2015年2月、新宿JAMというライブハウスで、ハートたちのレコ発イベントがあった。
まだ結成されたばかりなのであったが、二曲MVが上がっていて、非常に気になっていたバンド。
その企画ライブの空間の雰囲気が今でも忘れられない。
バチバチのツーマンイベントでありながらも、根底にはハートたちへの愛があった。
対バン相手のTHE抱きしめるズは会場に来ていた高校生を集めてモッシュを起こしていて、ハートたちはVo.秋村充がMCで音楽への熱い気持ちを吐露しつつ、清涼感のある爽やかなギターロックを演奏していた。
これは何人か人生変わってもいいんじゃねぇの!などとわくわくさせられたイベントだった。
終演後、挨拶に伺ったときに「秋村充と申します。宜しくお願いします」と言ってしっかり両手で握手をして下さったときに、確信した。
この人の人柄が今日のイベントを作り上げたのか。
彼は、昨年京都から単身東京に乗り込み、一からバンドを始めたところ。そのストーリーが非常に気になった。
その企画ライブでバンドメンバーが脱退となり、実質秋村充一人から始まったばかりのハートたち。
新メンバーのギタリスト、ジャーニィの加入が決定となったところで、インタビューをさせていただけることになったのだった。
秋村充について、ハートたちとは、たっぷり質問させていただいた。
ハートたち
(右から)
あ…秋村充(ロック歌手)
ジ…ジャーニィ(電気ギター)
ハートたち
2014年8月1日東京にて結成。メンバーチェンジを経て現在2人で活動中。ベース・ドラム募集中。
http://hearttachi.wix.com/suki#!home/chvo
秋村充
2009年初夏 ギターを初めて手にして弾けもしないままライブハウスに飛び出し京都で音楽活動を開始。年間約100本近いペースでライブを行う。これまでにバンドを4組結成・解散。
2013年初夏 メジャーレーベル「ミディレコードクラブ」と契約。1stアルバム発売。
2014年真夏 東京へ活動拠点を移し新たなバンド「ハートたち」を結成。
http://www.akimuramitsuru.com/
ふ…ふじーよしたか(音楽八分目)
~とりあえず俺がカッコよくなったら世界は変わるとしか思ってなくって~
ふ よろしくお願いします!
二人 よろしくお願いしますー。
ふ まず秋村さんのお話をしましょう。2009年から京都で活動されていたとのことでしたが、京都での活動はバンドだったんですか?
あ いや、ちゃうんすよね。
2009年の夏、大学四年だったんです。レコードが好きで、軽音部にも入らなかったんだけど、レコードだけ聴いてたんですよ。まぁよくある典型的な軽音部やりたいけど、できひんかったやつで。
就職もできひんし、なんも出来なかったんですよ。そこにとりあえずアコギがあって。
ふ それはご自宅に?
あ いや、友達の家に転がってて。「俺ちょっとやってみるわー」って。笑
んで、コード弾けないまんまライブハウス電話して、出たんですよ。
ふ おぉ、急に!それは何で…人前で歌いたかったんですか?
あ そういうのもあったんですけど、いずれ就職せなダメで、みんなが当たり前のように髪切って兵隊のように大人になっていくのが信じられへんくて。
人にへばりついて学校とか決めるような、一人で物事を決めたことがないやつで。人とも喋れへんかったし。
初めて自分一人で選んだのがそれでしたね。そこから一人で、二、三年やってって感じですね。
ふ ずっと一人の弾き語りで?
あ ずっと一人。でも男の子やしバンドしたいから、途中でドラムと二人でやったり、バンドが出来たり、とかを繰り返して。でも形はずっとソロでしたね。
ふ バンドサウンドには憧れとかあったんですか?
あ それしかなかった!
ふ それでもいわゆるバンドを組まないでソロとして「秋村充」を前面に出して活動していたわけじゃないですか。
バンド名を掲げなかったっていうのには理由があったりするんですか?
あ そういうのを知らなかったんですよ。
バンド組んだらバンド名考えなアカンとかなんも分からなかったので、とりあえずそんな形でした。
なにも音楽のこと知らんから、今やったらみんな初めに戦略立ててとかするんですけど、とりあえず俺がカッコよくなったら世界は変わるとしか思ってなくって。だからそんな概念なかったんですよ。
~なんも努力してない学校生活でした~
ふ ミディレコードへの契約もされてますよね。こちらはどういった経緯で…?
あ 初めて三年前にスタジオで録音というのをして。その曲をミディに憧れがあったので、ミディだけに送ったんすよ。
そういうのいつも五千通くらい来てるらしいんですけど、社長が海外に行ってて月一回くらいしか日本に来ないんすよ。たまたま秘書の方が、「この人字むちゃくちゃ綺麗だからいける!」って社長に渡したらしくて。
それで朝四時に、僕が爆睡してるときに電話がきて、僕たまたま出たんですよ。
そしたらタイミングを大事にする人だから、「よし、電話出た、オッケー!」って。笑
ふ すげー!笑 書道もやってらっしゃったんですよね。
あ 書道は高校のときに。絶対部活に入らないといけない学校だったんで、なんでもええわって書道部に入ったんです。
ふ え、高校から始められたんですか!小さい頃からやられてたのかと。
あ いやいや、高校から。
書道の時間に「秋村書いてみろ!」って言われてぶっとい字で「無」って書いたんですよ。それが世界ナントカ大会に入って、それで大学に入ったんですよ。勉強せんでもよかった。
結局書道部もすぐ辞めちゃってね。
なんも努力してない学校生活でした。大学も社会福祉学部っていって保育士と社会福祉の学校やから、いい奴しかいないんですよ。だから勝手に出席取ってくれて、ノート見せてくれるから、全く学校に行けへんくてもよくて。そんな生活でしたね。
ふ すごい恵まれた、というか…。
あ 運だけね。
ふ プロフィールを拝見したんですが、2013年にミディに入って、もう翌年の2014年に東京に来てるんですよね。
僕はもう京都でがっつり活躍されていたイメージがあって、そこを蹴って…という言い方はおかしいかも知れませんが、またゼロから東京で始めるわけじゃないですか。
この東京に来た理由がすごい気になっていて。
あ livehouse nano ってところに一年目で出させてもらって。
nanoのキャパが70人くらいなんですけど、そこを満員にするってのが僕の夢でして。バンドとソロで二年連続満員にさせたんです。
あと、京都のシーンってちっちゃいコミュニティみたいなものがいっぱいあって、僕は全力でハミってて。
僕はバンドマンではないし、ライブハウスで酒飲んでワイワイするやつと今やから友達になれたし。やっぱりバンドマンの友達もそないにおらんし。
そんな中誰とも群れずに、一人でソールドさせて、ミディにも行けて、ざまあみろと思ったんですけど、やることが無くなったんですよね。
ここにいても俺はみんなに届かへんし、バンドをすることが僕の夢やったし、メンバーとの出会いも無いと思ったし。ただ単純にそれだけですね。新しい出会いの為。
ふ 僕はそれで不思議に思ったのが、京都でやってた人たちと一緒に来てるのかと思っていて。そうじゃなくて全くゼロから始めたっていうのは、やっぱりその出会いを考えて…?
あ いいメンバーを引き連れて来たかったんですけど、でもみんなそれぞれバンドしてたんですよ。
それもあったし、もう一人でも苦しくないなとも思って。
~往復1000キロを、一人で~
ふ こうやって今バンドメンバーを募集しているわけですが、ギターは加入が決まって、ベースを募集中と。
(2015年5月6日現在、ベース募集中)
あ 8月1日に東京に着いて、3日にはもうベースとドラムを見つけてたんですよ。それで29日に初ライブをして。
ふ すごいですね…。だって29日のライブはすでに決まってるわけですもんね。それはもうバンドで出ようと?
あ うん。そっからノンストップで進めていって、大好きな人(タカユキカトー【ex.ひらくドア】)にレコーディングしてもらって、PVも撮って、企画もして、ってやってたんですけど、やっぱり自分のやりたいことが全部出来なかったっていう。まだまだこんなもんじゃないって思ってやってたので。今も一緒ですけど。
やっぱり前の企画(2015年2月15日新宿JAM、THE抱きしめるズとのツーマンイベント)でもこんなもんじゃないっていうのがすごく強かったので、全裸で音出し合えるようなメンバーをちゃんと見つけてしっかりやりてぇなあって思って。今はそんな時期ですね。
ふ そこでジャーニィさんと。
あ ジャーニィは三年前からの知り合いで。
その当時横浜の大学生たちがすごい僕のことを気に入ってくれて、お客さんでよくライブに来てくれてたんですよ。その集団が、メタルのイベントに僕を呼んでくれて、その中で一人アコギで参加したんですよ。
彼はその時にCDを買ってくれたやつで。
ジ 元々横浜の大学に通ってたんですけど、大学の知り合いのつてで、そこに秋村さんがぽんと来て。
その繋がりのイベントに出演していたメタルのバンドが、僕の友達だったので見に行ってて。
見ていたら一人だけメタルの中にアコギで出てる人がいて、「すげーな、CD買おう」って単純に。
ふ それが今まで関係として続いてきたわけですもんね。そこからバンドメンバーにまでなってしまうというのがなんとも不思議な縁です。
あ そうですね。その大学生たちと上京する度に結構遊んだりしていて。ジャーニィの友達の女のコを好きになったりもして。笑 それが「東京」のPVに出てる女のコなんですけど。
彼だけレコードの趣味が良くて、一番突出してモテへんキャラで。やっぱそういうやつとの方が居やすいんですよね。
あとね、アホやし。ノリが良くて、「明日京都来いよ」とか言ったらほんまに来たりとか。笑
去年上京する時も、「上京するから、レンタカーで来て!」って言ったらほんまに来て、その足で上京。
ジ 往復1000キロを、一人で。
ふ やべぇ。笑 なんていい人なんですか。
あ メンバーにしようかってずっと考えてたんですけど、こっちも仕事やし、仕事仲間にするにはまだ大学生っぽかったんですよ。甘いというか。レスポンスも遅いし、まだまだそういうのができひんなって思ったし、僕もCDを売らないといけんという結構シビアな時期で、やっぱりできひんなってなって。
けど、こっち来て久しぶりに会うとすげぇ成長していて。ギターも上手くなってるし、しっかり成長してるんですよね。
俺に結構鋭いことも言ってきて。逆に僕自身が助けられることがちょっと多くなってきて、メンバーが抜けるって言った時にもう電話して「やってくれ」って。
~世の中でこの先大人になっていく中で、信じられるもんって、友達か夢か希望か女のコか、それくらいしか多分ないんすよね~
ふ せっかくなのでバンドの話もしましょう。
冒頭のお話にもありましたが、バンドに憧れがあったけれど、バンドというもののやり方が分からなかったから、「秋村充」としてやっていたと。
そこから「ハートたち」という名前を今回名付けて東京に来たわけですよね。
過去のバンド名である「秋村充withジョンレノンたち」とか、「秋村充」を推す名前ではないのですが、やはりゼロからバンド名を付けてスタートしたっていうのは何か思うところというか理由があったりするんでしょうか。
あ 一つにならないと生まれへんもんがあるっていうのはすごい感じてた。
よくある青春の映画じゃないですけど、東京に来たから『バンドやろうぜ』って高校生に戻った気分でバンド名を付けて好きなやつとやりたかったっていうのがあったのと、これから先「秋村充」っていう名前一つでもっと世に出たりできても、俺一人でここまで来たんやないから好きな人と同じ名前名乗れる方がよくね?楽しくね?って思って。
いま「ハートたちの秋村充」って言ったらぜんぜん前と見栄えが変わったみたいで、お客さんも「ハートたち」って僕の頭ん中のイメージをよう分かってくれたみたいで、結構なロマンチストたちがライブに集まってくれるようになった。なんかより会いたい人に会えるようになった。
ふ 結局秋村さんの歌を演奏するわけですよね、それにあたって「ハートたち」ってバンドのカラーが分かりやすいというか。理解しやすい。
秋村さんはラブソングをすごい大切に感じているのかなと思うのですが。
あ 僕の場合のラブソングってのは…なんですかねぇ。
松っちゃんのお笑いのような、悲しみを持った笑いみたいな。なんつーか上手く言えないんですけどああゆう感覚。「ばっきゃろー!」って叫びたくなるようなラブ。ドキドキしてるようでなんだか悲しいみたいな、よく分かんないっす。世の中で唯一よく分かんないことやからラブをソングしてると思う。ラブソング以外に歌うことなんて絶対にないはずなんですよ。
ふ ずっとラブソングを歌われている印象があって、こだわりがあったのかなと思って。でもそれしか歌えないっていうのはなんだかしっくりきました。
あ でも世の中でこの先大人になっていく中で、信じられるもんって、友達か夢か希望か女のコか、それくらいしか多分ないんすよね。歌うことなんてそれぐらいしかないんで。
ふ 女のコっていうのは、恋人とはまた違うんですかね。
あ そうですね。男の子って、女の子の事が分かってしまうとラブリーが死ぬ部分ってあるじゃないですか。例えば何回かセックスしたらこの人を全部知ってしまったような感覚みたいな。
恋っていうのは僕の中で、手の届きかへんものを追いかけて…クラスのマドンナを追いかけるみたいなものです。それを手にしてしまった瞬間って何かが終わっちゃう部分もあるんですよね。
ふ いざマドンナとお付き合いできたとしても。
あ 不思議がずっとないとダメなんです。女の子は絶対的に不思議な存在!ってのをずっと追いかけないと歌にできない。
~キラキラしたいっていうのがテーマ~
ふ 歌詞を見ていても、男性というよりは男子な感じがしてて。
初恋とか、あの子と付き合ってみてー!っていうのが夢を描くことにも似たドキドキ感があるのがすごい好きで。
ジャーニィさんは、そういう秋村さんの歌詞観とか世界観に対してどう思いますか?
ジ さっきも言ったとおり、僕もどちらかと言うとそういう女性的なものに恵まれてこなかったというか。
切ない部分、そこらへんにシンパシーを感じてて。言葉で話したことはないんですけど、それに惹かれました。
ふ その男子っぽい話もしたくて、今日。
あ あーいいっすね。僕自体が完全には男性っぽくないんですよね。声も優しいし、男っけが足りひんっていうか。
パンクが大好きで、パンクバンドばっかりやってたんですけど、男臭いバンドとかすごいジェラシー感じてて、俺こうなりたい!って思うんですけど、どんだけやってもなりきれないんですよ。
感性とか考え方とか好きなものもちょい女性っぽいと思う。だからこそ俺についてこい!押忍!みたいな柔道部的な感じじゃなくて、なんか煌めいてるロマンチストみたいな感じの歌が歌えるんやと思います。
ふ 普段の俺様感と、そのなよっとした感じのギャップが面白いですよね。独特だなぁと思うんですよ。
秋村さんの音楽ってゴリゴリのロックではないじゃないですか、ロックサウンドであっても必ずポップで耳当たりの良い感じがあるっていうのと、そのギャップがリンクするような気がして。音楽にもそういうのって出ていたりするんですかね?
あ そうですね。僕はピストルズから入ってそういうロックに憧れはあったんですけど、渋谷系とかにも憧れがあって。色んな方向に走ったりしたんですよ。メイクもしましたし。笑
でも結局、自分のできることはその中間。眼とかステージングとか歌いたいソウルは男気やけど、出す音はメスっけというか渋谷系というか。よう分からん立ち位置なんですけど、そこが一番腑に落ちましたね。
これからハートたちがやりたいこともそこやし、ブルーハーツみたいなカッコいいバンドっていっぱいいると思うんですけど、そうでもなくてもっとメロウなドリーミーなキラキラした感じ。
うん、やっぱりキラキラしたいっていうのがテーマなんで、そんな風なバンドのサウンドにしたいですね。
ふ これからもハートたちはそういう意味で中性的なラブソングになるんですかね。
あ どうでしょうね。僕結構飽き性なので…。
1stのミディから出したやつ(『せいしゅんとれん愛』:2013年発表)とか10曲全部ばらばらなんですよ。ジャズもあればフォークもあればピコピコもあって。
そういうので自分の頭の中身を全部出せればいいんですけど、やっぱりバンドメンバーが出来なかったり、聴いてる側の人のことを考えたりして、そういうばらばらなものを星座にするというか。散らばった星達を星座にした瞬間、何が歌いたいんだって思ったら、それが「ジンジャーエールの恋人」っていう歌に出来たかなって。
ふ あの曲は僕も好きなんですけど、MVの海に日光が反射してキラキラしてる感じ、あれが楽曲とすごいマッチしてる感じがありました。
ふ 秋村さんのソロアルバムでは色々な要素を詰め込んだというお話をされてましたけど、そこでちょっと不思議に思ったのが、バンドに固執すると自分の思ったこと全てが出来ないという可能性が出てくると思うんです。その辺りの矛盾というかジレンマってどうしていくのかなと。
あ それはずっと一生続きますね。
自分のステージは弾き語りが最強で、一番良いと今でも思ってるんですけど、今回はそういう意味でも固まったバンドでやらないと絶対その上へは行けないと思って。そのレコーディングも拙い部分も多すぎて。
それでもやっぱり大好きなみんなにレコーディング参加してもらったんで、そこで出来たものが毎回の僕の全てだと思うしかないですよね。
僕の中で良い歌手っていうのは、なんでも出来るやつじゃなくて、歌を作る能力、歌を伝える能力だけに長けているやつ。みたいのがあるんで、あとは運任せというか、手持ちのカードでポンと勝負するしかないですよね。そういうジレンマはありますけれど。
ふ 「ハートたち」って固定してしまうとバンドサウンドしか出来ないので、「ハートたち」をやりながら「秋村充」でやるのかなとも思ったんですよ。「サニーデイ・サービス」と「曽我部恵一」みたいに。
あ もちろんそのスタンスですね。僕はどこにいても僕やと思ってるんで。
でも今は「ハートたち」で何かを見つけたいですね。
ふ そう言えばああいう映像って秋村さんのアイデアなんですか?ここで撮りたい!とか。
あ 僕は他人に任すのがイヤなんです。プロに任せてもプロって言ってるだけで全然良くないやつが多すぎて。
ミディから出したときもプロに撮ってもらって、全然良くなかったんで、「ダサい!」って言ったら怒られて。
「じゃあお前カメラやるから自分で撮れ」って自分で撮ったんですよ。自分で編集して。
あ 「ジンジャーエール~」も自分で撮ったんですよ。ただ単に遊んで撮ってたものを全部編集しただけなんです。
ド素人だし、拙い映像だっていうのは自分でも分かってたんですけど、絶対に見せたいものっていうのも分かってた。
女の子が髪切りに行って、その時に美容師さんがその女の子に恋してるかどうかで女の子が可愛くなるかどうかって決まると思うんですよ。
それと一緒で、どんだけ俺はこの子に恋して撮れるかっていうのはありました。
五日徹夜でやったんですけど、始めの二日は可愛すぎて「うわーーーっ!!」って編集しながら叫んで作業にならなかったですね。笑
実際撮った映像も、全部良いところで叫んでカメラぶわーっ!て投げてて。全部おじゃんってのがいっぱいあったんですよ。
ふ 笑 なんていうんですかね、男性、ではなく男子目線の女の子の可愛いところがすごい詰まっている感じがして。
あ そうなんですよ。ここ!ここ!って。笑
ふ だからちょっとあざといんですよね。良い意味で、褒め言葉としてのあざとさ。もう狙って可愛いなと。
あ でもこうやってって指示したのは一度もないから、誰もに共通するところをたぶん切り取ったんでしょうね、自分で。
~愛で世界は変わるってのが本気で音楽にもあるはずやと思ってる~
あ 俺の家がね、結構貧乏なんですよ。実家が寿司屋なんですけど、去年の二月に親父が倒れて寿司屋辞めてもうたんですよ。で、もう収入無いし、音楽辞めようと思ったんです。今でも生きていけてなくて、いつ家取られるかみたいな状況なんですけど。
辞めようと思ったその時に、おおよその人が知ってるK.Kというミュージシャンが、「秋村が辞めるんだったら俺はやらなくちゃいけない」って新宿のライブハウスのMCで言ってたらしくて。お客さんがメールくれて。それにすごい勇気づけられて。
それで、俺は悪党になっても誰かの天使になりに東京に来たんですよ。
ふ そうなんですね…!売れなきゃダメだという思いはそこから。
あ やっぱり金を稼がないかんという使命もあるので、全部が全部自分が楽しいとかでライブをやってるわけじゃないので、二年間のうちステージがキツい日は結構ありました。歌うのも曲作るのも苦しくてたまらなかった時もありますね。
ふ 二年間というと…。
あ ミディから出すちょっと手前くらいから東京来た今まで。
ライブ楽しいー!って言ってやれる人を本当に羨ましく思った時もあります。
最近…ここ一ヶ月か二ヶ月くらいから、そういう原点のようなところにちょっと戻って、ステージに立つのがすごい怖くもなったり、緊張してヘトヘトになったりとかして。でも楽しかったんですよ。
こないだジャーニィとステージに立った時も、そういう感覚がすごいあって。
ミディの社長の言葉じゃないですけど、売れるもんは勝手に売れるし、自分の音楽を信じて、自分の音楽を見つめなおしてもう一回やろうと。
もちろん仕事目線も入れますけど、歌うってことに比重を置いて、そういう気持ちで今はやりてぇなぁってところですね。
ふ ジャーニィさんはハートたちが今売れるべきだというか売れなきゃいけないという活動をしているわけですけど、そこに対してジャーニィさんはどうお考えでしょう。
あ 大学も辞めてるんですよ、こいつ。四年で。
その辺がね、音楽をやるために生まれたアホしか出来ないことなんですよ。選ばれたやつなんですよね。
ふ 色々築き上げてきたものを捨てるっていう選択肢だったと思うんですよ。それでも音楽を選んだっていうのは。
ジ 選んだというか、元々僕も音楽大好きなんですけど、親が普通の家なんでお堅いんです。大学で東京に出てくるときも、ギター一本背負って「俺アルバイトしながら音楽するわ」なんて言う勇気も無く、とりあえず大学受けて、受かってあっちに行ければ音楽出来るだろうと。
いざ行って片手間で勉強してもまぁ上手くはいかないですよね。結局音楽ばっかりで。家でレコード聴いたり、バンド組んだり。
そういう日々をなんとなく送っているうちに四年間が過ぎて、結局単位は取れず。親にはやっぱ出来んかったわって言って頭下げて辞めちゃったんです。
だから元々大学行って就職どうしようって悩む感じではなかったですね。
ふ その辺はなんだか秋村さんと似てますよね。就職第一じゃないっていうか、いわゆる多くの人が歩む道っていうを当たり前に思ってないところとか、そういう感覚は似てますね。
あ 僕は1%も無かったですね。「ロックスターになる!」ってだけ。笑
というかどう食っていくかとか考えたこともなかったですし、そういう風に教わってないですからね。
夢しか見てない。天秤も無いくらい。「それ以外なくね?」みたいな。
ジ 俺も完全にそうでした。別に何を秤にかけることも無かった。
あ そこで才能って一つ分かれると思うんです。音楽をやれる才能っていう人たちでまず分かれる。
ふ 秋村さんに傾倒して、それこそ電話一本で京都まで行ったりだとか、秋村さんの何に惹かれたんですか?音楽だけじゃないんだろうなっていう。
ジ それはもちろん。
あ 無茶苦茶やのにな。
ジ ライブハウスで知り合った人に急に話しかけてその日めっちゃ喋って友達になっちゃったっていうのはなかなか無いんですけど、秋村さんの場合それがすぐ出来ちゃって。最初から壁がなかったんで、構える必要もなく。
あ もっとドス黒い男みたいのにもなりたいんですけどね。笑 優しいって言われるのがなんか、男やったらちょっと嫌な部分ってなんかあるでしょ。
ふ でも中性男子の宿命ですよね。それは。笑
あ 今となっては優しくないと意味ないと思うし。
馬鹿げた話すると、愛で世界は変わるってのが本気で音楽にもあるはずやと思ってるし、仕事だともしっかり思ってやってきて、やっぱり心もどこかしらで冷たい部分があったし、やっぱりハートたちは…って何が言いたいんでしょうね。
おらぁ!
(ジャーニィどつかれる)
ふ 笑
ジ 困ったらいつもコレなんです。笑
でも俺は秋村さんの言ったようにはやられてなくて、だから今は変わったのかなって。ハートたちに入る前から仲良かったので、そういう話も聞いてたんですけど、俺が入ったところでそういう風ではなくて。
あ 音楽として出す以前に、普通に遊ぶってときにペースが合わないやつはやっぱりダメ。そういう人とも音を出さなきゃダメな時もあったけどやっぱりつまんないんすよね。ただ俺が歌って音が並んでるっていう。混ざってなかった。そういうのにも限界を感じてたんですよね。
ふ だからハートたちではそういうのが無いように。
あ そうそう。もうダメだって思って。
ふ やっぱりいい音楽って人間関係の延長なのかなって思いますね。
あ 奇しくも僕はあの頃バンドやりてぇってなったときに誰も友達がいなかったのでアレなんですけど、恋人でも友達でもすぐに無くしてしまう男なので、こんな無茶苦茶で情けない俺を理解して好いてくれる人じゃないと出来ないと思いますね。
ふ 新生ハートたちが早く見たいですね。
あ いやーいつになるかなぁ。笑 我慢のときかな。
小倉ありすっていうAV女優がいるんですけど「我慢して我慢して出したほうが気持ちいいでしょ」って言ってて、そうや!!って思って。笑
ふ そこに悟りを見いだした!笑
あ ちょっと我慢して出してみよ!って。笑
ふ 皮肉にも良い言葉ですね。笑
いやはや、今日は本当にありがとうございました。
二人 ありがとうございました!
あ いやーどうでもいいですけど、セックスしてぇ。
一同 笑
ハートたちのお二方、本当にありがとうございました!
とっても高いハードルをしっかりと保持しつつ、でもそんなのを全く感じさせない朗らかさ。
ミディレーベルからアルバムを発売しつつも、そういった過去に縛られない野心と共に東京へやって来ていたのでした。
言葉の端々から、まだやれる。こんなもんじゃないはず。という気概がビシビシと伝わってきました。
自分の信じる良い音楽を求めて東京に乗り込んできた秋村充が、そしてハートたちが、今後どういうサウンドを鳴らしていくかは本当に見ものです。
現在、ハートたちはベースを募集中!
このラブソングたちはすごいことになると思うんだけどなぁ。
そして彼らのシングルも発売中!
せっかくなので最後に簡単ではありますがご紹介を。
ライブを見て、一目惚れして買ってしまうのがいいんじゃないかな。
もしかしたら恋愛もそんなものなのでは。
ハートたち「ばっきゃろー!」
収録曲
1. 東京
2. ジンジャーエールの恋人
発売日:2015年2月15日
価格:¥500(税込)