ビイドロはなし、二つのバンドのフロントマン、あおやぎたかしという方がいる。
歌詞やタイトルにひらがなをよく用いていて、かねてからそのことが印象的な人だった。

事の発端は昨年の6月、ツイッター上で
「あおやぎさんは、ひらがなをひらがならしく使う方だなぁ」
というような事をふと呟いたときに、ご本人から「それ詳しく聞かせて下さい!」というようなとても嬉しいリプライを頂いた。
その時点でひらがなに対するイメージを交換させていただいたことがきっかけだった。


その後、当ブログ企画にはなしが出演していただくタイミングと重なり、その際に公開インタビューを開催させていただくこととなった。


それが「あおやぎたかしとひらがなだんぎ」

当日は時間の関係があり、手早く取り纏めなくてはならなかったのだけれど、いざ終わって真っ先にあおやぎさんから「これ、時間作ってまたやりましょう」と声をかけて下さったのだった。

今回はそのインタビューを踏まえて、ひらがなについての考えをさらに深く落とし込んでいく。
…かと思ったのだけれど、結果的にどうなったのかは読んでみてからのお楽しみ!
どうぞご覧あれ!



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(写真は公開インタビュー時のもの)


あ…あおやぎたかし(ビイドロ・はなし Vo/Gt)
https://soundcloud.com/takashi-aoyagi-2

ビイドロ
2000年から活動を開始したロックバンド。Gt/Voの青柳崇を中心にメンバーチェンジを繰り返し、2009年に青柳、伊藤、遠藤のスリーピース編成が固まる。異常なまでに完成された珠玉のポップスをステージで表現し続け、自主制作をふくめ、これまでに12枚の音源をリリース。その圧倒的な完成度で多くの音楽ラバーを虜にしてきた。しかし、2010年に突然の活動休止を宣言。惜しまれつつも休止期間に入る。その後、青柳、伊藤は新たなバンド「はなし」でお囃子ダブロックという新ジャンルを確立。そんな中、ビイドロの活動を休止してから録音された名曲11曲が収録されたアルバム「またあしたね」を2013年、音楽Podcast番組radioDTMとともにリリース。それに反応したExT Recordingsより7インチアナログ盤「くじらの半回転」もリリース。そして、2013年末正式に活動再開。2014年には初のワンマンライブを行う。2015年4月にはExT Recordingsよりニューアルバム「ひろばとことば」をリリース。
(Ext Recordings HPから引用)


はなし

6人組現代型お囃子ダブロック集団

2011年、「ないことをお祭にする」をコンセプトに活動開始

繰り返されるドラムのリズムとあたたかく動きまわるベース

ミニマルに熱を帯びていき、やがて爆発するギター

そして縦横無尽に飛び回る6人の声が

つまらないこと、くだらないこと、かなしいことをことさら楽しく囃したてる

なんにもない場所で なんにもなくても 遊ぶ お祭り


ふ…ふじーよしたか(音楽八分目)



~文化的にはもっとコアなものが後ろに控えているんだけど、その入り口を作る役目になってくれてる。そういうことをする人ってすごく必要だなと思ってます~


ふ 前回のひらがなだんぎ、結構思わぬ方向に行きましたよね。
いざどうでしたか?やってみて。


あ いやーあれ面白くて、徐々に自分の素が出てきた感じがありました。最初はいい子ちゃんっぽい感じでずっといたんでけど、だんだんノッてきたなぁと。
そこでそのまま終わってしまったので、これもっと続けるとどういう感じになってくのかなぁと思って。


ふ テーマがひらがなという普遍的なものなので、広く見ると国語の面白さとか、日本語の楽しさに繋がってきそうでした。
そもそも音楽をちょっと離れてしまいますが。笑



あ 前回の途中で出てきた話で、こないだ思い出してたのは、

「ひらがなで統一することで文章が平らになる」ところから、「文章を読むと『漢字』『カタカナ』『ひらがな』がそれぞれデコボコになって立体的に見えてくる」

という話になりましたよね。
漢字とかカタカナとかがこっちにせり出してくるっていうことが、パッと自分から出てきたのが面白かったなぁと。

ひらがなを使うと平坦になるとばっかり考えていて、なんで平坦に感じるのかっていうことを考えたときに、そのデコボコになってる状態のひらがなについてを考えられたから、ひらがなだけじゃないところから、ひらがなを考えられたというか。


ふ その話を聞いて思ったんですけど、普段本って読みますか?


あ 前の前の職場が本屋だったので、昔はよく読んでたけど、最近はあんまり読めてないですね。忙しくて。


ふ 本を読んできた過去があったからこそ、そういうひらがなの面白さにも行き着いたのかなと思って。


あ あぁ、そうですね。どういう小説家が好きかとかにも結構影響してそうですね。


ふ よく読むジャンルとかってあります?


あ 奥田英郎とか、ああいう大衆小説と呼ばれてしまうような、誰にでも分かるような文章がわりと好きです。
複雑な人間模様とかを内包しつつも、伝え方として平易な形で伝えてくれる。
あと、中学、高校で星新一を結構読んでたんですよね。あのオチの付け方ってなんか全部ワンパターンかも知れないなって思ってしまうくらい読んでました。
便利なモノがあって、それを手に入れた人が調子に乗って、ひどい目にあって、絶望的なことになるんだけど、その絶望的なことが起こる前で文章が切れて絶望は見せない。どうやらこれはやばいことになったぞ。で、完。みたいな。
ドラえもんと一緒ですよ。のび太が道具で調子に乗ると、しっぺ返しをくらうという。


ふ ビイドロは、なんだか星新一感ありますね。ちょっとSFみたいな。


あ そうそう。星新一なんてのはたぶん海外のSFを死ぬほど読み尽くしていて、それをわざとああいう風に入りやすく書いてるような人で。
文化的にはもっとコアなものが後ろに控えているんだけど、その入り口を作る役目になってくれてる。そういうことをする人ってすごく必要だなと思ってます。
僕、星新一と、藤子・F・不二雄は近いところがあると感じてて。
色々なネガティブやらカオスやらがあっても、表面上はスタイリッシュに、平易に、とっつきやすさを前に出してくれているところがあって、だからドラえもんの世界みたいだなぁとか思いながら、星新一を読んでいたかも知れない。


ふ 藤子・F・不二雄がSFのことを「すこし・ふしぎ」と訳していましたけれど、あれもSFの垣根を下げた感じがありますよね。
ひらがなにすることによって意味が平坦になるっていうのもあるんですけど、「寄ってくる」感じってのもあると思うんですよ。
もしかしたら漢字にしてしまうと敬遠されてしまうかもしれない詩とか文章をひらがなにすることによって、理解しようと思いやすくなるというか。


あ なるほど。
でも、この四・五年、ひらがなオンリーの歌詞みたいなのを曲によってはすごく意識して作っていて思ったんだけど、ひらがなだけにすることによって生まれてくる胡散臭さっていうのもあって。
いわゆるネットとかでも、幼女が喋ってるような言葉でツイートするみたいなアレとかでも、ネタとして面白いんだけど、なんかなぁって思っちゃうっていうか。


ふ ありますよね。ひらがなだけでのそういうツイート。


あ なんかねぇ、ひらがなにすることによって幼さを出すっていう感じがあって。
全部ひらがなですごい辛辣な内容のツイートをしているのとかたまにあるでしょ。あのギャグって全部スベってるなって思っちゃって。笑


ふ 笑


あ 実はこの部分だけは漢字にしといた方が意味は伝わるってことがいっぱいあると思っていて。
「全部ひらがなだったら無邪気に毒を吐いて逆に残虐的な感じになってるだろ」っていう感じがちょっと。


ふ 「だろ?」感ありますよね。


あ そう、「だろ?」感!それがすごいあるんですよね。
どちらかと言うとひらがなってイノセンスの象徴みたいな扱われ方が多くて、でもほんとにそうなのかなって。


ふ 僕はあおやぎさんの歌詞を読んで、無邪気だとは思わないんですけどね。


あ 僕ね、そういう風に「あ、この歌詞ひらがなオンリーだと無邪気な感じになり過ぎてるかな?」ってなった場合って全部漢字に変えるんですよ。自分で読み直して。
今度のビイドロの歌詞も、全てひらがなの歌詞もあれば、同じように全てひらがなで書いていてあまりにもアレ?ってなって、一つ一つ漢字に直してった作業もあって。




~やりたいことが何かを考えたら、そういったことも乗り越えられるんじゃないかなって~


あ 「ひろばのことば」っていう曲の歌詞なんかはまさにそれで。
あれは最初10歳くらいの少年目線で考えてたんですよ。だんだん周りとの関わりを意識してくるような年齢になった人が、ちょっとずつ年齢が上がっていくようなイメージで書いて。
社会に出ると自分の「普通」が周りの「普通」じゃないことに気づき始めて、それに負けて、周りの「普通」に合わせてモノを見るようになって、ある日自分のことを否定してきた人間と同じような否定の仕方を他人にしていることに気づくみたいな。
「ひろばのことば」というのはそういう「常識」とか「普通」の概念のことなんです。
そうやって一回書いた後に、やっぱりちょっと待てよと。そんなにみんな一辺倒にモノを見てないなということに気づき始めて、世の中の一般的な常識も取り入れた自分なりの普通みたいなものを作っていって、そうやって人は偏って成長して年老いていくと思う。っていうような感じのことを歌っていて。








あ だから、その自分なりに持ってる「普通」を使って何をしたいかによるじゃないですか。
人と合わせたいんだったら人に合わせた「普通」を自分の中に入れて、人の「ひろばのことば」に耳を傾けながら、自分の「ひろばのことば」を作らないといけないし、ひっくり返したいんなら、合わせておいてすごい意表のついたことをするみたいな感じにした方がいいし。
自分を通したいんだったら、周りの「ひろばのことば」というものに耳を傾けずにずっと自分の思う「ひろばのことば」を喋り続けるっていう。
でもどれをやっても何かしらぶつかるものがあって、一回は落ち込むことがあるけど、やりたいことが何かを考えたら、そういったことも乗り越えられるんじゃないかなっていうのも僕の中にあって。


ふ 結局あれも最後の歌詞に、
きみがいちばんしたいことはなんだ
ってメッセージを出すじゃないですか。それがとても分かりやすく、きた!となったんです。


あ あんなこと歌う人じゃなかったのにみたいな?笑


ふ そうです。笑 そうですよね?


あ それはもう明らかに。笑
それはね、こんなこと言うのもアレなんだけど、息子が出来たから!
息子に向けて書いてるつもりは一切ないんだけど、色々見てると自分の小さい頃を思い出すんですよね。まだ4歳なんだけど。


あ 僕は小中で帰国子女だったので、周囲からものすごい攻撃を受けたことがあって。
自分の普通が相手の普通じゃなくて、それだけでやられて。僕もだんだんみんなに合わせるようになって、普通じゃない人のことを攻撃したりだとかいう考えにいったりしたんだけど、それでも結果的に僕は攻撃されちゃう。
そう考えたときに、自分が思うようにやった方がいいんじゃないかって思って。

あ みんなが就職活動しているときに、僕は二社くらい受けて全部やめて、インディーズのレーベルから話が来てたんで、そっちで頑張ろうとやってたんだけど、友達に「望みも無いのになんでやるの?」とか言われて、じゃあ自分の信じているものをやっちゃだめなのかなって思わされたというか。
もちろん、友達の言ってたことは正しいと思っていて、ちゃんと自分の生活を切り盛りしてなんぼだろっていうのは、本当にその通りだなって思って。
そういうことを考えたときに、俺こういうこと書きたいなって思って作ってたら、ああいう歌詞が最後の方に出てきて。恥ずかしいけどまあいいやって。笑
でも本当に一番したいことは何かって考えたときに、したいこといっぱいあるでしょ?


ふ 一番って言われると確かに…。
いや俺はこれだ!って意外と自信を持って言えないなって思って。



~あの「星」が僕の中での星感を表現していて~



あ ルー・リード「ストリート・ハッスル」って曲がすごく好きで。娼婦が客に殺されて、その話を聞くみたいな歌詞で、語りだったり台詞を一人二役でやってたりしてるんですけど、あれすごいなってずっと思っていて。世界で一番美しい曲だ!って感動しちゃって。
歌ってる内容は下品極まりないんですけど、そうやって生きている人の美しさみたいなものがあって。
なんかもうあれ聴くといつも、すごく難しい表現なんですけど、敬虔な気持ちになるというか。

おこがましいんですけど、自分は日本語でそういうのがやりたいですね。


ふ やっぱり日本語にこだわる理由ってのもそこから来てるんですかね。


あ たぶん英語でやっても出来ないんですよ。どう考えても。小さい頃から喋ってきた言葉っていうのが滲み出ていて。
ああいうものってその人の年齢分の蓄積でしかないんですよ。
なんかひらがな関係無くなっちゃったけど。笑








あ 今回のビイドロの音源も、9曲なんですけど、7曲全部タイトルはひらがなです。
最後の曲に「星をとる人」っていう曲があるんですけど、これは漢字を使ったんです。
僕今まで星の曲いっぱい書いているんですけど、絶対星はあの漢字じゃないとダメなんです。あの「星」が僕の中での星感を表現していて。あれを見ただけで、バッと夜空に星があるのが見えるんですけど、ひらがなの「ほし」になった瞬間から、あんまり思い浮かばなくなってしまう。

僕、小学校に入る前からすごく星座が好きで、星座早見表とか見てたり、星座のひみつとかも大体読んでいたので、早くからもう星という漢字を認識していて。
その自分がハマっているときのワクワク感とそのイメージが合わさってるってのもあるかも知れないんですけれども。








~これどういう風にしたら面白くなるかなと。全然関係ないのを入れてみたら面白いんじゃないのっていうスタンスでしかずっとやれてなくて~


ふ さっきひらがなを使うと幼くなるとかいう話がありましたけれど、あおやぎさんがひらがなを使っても幼いという印象は無くて。
若いというか、エネルギッシュというか、瑞々しさがある感じです。


あ ほんとですか!それはでも自分では全然意識したことないんですよ。
僕がふじー君ぐらいの時に、音楽事務所に所属していたんですけど、その時スタッフの人からは「あおやぎ君は狂おしい青春みたいな青春感が無いね」って言われてて。僕は「うーん、みんなそんなもん持つもんなんですかね」っていうタイプの人間だったんですけど。


ふ 今自分が言った瑞々しさは狂おしい青春とはイコールではないんですけど、なんていうんですかね。
青春を青春だって思う手前くらいの、青春を認識しないまんま、原っぱ駆け回ってるっていうか。
半袖短パンで外出れる!みたいなエネルギーの感じがありますね。


あ 小学校とかそんな感じですかねぇ。


ふ それこそひらがなばっかりの曲とか見て、最初僕は自分で文章にするときに、「みんなのうた感がある」って書こうと思ったんですけど、「いや、ねーな!」って。
僕が今言った瑞々しさは、みんなのうたはもう見ないくらいで、でも青春のもうちょい手前みたいな。笑


あ 中一みたいな感じだ。


ふ あー近いですね。小六、中一みたいな。


あ まだ性の目覚めがあるかな、ないかなくらいの。笑


ふ その辺なんですよね多分。


あ あぁそうかも。ひょっとしたら未だになんとなく自分の根本がそうかも知れない。いやもちろん大人の男性として色々ありますよ。ずる賢かったり、ダルかったりね。でもなんかどっかで今言ってくれたような感性のまんまのところがあるかも。


ふ 絶対お持ちだなと思うんですよ。楽曲からでも、一緒にお話させていただいていても、節々から感じていて。
だから、どこか結局ポップなところに落ち着いてるっていう音楽観にも通じてるのかなって。
実際にライブを観て初めて、ビイドロはダブっぽいところもあるんだ!という印象を受けましたけれど、でもダブしすぎない。歌の力もあるし、ある程度の分かりやすさもあるし。
それが、星新一だったり藤子・F・不二雄に似た、「寄ってきてる」感じに似て。


あ スタイルに乗っ取ってやるものっていうのが、僕すごい嫌いで。まず説明書読まないタイプなんですよ。
それで、説明書とかに書いてない使い方を結構発見するとか、そういうのが好きで。
これどういう風にしたら面白くなるかなと。全然関係ないのを入れてみたら面白いんじゃないのっていうスタンスでしかずっとやれてなくて。
小学校のときに親に頼まれてインスタントラーメンを作ったときに、「魔法かけたよ!」って言って出すんですけど、その魔法がりんごジュースだったり、料理酒とか、カルピスの原液をちょびっと入れたりとか。笑


ふ 自分はイケる!って思ってやってるんですよね。


あ そうそう。「甘み増えた?」とかいって。笑 でも自分が食べたときにまずっ!ってなるんですけど。笑
それを音楽でもやってるのかなって感じ。




~歌が歌えるのとギターが弾けるのと、どっちかだけしかダメだったら、完璧に歌ですね~


ふ ビイドロはダブっぽいって話と繋がりますけれども、結構多面性のある音楽だなと思わされました。ダンサブルだったりするのに、でも一見親しみやすいポップに聴こえるという。そこにはやっぱりメロディというか歌の力があると思うんです。

あ ある時から歌が好きだってスパンと決まったんですよ。28、29歳くらいかな。それまで歌好きじゃなくって。
『スウィートエモーション』(ミニアルバム:2005年発表)の頃なんかは、ポップなことをしてなんとか売れたいと思ってたんですね。だから世の中の言うポップに合わせて、他の要素を排除して作ってみようと。


ふ いわゆる売れてるポップを作ろうとしていたと。


あ そうですそうです。でもそういうのに合う歌詞が書けなくて絶望したんです。あまりにも違うことをやってるっていう。


ふ 心と体が別みたいな。


あ そうそう。笑 その後に、俺には今までいた人たちの形に合うようなポップは絶対作れないから、もういいや、自分の歌ってて楽しいように歌おうって。そう思って作ったのが「冗談の王様」ってアルバムでした。

ふ これまで色々なバンドを聞きましたけど、あおやぎさんに似てるなっていう歌はメジャーどころとかも含めていないんですよね。唯一無二な歌だと思っておりまして。


あ 歌が歌えるのとギターが弾けるのと、どっちかだけしかダメだったら、完璧に歌ですね。
昔は完璧にギターを選ぶ感じだったんですけど。歌さえ歌えたら、自分がいる理由を作れる感じがするんですよね。
ギターももちろん自分の中ではあるんですけど。ギターよりもやっぱりいろんな音が出せると思うしね。


ふ あーおもしろいです。ほんとその通りかも。




~ぶりを知るためには、ぶりだけ見てちゃだめなんですよ~


あ そう言えば、歌を聴いて歌を歌う人って、聴き方がちょっと違うような気がしていて。


ふ それはどういう…?


あ 歌の発するものばっかり聴いてるというか、歌の良さを知るのに歌だけを聴いてるみたいな。でも本質は違うと思っていて。
一番最初の話の、「ひらがなの意味合いを漢字とカタカナからの視点で意味を見つける」っていうことと一緒で、別の視点から見る感じというか。
おでんで言うと、スープを飲んでおでんの味を感じるんじゃなくて、おでんのコンニャクにちょっと染みた味でスープの本質を感じるときがある、みたいな。
ぶり大根の、大根の方にぶりの味がある、みたいなのあるじゃないですか。


ふ はいはいはい。笑


あ でも、ぶりのことばっかり考えてる人は、ぶり食って、「あぁぶりってこんな味なんだぁ」って思ってしまう。
でも、大根の方も食べて、さらに大根とぶりを一緒に食べないと分かんないし、じゃなくて汁を飲んで、もしくは汁をご飯にかけたことでその汁の味が分かるかも知れない。そこにぶり感があるかも知れないじゃないですか。
だからぶりを知るためには、ぶりだけ見てちゃだめなんですよ。


ふ その喩えが一番分かりやすいかも知れないです。笑


あ あー良かった!笑 なんか歌ってそういう感じが僕はしてるんですよね。ムードというか。
いわゆるギターロックの人たちとそこでいつも話が合わなくて。
僕はそんなに歌モノってのを死ぬほど聴いてるわけじゃないんですけど、でも歌のことはすごく好きなんで。


ふ あおやぎさんのバンドたちって、すごいいい意味で、歌ありきだなと思います。


あ いやーもうほんとに。一番人に親しみがある音は人が出す声だと思うんで、だからそれでコミュニケーションがとれるものが何かっていったら声だと思うし。やっぱ声がいいなぁって思うなぁ。




ハンバーガーショップの閉店時間まで話足らず、ずっと喋っていました。
編集してみて真っ先に、冒頭の自分の一言と、全く同じ感想に行き当たりました。

結構思わぬ方向へ行きましたよね。

でもこれも会話の醍醐味だと思うのです。予期せぬところから予期せぬキーワードがたくさん溢れてきて、とっても刺激的でした。



最後に少しだけ。
あおやぎさんの音楽には、色々な側面がある。
でもメロディと歌がポップという大枠からブレることがないから、とっても耳当たりが良いのだ。例えノイジーなバンドサウンドだとしても。

僕はそれをおにぎりみたいだなと思った。
パッと見はポップ。一口食べてもポップ。二口食べてもポップ。
でももう一口食べたときに、ヒップホップやらゴルジェやらダブやらノイズやらテクノやらが顔を出す。
もしかしたらびっくりするような具が入ってるかも知れない。でも、白米と食べることによって、新たな側面だったり本来の良さがより見えてきたりするんじゃないか。これはインタビュー中の歌(ぶり大根)についての話ともつながる。

ビイドロの新譜を担当したレーベル「ExT Recordings」は元々テクノ・エレクトロ専門。バンドのリリースは初なのだ。このことが如実に物語っている。

あおやぎさんのツイートで度々出てくるその名前を見て、僕は昨年のソニックマニアで生まれて初めてクラフトワークを観た。
星新一や藤子・F・不二雄がSFの垣根を下げたように、ビイドロは誰かの何かへの入り口になる音楽だと思っている。
あわよくばこのインタビューも、ビイドロ、はなし、あおやぎたかしへの入り口となりますように。



さて、ビイドロの新譜が発売しております!
音源についてのインタビューは必ずどこかのメディアがやるだろうと思っておりますので、もっと人物に注視して掘り下げるようなインタビューが出来て良かったと思っております。

あ 新譜についてのインタビュー記事の最後の方に一言だけ載ってるような、その人が今どんなことに興味を持っていて、どんな音楽を聴いてるとか、そういうの面白いよね。

本当にその通りだと思います。そういうのが出来て良かったです。
あおやぎたかし様、本当にありがとうございました!



ビイドロ「ひろばとことば」

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収録曲
1. こわれてしまったわたしのきかい
2. わたしのことをつらぬいて
3. はじめるの
4. かんぺきにすてき
5. ふくろうとこうもり
6. ひろばのことば
7. あなたのいりぐち
8. ボートこいで
9. 星をとる人

発売日:2015年04月22日
価格:¥2160(税込)
ExT Recordings EXT0021