今回はTWIMYという女子中学生三人組のバンドについて。
いや、バンドというよりプロジェクトと言ったほうがよいのか。
そもそもそんな大それた感じになるかどうかは、これからの彼女たち次第といったところ。
大きな秘密を抱えた、彼女たちの面白さは何か。







TWIMYは女子中学生三人組のバンド。

ツイッターミュージックからとった名称の通り、三人ともツイッターアカウントを所持しており、細かい呟き(や文句)を毎日欠かさず放っている。


川井沙織(vo/gt)
絶賛不登校中。様々な大御所にタメ語ツイートで絡んでいく。小生意気で気に入らないことは容赦なく批判する。
@saori_TWIMY
ts
橘香深(ba)
落ち着いた口調のツイートが多く、皮肉も混じる辛口っぷりが特徴。どうやら三人のつぶやきの中では彼女のファンが多いらしい。
@kafka_TWIMY
tk
塩沢哲子(dr)
おっとりした性格。中学校についてなど、音楽以外のツイートも多い。他のメンバーと音楽の趣味が合わない。いきものがかり好き。
@tetsuko_TWIMY
tt

音源は一曲ずつYouTubeとニコニコ動画に上げられていて、以前このブログでも二曲目「RICKENBACKER」を紹介させてもらった。

やくしまるえつこ(相対性理論)を彷彿とさせる淡い歌声に、クリーンなギターとシンプルなベースライン、ドラミング。
飾りっけのない彼女たちの音楽は一曲アップされるとともに、ツイッター上で大勢のフォロワーからダメ出しが入る。川井詩織はその一つ一つにリプライを返して、そのツイートの数で自身のツイートが規制されるほど。


このやりとりが他のインディーズバンドとは圧倒的に違う特徴。インターネット上でのみ関わることのできる匿名性と、川井の小生意気な姿勢に、楽曲公開のたびに第三者からの容赦の無い意見が寄せられる。
メロディが弱いだとか、歌詞が分からんだとか、アレンジが単調であるとか、そんな意見を柔軟に吸収して、次の楽曲の制作に乗り出すのが彼女たちのスタイルの面白いところ。


そうして公開している音源は実はもう13曲にもなり、アルバム一枚作れるほどになった。
映像も歌詞字幕だけの素っ気ない内容から、最近は実写映像や手書きアニメを用いた手の込んだPVまで自作しており、ますます進化しているところ。
だが彼女たちがここのところ新たな局面に対峙している。

最初の音源からざわつかせていた、彼女たちの正体について。
と、それから。



そもそも、TWIMYの弾き語りカバーがニコニコ動画に上げられたことから全ては始まる。






歌声がそっくりだということ、マニアックなカバーであったことなどから、この歌い手の「いなまぐろ」=TWIMY三人説が巻き起こり、本当の意味での炎上バンドとなる。
様々なつぶやきのやり取りで正体に関しての憶測が飛び交ったが、そんな炎上の最中、彼女たちのスタイルを決定づける一曲が発表された。



「Perfect Suicide」





TWIMYの存在についての種明かしのような歌詞に、映像の最後、スタッフとして発表された二人の男女の名前。
そこにはいなまぐろとして活動していた、伊奈つばさの名前があった。

もう一人は、TWIMYの発端となるアイデアを彼女に持ちかけ、楽曲制作に携わっている橋爪裕という人。
結局のところ、バンドメンバーの三人はこの二人のスタッフが生み出した「キャラクター」であり、インターネットだけの存在であった。

三人がキャラクターであったことに幻滅したファンも多く、そのことに関してはフォロワー数や動画の再生回数の減少など、現実的な数字でそれらは目の当たりに出来てしまう。
実は正体不明の中学生三人組バンドとしてメジャーデビューの話もあったそうだが、メジャーでは自分たちの思うように表現が出来ないと判断し、この「Perfect Suicide」を公開したという。そして、この楽曲がきっかけで、メジャーデビューの話は立ち消えたそうだ。


しかし彼女たち(便宜上こう書く)のすごいところは、その正体をさらけ出した上で、さらに売れるためにもがいているところ。
貪欲に意見を吸収する姿勢については上記したが、その姿勢に拍車をかけているように見える。
ツイキャスでの生放送でスタッフ配信を行い、これからのTWIMYについてフォロワーと意見を交わしたり、さらに先日はスタッフの顔出し配信を行って新曲についての意見を聞いていた。
顔出しに関しては賛否両論あるのかも知れないが、この向上心に驚かされたのは事実。

実際顔を見たほうが熱意を感じるものだから不思議だ。

新曲「Jesus Christ's Coming」についても、スタッフの橋爪が、熱烈にこの楽曲のポイントを説くのとともに、
「俺はTWIMYの最高傑作だと思うんですよね。もっと再生数上がってもいいと思うんですけど…」
と話していたのがとても印象的だった。







「売れたい、音楽業界を変えたい」
という気持ちで、ここまで大きな事をでっちあげて、試行錯誤を繰り返してあがく様は、そこらのインディーズバンドよりも明確なハングリー精神を感じ、本当に興味深い。
持ち味のある三人のキャラクターと共に、必死に音楽業界を変えるべく突き進む姿が、実在している他のバンドよりもリアルな面白味があるというのもなんとも皮肉なものだけれど。


前回の記事では、完全に中学生の作った音楽として、こりゃすごいと書かせてもらったが、訂正と改めての応援の意味も込めてこの記事を書いた。
正体は明らかになったけれども、これからのTWIMYが非常に面白くなりそうな気がしてならない。

つたないながらもこの記事を訂正と含めて精一杯のレコメンドとしたい。