PVに泣かされたのは初めてかも知れない。

MOROHAの魅力を再発見するとともに、PVを見ながらにして、ライブハウスで実際に見なければならない理由が垣間見えた。




今回PVをレコメンドするのはMOROHAという二人組。
アコースティックギターとラップという組み合わせで活動しているヒップホップユニットとでも言うべきか。



セカンドアルバム「MOROHAⅡ」を先月発売したばかりの彼ら。


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以前別のサイトで彼らのファーストアルバムのレビューを書いて、レビューなのに批判ゼロで絶賛してしまったことがあったのだが、今回の一枚もヤバい。


そのため、最初はそのアルバムをレコメンドしようかと思ったのだけれど、それを書くにあたって見ていたPVで思わず泣いてしまった。
恥ずかしながら、と前置きをつけようかと思ったけど、そういえば全く恥ずかしくない。


せっかくなので今回はPVに絞っておすすめしたいと思う。



ぜひ最後まで見るべし。








アンプを通して音量を上げる以外に、電気的な音を一切排除した彼らの音楽には、紛れもなく熱が宿っている。
自身についてを包み隠さず歌った、生身のMCの横には、生身のギターが。
悲しさ、悔しさ、闘争心、ハングリーさ、そういった感情をせき立てるように鳴らされるリフ。
トラックのようにリフ一つをひたすら繰り返すスタイルであるが、歌詞に合わせた感情の起伏がある。
強く弾いたり、速く弾いたり、爪弾いたりとその行為自体は些細なものであるが、音の雰囲気の変化を表現する繊細さは、生楽器でなければ出来ないものだ。

歌詞の雰囲気、語感の雰囲気、そしてリフの雰囲気。これが一体となって耳に届き、痛い言葉も優しい言葉も、しっかり心の奥底まで響く。
この、音の雰囲気の作り方が、他には無い武器である二人組だと思う。



この映像に心惹かれたのは、ライブでしか体験し得ないことが映像で残っているということ。
アルバムのリリースに伴ってのPVに対して、そういうことを述べるのもなんだか抵抗があるのだけれど、やはり彼らはライブ至上主義であると思う。

つまり、彼らの魅力はライブハウスで実際に見てみないと分からない。

とは思うが、これを見れば、なぜ見に行かないと分からないかが分かるんじゃないだろうか。



ライブに欠かせないのは観客の存在。

このPVの舞台は「GUNMA ROCK FESTIVAL 2013」
MAN WITH A MISSIONや10-FEET、ZAZEN BOYSにHEY-SMITHなどなど、名だたるアーティストが名前を並べたイベント。

観客の服装なんかを見ても、モッシュしてなんぼのライブを見に来たような雰囲気がほんのり伺える。

そんなイベントに出演したMOROHA。やはり彼らににとってはアウェーに見える場内。
だが、どうだ。アウトロでフロアに訴えかけた彼らは、大きな歓声を浴びて、演奏を終える。
その最後の歓声に、動画内の話に出てくる、「オセロの駒をひっくり返した」ような感覚を覚えたのだ。   


今 時代に風を吹かす

と言った彼らの思いが、そのとおりになった瞬間。
世界がちょっとだけ変わった感じがした。



実際に、ライブをより楽しむことのできるコツの一つに、この観客感があると思う。
そのアーティストを知ってるっぽい人が、曲中にどんな反応をするのか。
逆に全く知らない感じの人が、演奏終了後にどんな反応をするのか。

ここに、ライブを、ライブハウスを、そのアーティストを、より楽しむポイントがあるんじゃないだろうか。


この「三文銭」のPVではモニター越しにその感動を体感できるはず。そして、これが現場に行くともっとヤバいはず。


こういう瞬間にめぐり合えるからこそ、ライブハウスに行く価値がある。

知ってるアーティストの魅力を再発見できるのはもちろん、全く知らないアーティストに熱狂させられたり、その熱狂してる場を見て、熱狂したり。


MOROHAもっともっと聴きたい と思った人たちがこの曲でどのくらい増えるか。
自分もその一人であるし、この映像を見て、また一人でもそんな人が増えていったら。
きっとMOROHAの風が、より強く吹くに違いない。