一体彼らはこのライブで何回メンバー紹介をしたんだろう。

バイオリン、谷崎航平。
ベース、おかもとえみ。
キーボード、ツネ・モリサワ。
ドラムス、服部ケンジ。
そして歌手の金田康平です。
We are THEラブ人間 from TOKYO!


巻き起こる拍手の最中に交わされる自己紹介を見て、

この五人の暴力ってやつ やさしさも憎しみも揃ってる
(犬の人生)

という歌詞を思い出した。


東京、名古屋、それぞれのワンマンに行ってきた。


son















会場のSEにはTHEラブ人間に縁のあるアーティストたちの楽曲が流れていた。
対バン相手として切磋琢磨した友人たち。音楽で喧嘩をし、音楽で認め合ってきたような仲間達と一緒に、ここまで積み上げて至ったワンマンであることの証明にも聞こえた。少年ジャンプにも通ずるようなこの独特の気持ちよさに包まれたまま、本編が始まった。


東京、彼らにとっては初の下北沢ワンマン。
これまで東京では渋谷クラブクアトロ、恵比寿リキッドルームをワンマンに選んできたが、下北沢の小さなライブハウスから活動を始めた彼らにとって、GARDENという舞台はまさに凱旋東京ワンマンにふさわしい舞台といえよう。


ツアーファイナルは名古屋。
「SONGS」と名古屋という街は切っても切れない関係にある。

「今はもう別れてしまった恋人と会うために名古屋に来ていた時期に書いた曲ばかり」
だと、名古屋のMCでVo.金田は語っていた。

「どんな恋愛をしていても、すぐに忘れちゃう。だから歌にして残している」

とも。
名古屋という舞台と、歌詞に刻んできたひどく個人的な思い出が相まって、さながら追体験をするような一夜に。



「一つのアルバムのリリースツアーというものは、延々一つのアルバムの曲を演奏することであって、こんな機会はなかなか無い。どんどん楽曲が良くなっていくのを感じました。」

と、Dr.服部ケンジが名古屋のMCで語った。

実際どちらのワンマンでも収録曲全てを演奏したが、ライブで体感してみると、今作は踊らせる要素の詰まった楽曲が非常に多かったように思う。特にベースとドラムが明らかにグルーヴを帯びていて、音源と全く異なる音響で浴びるリズムは非常に心地よかった。


ステージのギターアンプの上には太陽の塔のミニチュアと、そして金田の祖父の写真がステージを見守るように貼り付けられていた。
祖父の死を体験してから大きく変わった彼の音楽感。

去年の11月、ミューズ音楽院で行われた公開インタビューで、
「恋愛至上主義という看板が無くなるときはありますか?」
というような趣旨の質問に、
「恋愛至上主義という言葉にこだわってるわけではないから、歌いたいことが変わったら、そうではなくなるかも」
と答えていたのがとても印象的であったが、今作「SONGS」を聴いて、まさにこのことだったと気づかされた。

生命の始まりと終わりは病院から。白。
生命そのものを表す血のモチーフ。赤。
「SONGS」の盤面とジャケットはシンプルな白と赤で構成されている。

THEラブ人間は「ラブソング」を歌ってきたが、今作は辛辣なメッセージを帯びた。でも「愛」を歌っていることだけは変わらない。
前作「恋に似ている」に収録された楽曲と比べて、「生と死」というフィルターを通してろ過し、より純粋になった「愛」を歌い続けているのでは。

その生と死について顕著に歌われている、「体は冷たく、心臓は燃えている」で本編の幕を下ろした。







名古屋のラスト、観客から拍手だけでなく、「アンコール!」と呼びかけられて、嬉しそうに舞台袖からでてくるメンバー。
以前金田ソロの弾き語りのとき、「拍手だけでぱらぱらして、アンコールと言わない文化に怒った。アンコールってちゃんと言わないと、名古屋ではアンコールしない」と言ったことがあったようだ。
それを覚えていたファンの一人から巻きあがったアンコールの言葉。

しっとりと歌い始めた「抱きしめて」では、歌詞の三軒茶屋の部分を池下に変えていた。
途中の間奏部分ではメンバー紹介の後、

We are THEラブ人間 from…
名古屋でいいよな!


嬉しそうに歓声で答える観客。
先ほどのアンコールについてのやり取りもあり、名古屋に「帰ってきた」かのようなワンマンで、そこはまるで彼らのふるさとのようだった。

実際、東京でも名古屋でも彼らは「ただいま」と言った。
楽曲に思い出を収めるということは、その楽曲を書いた場所そのものをふるさとにしてしまう効力もあるようだ。
きっと彼らはどこへ行っても楽曲を通じてその場所をふるさとにしてしまうのだろう。



名古屋の終盤、「お前らの大好きな曲だろ!」
と言って始めた砂男。

東京の終盤、「世界一のバンドになります。」
と言って始めた砂男。


そしてやっぱりこの曲に帰ってくる。帰ってくるという意味ではある種ふるさとのような楽曲、「砂男」で涙ぐむ観客も見受けられた。

感情を揺さぶりつつ、踊らせる。相反するような泣きながら踊るという行為は、歌詞と曲の両立がなければならない。
「泣きながら踊れる夜はあるかい?」
そんな夜は、音楽の中でもごくごく限られた音楽を鳴らすことのできる彼らと作るべき夜であり、このワンマンはそれを証明するのに十分であった。



下北沢GARDEN
セットリスト

太陽と血の靴
病院
わたしは小鳥
犬の人生
悪党になれたなら
ラブパレードはつづく
銀河鉄道999
ちょっと梅ヶ丘まで
りんごに火をつけて(Light My Apple)
ウミノ
bedside baby blue
大人と子供(初夏のテーマ)
彼氏と彼女の24時(新曲)
これはもう青春じゃないか
アンカーソング
砂男
体は冷たく、心臓は燃えている

アンコール
きらり
東京

ダブルアンコール
京王線(観客からのリクエスト)



池下CLUB UPSET
セットリスト

アンカーソング
太陽と血の靴
病院
ちょっと梅ヶ丘まで
りんごに火をつけて(Light My Apple)
西武鉄道999
ウミノ
犬の人生
大人と子供(初夏のテーマ)
bedside baby blue
きらり
彼氏と彼女の24時(新曲)
これはもう青春じゃないか
ラブパレードはつづく
砂男
体は冷たく、心臓は燃えている


アンコール
抱きしめて
わたしは小鳥


ダブルアンコール
八月生まれのきみの結婚式