3月27日に情報公開、肝心の開催日は4月3日という緊急スケジュールで告知されたイベント、「腹痛が痛い」に行ってきた。場所は代官山UNIT。
アイドルあり、ロックバンドあり、もはやなんでもあり。
ジャンルレスに組まれた対バンが魅力的だったのであるが、肝心のライブもなかなかのものだった。


まだまだフロアに人がまばらな状態で登場したのが、Have a Nice Day!の三人。
パーティピーポーという呼び名がぴったりのVo.浅見北斗率いるダンスロックバンド。
と言ってもいわゆる邦楽ダンスロックとは全く異なるベクトルのもの。詳しくは下の映像にて。






ステージに現れて早速、中央に設営された花道の先までずかずかと歩き、フロアの後ろの方に目を向けて前に来いというようなジェスチャーをする浅見。
一曲目を始めるも、どこかノらないらしく、すぐに音を止める。
マイクを握ってステージに設立された花道へ。

「俺が適当でもお前らは真剣に楽しめよ!金払って来てんだろ!」
最高かこの人!
観客が笑いと歓声で答えて、彼らのステージが始まった。
演奏もステージングももちろん素晴らしかった。


ステージドリンクの水を口から吹き出したり、ばらまいたりしながら、フロアに降りてきて女の子に掴みかかろうとしている。
他のバンドメンバーをステージに残し、もはや浅見のみフロアライブと化した場内はまさに混沌。
観客にまみれて狂ったように踊る浅見を囲んで、モッシュが巻き起こったりしている。そのまっ只中の人の良い笑顔と、後ろの方でヒいて見ている女の子のギャップがたまらなく面白い。

かく言う自分も最前のバーに寄りかかって見ていたのであるが、目が合った瞬間に、ステージの上から水をだばだばとかけられたのであった。
全く面識の無かったハバナイファンの方から「あれは普通だったら怒るレベルでしたね」などと話かけられるほどだった。ライターが濡れて壊れて、その人から借りたりなどする。


対する後ろのバンド、サングラスで表情も隠し、微動だにしないキーボードと、淡々とリズムを刻むドラム。
心臓の鼓動に近いような、遅めのBPMが心地良い。
淡々と演奏を続けるキーボードの側で、大森靖子のツアーグッズである処女膜再生ステッキがぴこぴこ光っていたのがシュール。




次の出演はフジロッ久(仮)
ギター脱退を経て、6人編成となった彼ら。

パンクロックからゆったりしたバラードまで、彼らの魅力が凝縮されたセットリストであったが、やっぱりメロディの良さがライブでも際立つ。

「アナーキーインザあらかわ」でフロアを暴れさせたあと、トロンボーンに小池隼人(オーライブラス、the chef cooks me etc..)を招いて披露された、音源未収録の「おいしいごはん」がとても良かった。





ご飯を食べて、話をしよう。というようなシンプルだけど、心のこもったメッセージにそうだよな、と頷かされた。
もしかしてこのイベントでは唯一のバラードだったんじゃないだろうか…。


「こういうイベントだとアイドルと楽屋が分かれちゃってて、マネージャーさんくらいにしか挨拶が出来ないんだけど、終わったらチョコレートでも持って話に行ってみようかなと思います」

「おいしいごはん」の前のMCで話すVo/Gt.藤原の少しはにかんだ笑顔が忘れられない。

最後の楽曲は名曲「はたらくおっさん」




おなかがへったよ!

ちびまる子ちゃんのあの曲をオマージュしたサビのラストに、「おいしいごはん」のことを思い出す。
ブログの前記事にも書いたけれど、当たり前のことをちゃんと言う力って凄い。ポジティブなパワーに溢れている。



三番手はあヴぁんだんど
雑誌TRASH-UP!にて掲載されたインタビューをきっかけに、じわりじわりと人気を伸ばしているアイドルグループ。
何回かライブを見ているのだけれど、オタクの熱量がどんどん増しているのが分かる。そして聴けば聴くほど楽曲がいい。


あヴぁ、あヴぁ、あヴぁんだんど

と繰り返す歌詞が中毒性をはらむ「あヴぁんだんど」からスタート。
手拍子やコールにミックス、推しに対するリフトなど、オタクの協調性が、さっきまでの喧噪とは打って変わった雰囲気。いわゆるロックバンドとは全く違う熱量が同じ会場で体感できるのはなんだか新鮮。
ジャンルが違えど、ずーっと最前近辺をキープする人もいて、全ての出演者を余すところなく楽しんでいる姿がとても良かった。

自己紹介のタイミングでは、水色担当の星なゆたが水を最前のオタクにばらまきながら話し始める。
そう言えばこの日出演していた全てのグループの内、必ず誰かが水をまいたり、吐き出したりしていた。すごいなこれは。

「てのひら」という楽曲がとても好きでした。8bitのピコピコ感と、歌い上げがいのありそうなメロディ。各個人の声の個性をしっかり把握して作られたような曲。

黄色担当の小日向夏季がメンバーにリフトされながら歌うシーンで、対抗して彼女推しの観客がリフトされていた。ちょっとだけ美しい光景だった。

お、ちょうどその二曲が詰まったライブ映像があったので。






お次は新メンバーを加えて間もないアイドルグループ、BELLRING少女ハート
そもそもライブを見るのは始めて。

黒をコンセプトカラーとしており、セーラー服姿に真っ黒な翼の生えたような衣装を見て、おどろおどろしい雰囲気なのかと思っていたけれど、あっさり杞憂に終わった。




キャッチーな上に楽曲の持つ喜怒哀楽が分かりやすい。
これはメンバーの表情からも含めて伝わってきた。カッコよかったり可愛かったり、切なそうだったり。


表情と言えば、間奏部分で二人一組となって、片方が持った剣に向かって、片方が果物を投げる。ドリフターズのヒゲダンスのあれ。これまでの歌っていた表情からもまた一転、ただただメンバーが楽しそうで、素の顔が見られたような。こちらもそれが曲中であることを忘れて見届けていた。


そして花道を使うのが上手い。やはりバンドでは距離間が出てしまって違和感があったのだけれど、アイドルは別だ。次から次へと様々なメンバーが前に出てくるのを見て、そのコの持つ雰囲気がなんとなく把握できるようになる。

フロアのパフォーマンスも、右に左に流れたり、サークルモッシュが巻き起こったりと、この日一番の熱量だったと思う。曲自体の持つアグレッシブさを助長していたのでは。これは音源だけでは感じ得ない熱量だった。


新メンバーでめちゃくちゃ推したい子がいたんだけれど、まだ名前も無いらしく、仮ちゃんと言うコらしい。笑顔がとても可愛い。何より自分の歌ってないところでも歌詞を口ずさんでいる姿がとても素敵だった。
持論だけど、そういうメンバーのいるバンドって惹かれる曲が多い。


アイドルのライブが終わったあと、ファン同士でお疲れさまでしたとかありがとうございましたなど言い合っているのは、ライブ中のパフォーマンスの同じ協調性を感じる。温かい現場だ。
巻き散らかしてしまった果物やらをせっせと掃除してフロアを後にするメンバーの姿が印象的だった。




そして最後はNATURE DANGER GANG
新宿LOFTを根城に活動。ジュークやフットワークなどのベースミュージックを下地に、破天荒なライブパフォーマンスを行うことで話題のバンド。
やっぱりこの夜もめちゃくちゃであった。最高。


ベルハーが終わってフロアが少し空いてしまったのだった。
待ってましたとばかりに前に詰める人たちは、やはりほとんどがこれまで前方でアイドルを見ていた人とは異なる人たち。音楽性やジャンルの違いは分かるけれど、なんだか少し寂しい。

これまでのアイドルが続いた流れで、Vo.ユキちゃんやVo.MMEEGG!!がアイドル風の自己紹介を始める。可愛い。
Vo.野村も「みんなのお○○ぽ奴隷!」と下ネタ全開の自己紹介。…可愛い。

いざ、曲が始まると、モッシュという行為未満の暴動のような騒ぎ。いや、もちろんこれは誉め言葉。こんな雰囲気が出せるのは彼らだけなのではないだろうか。


そんなもみくちゃの最中、フロアの後方から現れたぼく脳はマイクも持たない完全なるパフォーマーだった。
警備員のような制服に身を包み、肩には女性マネキンの生首(?)、パチンコ海物語のイラストに「ネイチャーデンジャーギャング」とカタカナで書かれた旗を持って登場。
いや、一人だけなのに情報量が多すぎるよ!
ステージの上ったのも束の間、すぐダイブして再びフロアに。モッシュに加わり暴れ回ってライブを盛り上げる。


もう次から次へと出演者が降ってくる。
Per.シマダボーイは椅子を観客に持たせ、その上に座って、演奏しながらフロアを巡回する。
Vo.SEKIは、あっと言う間に声を枯らしていた。他のメンバーにボーカルを任せ、ビートたけしやら平泉成やらの物真似に徹する。
駄目だ、情報量が多すぎる。メンバーがあっちゃこっちゃ点在して、どこを見ていいか分からない。油断していると誰かがぶつかってくる。ふと前方を見るとVo.ユキちゃんはステージ衣装のセーラー服を脱ぎ、きわどい水着に。さらには上半身裸に。アイドルもいたイベントだったのを思いだして、突然面白くなる。


なんとこの日のライブ映像が。





エレキングのインタビューでHave a Nice Day!の浅見がこのように語っていた。

「NDGは音楽じゃなくてアートなんですよ」
「NDGっていうのは、バンドよりアイドルに近くて、つまり、偶像化されてるんですよ」


納得!どんな対バンにもすんなり入り込み、どんな対バンにも交わらない存在感。
矛盾しているような唯一無二の魅力を端的に表現していた。
音源として聴くと、ジュークやらなんやらと区分されてしまうけれど、ライブは全く別。音楽とパフォーマンスを含めて、他の何物でもない、NATURE DANGER GANGというジャンルであり、表現なのだ。




ステージ上に散乱された空きカンやら焼きそばの容器やらのゴミを、フロアで見ていた人に手渡していくPer.シマダボーイの姿が、先ほど自分たちでせっせと片づけていたベルハーとばっちり対比していた面白さ。
飛ぶ鳥後を濁しまくり。
そうして頂いた空きカンをゴミ箱に捨てて、気づいた。
Have a Nice Day!の時にびしょびしょにされた服がすっかり乾いている。

あぁ、いい夜だったなぁ。なんてそのときふと思ったのだった。