2013年11月。新宿K's cinemaにて。
映画を観てきた。

トリプルファイヤーというバンドが音楽を担当しており、尚且つ興味深い内容だったので、こちらに感想をば。


「ちゃんと好き」って、どういうこと?
これ本当にいいキャッチコピーです。


o0480067912735762164[1]




「サッドティー」
という映画を観てきた。
今回の第26回東京国際映画祭で上演され、その反響もあってか、新宿K's cinemaでの上映は連日満席。
キャッチコピーと、紹介文、「ちゃんと好き」ということについての考察。という一文に惹かれた。


さらに惹かれたポイントがもう一つ。個人的に大好きなバンドが音楽を手がけていた。
トリプルファイヤーというバンドがそれを担当しており、さらに彼らの音楽がふんだんに生かされている映画であった。
とりあえず初観賞の衝撃からキーボードを打っているので、細かな点で違いがあるかも知れないけれど、ご容赦を。
ネタバレは無しでいきたい。でも観ている人しか面白くないかも知れない。これもご容赦を…。



監督は今泉力哉という人。
以前、大森靖子も出演していた「tarpaulin」という映画で知った。
以前コチラでも記事を書いた、音楽×映画のプロジェクト「MOOSIC LAB」にも参加しており、インディーズバンドとの関わりも実に多い。


そして、今回白羽の矢が立ったのが、トリプルファイヤー
このブログでもレコメンドさせていただいたことのあるバンドで、現在音源はアルバム一枚ながらも、独特のライブパフォーマンスと、次々と生まれてきている新曲によってますます目が離せない。

彼らのサウンドは一度聴いてもらったほうが早い。これはこれで衝撃的な出会いだった。




このサウンドが、映画館に響く。時にはBGMとして。時には劇中歌としてほとんどまるまる一曲!
しかもK's cinemaの上映では特別に音量を上げていたそうだ。分かってるね!



余白というのがこちらではキーワードになりそう。
この映画で目立ったのが長尺のカット。大体登場人物二人で会話をしていたりするシーンが多く、もちろんひたすら喋っているわけじゃない。
結構な時間を支配する沈黙が、良い意味でも悪い意味でも印象的。
沈黙があることで会話のリアリティが増すというのも一つあると思うのだけれど、この沈黙という余白があるお陰で、「今の話、お前はどうなの?」ってコチラ側に訴えかけているような、観客に咀嚼させる時間があったかのように思う。

登場人物はなかなかキャラが強い。
本人が良かれと思って二股をしているような人もいれば、好きな人が出来たから今の恋人と別れるという「ちゃんとした恋愛」をしている人が、それぞれの恋愛感をぶつけ合ったりするわけだけど、もちろん明確な答えなんてない。
そのタイミングでの余白は「じゃああなたはどっち側?」と問いかけられているような気がして、ドキっとした。


トリプルファイヤーの音楽も余白がある。演奏は全くスキが無くひたすらタイトなんだけど、歌詞の余白がすごい。
劇中歌として採用されていたのが、アルバム「エキサイティングフラッシュ」から「富士山」という曲。


富士山と僕は全然関係ない
それならばいっそ知らなければよかった



知らないほうがよかったってこともあるよね?
という会話から恋愛の話についての話に入るシーンがあった。
この映画自体、トリプルファイヤーの余白の拡大解釈で生まれたかのような、音楽との一体感を感じることができて、とても観ていて嬉しかったし、とにかくニヤニヤしていた。

もしかしたら、彼らの音楽って、どんなシチュエーションにも合ってしまうんじゃないのかな。
と思わせてしまうのは、余白の広さかと。




「ちゃんとした恋愛」ってそもそもなんだろう。これがこの映画のキャッチコピーにも当てはまる。


「ちゃんと好き」って、どういうこと?



これについて、競歩というスポーツがとっても象徴的だったように思う。
端から見れば、その独特のフォームがやはりへんてこに見える。
今にも走るぞコイツと思わせておいて、よーいドンで競歩で走り出すシーンは観客の笑いを誘っていた。

でも本人は至って真面目なのだ、
恋愛もココじゃないかと。
端から見ればおかしかったり、へんな関係に見えても、当人たちは至って真面目。当人にしか分からない関係性で、でもうまくいってるように見える。

へんてこさも貫くとかっこいい。
どんな恋愛でもなんだか素敵に思えてしまうような愛おしさが各キャラクターから漂っていて、どれもそのキャラクターなりの「ちゃんとした」恋愛に感じてしまうんだから不思議。

競歩している登場人物を眺めながら、二股について語るシーンがあるのだけれど、大きな象徴のような気がしてならない。

へんてこに見えるフォームも、走るという行為を当たり前に考えているからへんてこなだけで…と考え始めると少し歪んでこないだろうか?
競歩を見てそんなことを思ってしまった。




と、大きく二つの括りで拙い感想文を書いたのだけれど、やっぱりもう一度観たい。
すでに新宿での公開は終了していろのであるが、関東での再上演を期待してやまない。
これだけ満席だったのだからさすがにやるでしょう。


恋話を誰かとしたくなること間違いなし。自分の価値観、ちょっとだけ歪むんじゃないかな。
この記事を書き終えてすぐ、職場(販売業)がクリスマスモードになったのは何らかの暗示に違いない。