今回は昨年9月の自主企画にも出演したいただいた方の新譜をレコメンド!
やっぱり彼らを呼んでよかったなと今更ながら再確認させられた一枚。

出会いの大切さを経て楽曲のそこかしこに宿る愛情。
全方位に向けた愛はもはや究極のラブソングだ!


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泣いてばっかのヒルギというバンドの新譜をレコメンド。


彼らは2013年9月に開催した、当ブログの自主企画にも参加していただいたバンドであり、その時は「アサトアキラと泣いてばっかのヒルギ」という名義であった。
弾き語りを主体に活動していたアサトアキラ。その音楽に魅せられて集ったバンドメンバーによって結成されたのが泣いてばっかのヒルギである。

ライブ当時、まだバンドを始動させたばかりであり、音源も全く無かった状態であったが、この度名義を改めて、2013年12月に初の音源をリリースした。


「たましいのふれかた」と題された4曲入りの一枚。









アレンジは王道と言ってもいいんじゃないだろうか。
「アメニモマケズ」のあざとい転調だったり、「タマシイノウリカタ」の静と動だったり。どの楽器もおいしいポイントを押さえている。
そしてどの曲とも色がはっきりと分かれており、退屈させない。
いや、自分がこれまでライブで聴いてきた全ての曲を照らしあわせても楽曲が似ているような印象はまるでない。
王道という言葉を使ったけれど、こういうアレンジがちゃんと出来るバンドってそんなにいないような印象。




さらに、そんなサウンドにのっかる歌詞は間違いなく彼らにしか書けないもの。

例えば「君」と「僕」というキーワード。ある意味邦楽では腐るほど聞くワード。
浅いラブソングが多いのか。とふと思った。「君」と「僕」の言葉の力が薄く感じるのも多分それだと思う。
便利な反面曖昧な使い方が多すぎて、安易に使えない言葉だと思っているのだけれど、彼の書き方はまた違った。
「僕」は確実に歌手そのものであるし、「君」やあなたも、楽曲によって姿かたちは変われども、誰に歌っているのかがはっきりと伝わる。


涙の理由はいくつもある 嬉しい 愛おしい 悲しい 情けない
同情はごめんだけど今の君のもらい泣きに救われたんだ

(タマシイノウリカタ)

ハローハローグッバイの繰り返しで 今宵僕ら何を願う
(ハローグッバイ)

世界を創るのは下手くそなくせに僕好みの人創るのね
(もしも僕が神様だったら)


男の子感があるなぁと思う。奇跡は起こすものだと信じるし、かと思えば大切な人がいかに大切か、恥ずかしげもなく歌うし。
具体性を持った言葉の連なりで、誰のものでもない彼自身の物語が出来上がっている。共感するような気持ちは人によっては生まれないかもしれない。
でも、どの歌でも根底から愛情を感じる。

「彼ら」にしか書けないと記述したのも、実は、最初に載せた「タマシイノウリカタ」は作詞・作曲共にベースのさとうしゅうさくが担当した楽曲。
アサト色に寄せたのかは分からないのだけれど、アサトアキラが歌っていても、まるで彼の歌のように馴染む。全く違和感の無いつくりは泣いてばっかのヒルギの可能性をますます底上げするのでは。






ライブのMCで「出会い」ということに固執している姿が印象的であった。
初めて彼らを見たということは、いくつもあるライブハウスの中から、たまたまそこに居合わせたということ。そもそもライブに行く人がどれだけいるか。そもそも音楽好きな人がどれだけいるか。
キリのない可能性を追ってみると、どうしても奇跡的な出会いとなる。
そもそも考えてみると、人が出会うということ自体がすごい確率だ。でもそんなこと普段は考えない。


自主企画の際、来場者特典として出演者のインタビュー集をお配りしたのだけれど、そこから少し抜粋させていただく。



ふ…ふじーよしたか
ア…アサトアキラ


ふ バンドメンバーはアサトさんの歌をきっかけに出会ったとのことですが、僕が初めてアサトさんの弾き語りを生で見たときに、ライブハウスでの出会いとか一期一会感みたいなものをライブからすごく大切にしているように感じて、何かその「出会い」というものに特別な意識を持っているんじゃないかなと思っているのですが。


ア 俺の場合は、ライブとか音楽をやるのは、楽しいかと言われれば楽しいだけじゃなくて。ライブの日怖いんですよ。それはなんでかっていうと、もう一生会わないかも知れない人に好かれる嫌われるまであるということが。
例えば、もし俺のCDを買ってもらって、生活に残ったら一生会わなかったとしても残るじゃないですか。でもライブで出会った人の中で俺を忘れてしまったら、俺が生きてようが死んでようが関係ないじゃないですか。だからいい音楽残さなきゃなって全力で思いますね。(中略)

俺はライブハウスで活動してる人間だから、ライブハウスに来てもらえたらそれは嬉しいんですけど、必然的に生活に流れる存在になりたい。だからもう一生来てもらえないかも知れないけど、(中略)もし残ってれば、また出会うでしょうと。



人と人が出会うことがなければ愛は生まれない。
出会いに固執する彼が書く歌詞に愛情が宿るのは、自然のことのような気がする。
君が好きだ、出会えてよかったぜという愛に溢れた歌たち。もちろん「君」は同性でも異性でも関係ない。

全方位に向けた愛情を持って歌われる曲はもはや究極のラブソングなのでは。


これは偶然であるのだけれど、今回ご紹介したCDはライブ会場でしか買うことができない。
ぜひ出会って、ダイレクトに彼らの愛を浴びて、それから手にしてほしい一枚。


最後に、CDに収録されている楽曲ではないのだけれど、そんな出会いをテーマにしたものを一つ。アサトアキラの弾き語りで。