今回レコメンドさせていただくのは、Yogee New Wavesというバンドの音源。
思い出と相まって聴き始めたわけだけど、とっても良いのです。
この音楽があなたの日常のどこかにフィットしますように。



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名前だけは存じ上げていたのだけれど、そもそものきっかけはツイッター上で折に触れてバンド名を見かけたことだった。
結構な頻度でタイムラインを眺めてしまう自分にとって、複数のツイートによる刷り込みというのは結構効果があって、CDを買うに至った次第。
インターネットすごい。口コミすごい。


大量にCDを買った時に紛れてしまって、一応聞いてはいたけども…な状態のまま、先月末の「Shimokitazawa Sound Cruising 2014」を迎えていた。
別の記事でのレポートにも書いたのだけれど、このイベントで僕が最後に聴いたのが、DJの流したこのバンドの「CLIMAX NIGHT」という曲であった。









早朝。
朝日がとっくに出ているのを見てみぬフリをして、地下のライブハウスのDJブースの前に集まる人だかり。

さっきまでのガツガツとした電子音が嘘のように、うすぼんやりとしたボーカルの歌が染み込んできた。


もう終わりなの まだ踊ってたいのに
君の中で刻むメロディー
肩抱き合い 笑い合った日々よ



あの気だるくも心地よい雰囲気を象徴するかのような一曲だった。
ぬるい水が喉をゆっくり伝うように、メロディの一つ一つ、歌詞の一つ一つが体に流れていく感覚を覚え、最後のコーラスが帰宅するまでずーっとリフレインしているのだった。



そこから慌ててこのEPを聴き直した次第。
すごいいいじゃないかこれ!




Yogee New Wavesは東京で活動する4人組のバンド。
結成間もなく応募した昨年の「出れんの!?サマソニ!?」では最終選考まで進み、ライブ審査が初ライブという存在感のある経歴。


改めて聴いてみると、ボーカルのニュアンスがとても好みで、アンニュイという言葉が実にしっくりくる歌い方だなと思う。
決して声を張ることもなく、口ずさむ感じに近い。それがなんだかこちらの日常にフィットしてくるのだ。
ぬるい水が喉を…という表現をしたのも、なんだかそれがちょうど良い温度で接してくれているみたいだったからかも知れない。




この「CLIMAX NIGHT ep」は4曲入り。

元々初回生産のみで100枚制作したものの、あっという間にソールドアウトだったそうな。
今回ご紹介するのは、ついにそれが全国流通盤として、今年の4月に大々的にリリースされたもの。


表題曲の他に、ベースのフレーズを始めとする小気味よいグルーブ感にゆるーく踊らされてしまう「Good Bye」
言葉の乗せ方が絶妙だ!こればかりは買って聴いてほしい。


ちょっと湿度のあるダブ感。湿気混じりの気だるい感じがまさにこの時期に馴染む、「Baiuzensen」
ドラムの淡々としつつもメリハリのある刻みが個人的には大好き。
アウトロでギターソロに混ざって雨の音とどこかの雨を伝える天気予報が聞こえてくるのが、これでもかとタイトルの雰囲気を助長させる。



最後は、「CLIMAX NIGHT(Happy Telephone Remix)」として、表題曲のアレンジが収録されている。
シンプルな4つ打ちを基に、まさに電話口に歌ってもらっているような距離の近いミックスをされたボーカル、どこかチープで遠慮がちに聞こえるギター、ベースに至ってはアカペラ(!)で構成されている。
気楽さ、ゆるさが助長され、原曲とは全く別の魅力を持った楽曲となっている。





よくよく聴いてみると、歌詞の中の登場人物の距離間が絶妙だ。



目が見えなくとも 姿 形 色が分かる
様な気がしている僕等じゃ
何も得る事は できないのだから

(CLIMAX NIGHT)


僕は君が思うようなやつじゃない
少しだけ側にいさせてもらえるかい
数分たったら 消えるから

(Good Bye)



決して近すぎるわけではない。でもどちらかと言えば近い存在。
例えば、一度近付き過ぎて少し離れたような、時の経過によって変化した距離感をどことなく感じさせられる。


白でもない黒でもない関係性って本当にありふれていて、そのくせ言葉でいざ表現しようとすると、なんだか陳腐なものになったりするものなのだけれど、そういうグレーで曖昧な関係性が、歌詞とも音楽性とも相まってすごいリアルに表現されていると思う。


ゆるーく踊れるといった表現も使ったけれど、上述したグレーな表情の裏に、くっきりとしたビートが存在しているから、曖昧なだけで終わらない楽しみもある。
ベースとドラムのグルーヴ、ギターとボーカルの織りなすもやのような雰囲気、どれが欠けても踊れる心地よさは無くなってしまうだろう。



なにはともあれ一度生でライブを体感してみたい。
踊るという表現もひどく現場的であるし、もしかしたら話はそこからなのかも知れない。
とにもかくにも、応援しております。収録曲以外の曲も聴いてみたい。