バンドの解散ニュースは本当に悲しい。
そのバンドの音楽が作られなくなったとしても、せめて音楽を辞めないでほしいなぁなんて身勝手な考えをしてしまうのであるが、今回はそんな考えが報われたような嬉しい音源。

変装少年というバンドがいた。

以前このブログでも、「815の本/Blue」というシングルをレコメンドさせていただいた。

いた。と過去形で書いたのも、この記事を書いた後、2013年12月に解散してしまったのだ。


今回レコメンドさせていただくのはその後のお話。


ehonn



その変装少年でボーカルをつとめていた望月秀記が組んでいた、弾き語りデュオもち&むうの相方、武藤英樹(ex.宇宙探検隊)に加え、ドラムに岩崎ようこ(ex.テングインベーダーズ)を招いた新バンドが、今回レコメンドさせていただきたいEHONNというバンド。

このバンドが5曲入りの初音源を7月にリリースしたのであるが、これが実に素敵な一枚だったのでご紹介させていただきたい。




A5サイズの手作り感ある大きなジャケットは、モノクロプリントを逆手に取った、塗り絵仕様!
バンド名にも沿った遊び心。
Twitter上でも色の付けられたジャケットをいくつか拝見したのだけれど、どれもとっても綺麗。
こういう形で世界に一つだけのものが出来る試みは、心くすぐられるものがある。



この音源制作にあたってのレコーディング風景が映像になっているのでここで。
彼らの楽曲の一部も聴くことができる。







初めてこの映像を見て、グッドメロディはそのままだった!とツイートしたのを思い出した。
変装少年の時の記事にも書いたけれど、心に残って口ずさめてしまうような、そういうメロディが変わらず存在していたのがたまらなく嬉しかった。


激しかったり、切なかったり、静と動が曲中でくっきりと変わっていったりする様相の中、伸びやかで瑞々しいボーカルがやっぱり耳に残ってしまうメロディを歌いあげる。

全ての楽曲はVo.望月が作詞作曲を担当しているのであるが、語弊を恐れずに書かせていただくと、彼の歌詞は変態だ!と思った。



彼の歌詞には男性の率直な欲と、いじらしさがごっちゃに合わさっている。
人間性や恋愛観がそのまま透けてみえるような、隠し事やかっこつけのないまっすぐな愛情が、情けなくも美しいし、同情してしまう。
そして一周回ってかっこいい。

男はみんな変態なんだよ。と言うようなセリフもどこかで聞いたことがあるけれど、本当にその通りだと思う。
女性の前では意地張って飾りたてるけど、ちょっと離れるとすぐに情けない一面が顔を覗かせる。
でも女性には結局そんな一面すら把握されてるんだろうなぁ。
と、話が逸れてしまった。



やだ!!その列車に乗せてくれよ
声を出せば加速していく

(ナイトセンター)



僕のゆがんだ愛をあげる
君にあげる あげるのさ
そしたら君は 受けとってくれるのかな
あげる あげるのさ

(性癖メトロ)



見たことない人に指輪はめられて
笑って走ってゆく
(蜜柑のプロポーズ)



真ん中の歌詞そのまんまだけど、ゆがんでるなぁと思ってしまう。
いや、でもゆがんでしまったのはきっとこちらの方なのだ。

多分ほとんどの人は大人になるにつれて、愛情表現が紆余曲折してしまっているんじゃないかと思う。
それは相手に対する遠慮だったり、世間体だったり、過去の恋愛の失敗があったりして。

でも、そういうしがらみを取っ払って、今好きなら今好きだと言えばいいじゃんというようなあっけらかんとした心意気がなんだかとっても青春で、まっすぐな愛情という言葉を先ほど書いた。
まっすぐなものをゆがんだやつが見ると、まっすぐな方がゆがんで見えてしまうもので、先述した「性癖メトロ」の歌詞は、他のやつと比べるとゆがんでいるだけで、ほんとはひどく純粋にまっすぐな愛を君にあげようとしてるんじゃないかなぁなんて思う。

もしかしたらどんな人と付き合っても、基本的な恋愛のスタンスが変わらない人なんじゃないのかしら。
この話はこれ以上するとすごい込み入った話になってしまいそうなので、機会があったらメンバー全員で恋ばなでもしてみたいところ。



そして、そんな彼の歌詞には女性コーラスが合う。
CDの最後、「蜜柑のプロポーズ」では、《結婚したいね》という核心をついたメロディに、コーラスが加わる。
ハモりとしては短い一節なのだが、それがすこぶる綺麗で、男性のまっすぐに歪んだ愛情が浄化されるようだ。


死ぬまでに一番きれいなキスして眠ろう


そのあと続く歌詞はなんだかジブリの風立ちぬみたいな世界観だ。
切なく儚い美しさ。







現在この音源は、ごくごく一部の店舗しか発売されていない。
HP(http://ehonnband.blogspot.jp/)から通販も行っているが、都内に行ける人はぜひライブを見てほしいと思う。


ライブでは、変装少年の楽曲「Blue」「プラスチックトーキョー」も演奏されていて、いずれも紛れなく名曲。
グッドメロディはさることながら、ここで取り上げた歌詞の雰囲気とはまた違う、学生時代の爽やかさのようなものを滲ませた世界観も聴きどころ。
スリーピースバンドながら、キーボードやベースを入れ替わり立ち替わりで持ちかえて演奏するのは、見ていても楽しい。このマルチプレイヤーっぷりが音源にも幅を利かせている。


せっかくなので変装少年時代のライブ映像を最後に。
盛り沢山になってしまったな。でもいいよね。