなお一方。




hadaka




素な雰囲気がいいジャケットです。
なんだかこの感想が音楽にも通ずる気がして。



今回ご紹介するのは、島津田四朗という香川県在住シンガーソングライターのアルバム。

全国各地をギター一本で回る彼を香川のライブハウスで見ることが出来た。本当にたまたまの出来事だったけれど、関東在住の身としては奇跡的な出会いだったように思う。

映画館を改装したライブハウスの、少し高いステージに一人で立った彼の等身大そのまんまの歌が忘れられずこうして文章を勝手に書いている。




最新作「裸のタシロー」は、昨年12月に発売された彼の三枚目のアルバム。
曽我部恵一主宰のROSE RECORDSから発売されており、曽我部恵一自身も加わったバンド編成で録音されている。
なにはともあれ早速聴いてみよう。





 

着飾ったような弾き語りというのはあんまり好きじゃないのだけれど、彼の音楽は全く違った。
ふっと湧いたような彼の言葉がそのまま歌詞としてのっかっているようで、「裸のタシロー」というアルバムタイトルが実にしっくり来る。



好きなことやりたいことを全部やろう、会いたい人にはみんな会おうと歌う「起きろ!起きろ!」や、楽しいって感じたらそれを歌おうと伝える「めっちゃ良い事」など、かみ砕く必要もないくらい、素直で平易な言葉でもって言いたいことを歌詞にしてくれる。老若男女全方位。



そんな楽曲の並ぶ中、そういった素直な歌詞の究極として、


サビ サビ サビ これがサビ


と歌う、その名も「サビ」という楽曲!笑
こんなサビを共作しているギターパンダこと山川のりをとデュエットしてしまうシュールさが最高。
ばっちりライブ映像もあるのですが、あまりに映像押しになってしまうのでちょっと割愛します…。
YouTubeで検索するべし。

 

最近ふと思ったことなのだけど、良い弾き語りというのは、曲を聴いていくごとにその人のこと自体を理解して好きになっている。
何もアツい演奏じゃなくても、その人自身が出てくることってあると思う。
ぶつけてくるというよりは、滲み出てくる感じ。


 

「歳取ったら何して遊ぼうかな?」は、タイトルそのままのフレーズを、ゆったりと歌い上げるバラード。

楽しく暮らしたい!というよりも、楽しく暮らしてぇなぁ。。みたいなぼんやりとした感覚がなんともリアル。
あくまでも音楽が楽しくて音楽を続けているというような感じ。



そんな彼の思う音楽の楽しさを、たっぷりと見せてくれる「ギターギター」
これはライブ動画があるので見てみよう。

 






ユーモラスな中、ギターへの愛も含めた音楽愛で埋め尽くされている。
ギターってこんなすげぇんだぜ!見て見て!と思わずお母さんに自慢しちゃいたくなるような、童心のわくわく。それがこの歳になっても音楽で表現できてしまう無邪気さ!チャーミングなギターソロがまさに。




アルバムラストは「年末」という曲。

レコード大賞 お蕎麦 紅白 除夜の鐘 などなど…大晦日から元旦までのワクワクをキーワードだけでぎゅぎゅっと詰めた一曲。
ボーナストラックのような位置付けの短い楽曲なのだけれど、そこに光るメロディーとノリの良さ。単純だからこそ、ついつい口ずさんでしまう。

今回はなんだか映像が多いけれど、せっかくなので最後に。




演奏はソロだけど、音源ではレコーディングに参加した面々がみんなでこのフレーズを歌っている。
その合唱がそのまま幸せなエンディングに。


音楽って楽しい!と思わせる大前提を目の当たりにしつつ、なんだかこの人の人生楽しそうだななんて思ってしまう。
理不尽なことだったり辛いこともそりゃあるかも知れないけれど、この人の音楽からはそんなことを微塵も感ないのだった。

辛いことがあっても楽しく歌って楽しい気持ちになっちゃえばいいじゃん!というマリー・アントワネットのようなポジティブさ。

四畳半的多幸感というような言葉が思い浮かんだ。
ディズニーランドに出かけたり、フェスに参加したり、そう言った非日常の幸せもたまには必要だけれど、ごくごく普通の毎日をちょっとだけ幸せに過ごすコツが、このアルバムにはたくさん詰まっているのだ。