「MOOSIC LAB」という映画祭がある。


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MOVIEとMUSICを掛け合わせた造語が企画名となっており、一つの映画に一つのバンド(またはアーティスト)が密接に関わっている作品の集まった映画祭。

吉祥寺のバウスシアターという映画館で、この度上映があり、今回見ることができたのは3作。
終演後には大森靖子のミニライブもあり、贅沢な一夜だった。
せっかくなのでこの場を借りて感想を書いていきたい。







「viva!毒突きママ」
「どついたるねん」というミクスチャーバンドとの作品。
主人公であるどついたるねんのメンバー達が、突然怪しげなスカウトを受けるところから物語は始まる。
そんな怪しげなスカウトにのっかったメンバーは、やっぱり怪しげな場所に拉致されて…というお話。
どついたるねんの面々もなかなかの個性の持ち主であるが、それを上回る女優の破壊力。パツンパツンのボンテージに包まれた巨体の凄みは、物語の非日常感を助長させていた。


コメディなのだろうけど、ホラーに近い殺伐とした雰囲気も感じさせる作品。
冒頭、車で連れられるところで、どついたるねんが音楽を流した車内でめちゃくちゃにはしゃぎまわるシーンがひたすら良かった。音楽が無ければダメな若者っていう感じがとてもリアル。






「GREAT ROMANCE」
こちらはインストダブユニット、「あらかじめ決められた恋人たちへ」の作曲者兼鍵盤ハーモニカ奏者の池永正二が音楽を手がけている。
ある一人の女性と、男性の出会いから一生を添い遂げるまでを描いた壮大なストーリー。
ポイントはその壮大なラブストーリーが7分という尺に収まっていることと、相手の男性が小さな人形で出来ているということ。

無言劇の中で光る女優の演技と人形の「演技」。
ラブストーリーの構成自体はありきたりながら、展開の早さと人形の存在がフックになって、違和感とだんだんそれが無くなってきて自然に見えてきてしまう不思議さが、観客を飽きさせない一因に。
そして、それに合わさる音楽はやっぱりあら恋流の過剰なまでエモーショナルな楽曲で、この過剰さは無言劇にぴったり。
二人の他人が出会って一生を共にする奇跡がより感動的に演出されていた。








「トムソーヤーとハックルベリーフィンは死んだ」
「ガール椿」という広島のロックバンドが音楽から出演まで関わっており、全編広島を舞台としたお話。
片方は映画館スタッフ、片方はバンドマンの双子の兄弟が主人公。そっくりな二人はある日、入れ替わって生活をしてみることに…。というお話。
そして、欠かせないのは物語全体にただずむツバキという女性の気配。「大森靖子」扮する娼婦ツバキと謎の男装女子ツバキ、この同名の登場人物とも絡まっていき、入り乱れる双子の運命。

何よりも脇役含めて登場人物みんな個性的で魅力的。
ちょっと後半不条理なところもあるけれど、エンディングの清々しさに、ファンタジーのような感覚を覚えて、まぁいっかなんて思ってしまう。
ガール椿の音楽が一つテーマになっていて、映像と音楽が密接に繋がって展開されていく様は、今回見た中では一番企画の趣旨が理解できる作品であった。







終演後に簡単な舞台挨拶があり、そして大森靖子のミニライブ。

ラストの「さようなら」でギターを置き、歌いながら縦横無尽に駆け回る彼女の姿を映画館の客席で座りながら見るという体験はなかなか新鮮で、一人の少女が一人の少女を演じているのを見ているかのような錯覚が。
フィクションとリアリティをごった煮にして、たくさんの登場人物を自分の中に飼っているような彼女の音楽は、映画館という舞台の上ではライブハウスとはまた違った感覚で響いた。



この映画祭、MOOSIC LABは現在全国行脚中みたい。
せっかくだから他のプログラムも見てみたいのだけれど、東京に帰ってくるのは次は10月のシブカル祭らしい。

これは去年気になって行きそびれてたやつだ。と勝手に運命を感じているところ。