魅力というより魔力と呼ぶべきか。
なぜか惹かれてしまう楽曲、歌詞、キャラクター!
どれが欠けてもこの魅力は出せない。

音源だけでは分からない独特の雰囲気は、ぜひライブ映像で。



演奏シーンが冗長的に流れる映像というのは、PVのコンセプトが薄いような気がして、あまり好きではないのだけれど、このバンドは違う。

演奏シーン、場の雰囲気、全ての演奏者のオーラを含めて体感するべきバンドであるから。



トリプルファイヤーという4人組のバンド。このブログでもすでに何回か書かせていただいております。

「高田馬場のジョイ・ディヴィジョン」やら何やら呼ばれているけれど、個人的にはこの呼び名面白くて好きです。
ジョイ・ディヴィジョン感も分かるんだけど、高田馬場という地名が付くことによって生じるシュールな感じもこのバンドっぽいなと。

2012年5月にアルバム「エキサイティングフラッシュ」をリリースしてから、ひたすらライブを重ねていたが、このたび2月にニューアルバムの発売が決定。

「スキルアップ」と題されたこの一枚から、先日表題曲のPVが。
淡々とライブを映した映像なのだけれど、これがバンドの魅力を伝えるにすこぶる良い!








トリプルファイヤーの魅力は立ち振る舞いに集約されると思う。

バックを支える三人のタイトな演奏、微動だにしない立ち振る舞い。
ひたすら謎めいた仕事内容を説明をする歌詞と、メロディもないようなボーカル。ふにゃふにゃの立ち振る舞い。


前提となるのがこのギャップであると思うのだけれど、さらにまだ。

 

「スキルアップ」は駄目そうなやつの成長記。

東京フレンドパークを彷彿とさせる、アトラクションじみた仕事内容を説明する序盤から、へらへらしたボーカルのおかげ(?)でいかにも他の仕事を転々としてきてしまったかのような感じが伝わってきてしまう。
それが最後、感謝の気持ちを述べる場面に生きる。普段はお礼なんてしないようなやつなんだろうなという個人的な邪推も相まってなんだか感動的。
それに呼応して歓声を上げる観客もまたいい風景。

以前、MOROHAのPV「三文銭」の時にでも観客のことについて述べたのだけれど、観客の熱量が変わる瞬間っていうのは本当に魅力的。
「三文銭」の記事では、アウェーの観客をひっくり返して大きな歓声に変えたというのが大きな魅力に見えたのだけれど、今回はまた違う。

フィクションかそうじゃないかはもはやどうでもよくて、こんな歌詞の主人公をいつの間にか応援してしまっている環境がすごい。

母性?親心?
頑張れ!と思わせるのは、駄目そうなやつに見せているステージングの成せるものなのかも知れない。
そんなボーカルのステージングを際立たせるのは、やっぱりバックのミニマルなグルーヴ。
どの要素が欠けても魅力が半減してしまう。こんなに強固な結びつきをもつバンドはなかなか無いと思う。


そこに進めば 絶対これだというレバーがあるから
それを引くと 風船が膨らむ


この曲に関しては歌詞と歌詞との間が素晴らしいです。いつの間にか次の歌詞を楽しみにしてる感じがある。
そんな間を経て、「絶対これだというレバー」って歌詞がほんとにずるい。笑



1月20日、渋谷WWWにてライブを拝見。
新曲がいくつか聴けたけれど、どれも至高の出来で、興奮が隠せなかった。
次はぜひ新譜について書かせていただきたく思う。