待ち焦がれてました。
というか、もはや待ちきれずに書いたのが前回のMVの記事なんだけれども、しつこくご紹介させていただいている、トリプルファイヤーというバンドの新譜「スキルアップ」をようやくレコメンドさせていたきます。


すでにあらゆるメディアで様々なレビューが書かれているけれども、何番煎じとか問題ではない。
もはや愛と尊敬の念だけで書いている。





というわけで今回もトリプルファイヤーというバンドをレコメンド。


2月4日に発売された「スキルアップ」という新譜について。
してやられたという感じ。


前回のMVを始め、すでに何回かご紹介させていただいているのだけど、共通してボーカルに関して、へらへらしてるだとかなんとか言ってしまっていたが、訂正させていただきたい、この人は天才だ。




小さなフレーズをひたすらタイトに刻むスタイルはもちろん顕在ながら、ボーカルにかかる過度なエフェクトだったり、「カモン」でのとってつけたようなサンプリング歓声だったりと、音源ならではの試みが。

また、「カモン」は、ボーカル自身がサンプラーのようになって聴衆を煽る楽曲であるが、「可能性が無限」ではもはや一文字ずつ切り貼りしたような歌い方。

たしかに滑稽ではあるけれど、遊びながら人力で歌の可能性を追求しているような気がする。
でもこれ以上どうするの?もはやこれ以上遊ぶ余地があるの?とも思ったけれど、そういう心配もひょうひょうと飛び越えていくのだろう。
もはやこいつが歌えばなんでもアリみたいな耳になっている。してやられた。








そして、このアルバムには一行たりとも無駄な歌詞がない。どこを削っても魅力が半減してしまうようだ。


特にそれを感じたのは「神様が見ている」
少しだけ歌詞を引用させていただく。



変な顔をしている分心がきれい
日本海で穫れた魚は身が引き締まってる
いじめられる側にも原因がある
公務員が給料を貰い過ぎてる



Aメロ(?)の一部。本当は歌詞全てを引用したいくらいなんだけれど、共通点がありそうでないこの事柄。

でも、この後に歌われる一節、


神様が見ている


という一言によって言葉の価値観ががらっと変わる。

この一行のどんでん返しっぷり(この曲ではこれ見よがしにここだけテンポが変化するのもあざとい)。
神様が見ているという事実は、救いにもなるし、戒めにもなる。この一言によって、全ての歌詞に対する感情がなにかしら変わるはずだ。




せっかくなのでもう一つ例を挙げさせてほしい。

「Jimi Hendrix Experience」という楽曲。



https://soundcloud.com/triplefire/jimi-hendrix-experience
サウンドクラウドにて視聴可能。


ジミヘンドリクスを聴いた(経験した)ことがあるやつとないやつとの間には、決定的な違いがあるということをくどくど歌うのであるが、中盤の一節。



もしあの経験がなかったとしたら
俺の会社はここまで大きくなってなかったと思う



今まで歌詞を聴いていた目線がぐらりと歪む。経営者だったんかい!
ボーカルの人となりに合わせて聴いていた価値観をあざ笑われたようだ。フィクションをひょうひょうと歌うボーカルのしてやったり感が目に浮かぶ。

こんな歌詞たちはこのアルバムのそこかしこにそしらぬ顔で存在している。これは買った人だけのお楽しみ。



笑ってる場合じゃない。笑われている、きっと。
冒頭で天才だと言ったのは、こういう立場をいつの間にか変えてしまっているという技術。
いや、技術というか声質から全て含めて、もう「持ってる」としか表現できない。


いくらでも深読みできる気がするし、なんだか深読みしたら負けな気もする。
どう足掻いても、やっぱりしてやったりな笑みを浮かべていそうで、なんだか腹立たしい。


でも、彼らはひたすらにカッコいい。