正式名称が見当たらず、疑心暗鬼でこのタイトル。
もしちゃんとしたタイトルがあったらご一報願います。
(スタッフの方からOKいただいた!ありがとうございます。)

アサトアキラ
新宿marbleを中心に活動しているシンガーソングライター。
ひと月程前に、たまたまライブを見る機会があって、一目惚れしてしまったので音源をまとめて購入させてもらった。
幾つものデモ音源の中に一枚、ライブダイジェストのDVDが。
それが今回レコメンドさせてもらう一枚である。

ライブパフォーマンスに目を惹かれた。
ライブハウスでの一期一会の大切さというのは、誰よりもインディーズのアーティストが感じていると思うし、感じていなければならないことだと思うが、彼はそれをしっかりと口に出して、曲中の歌とMCでの言葉でしつこいくらい訴えかけていた。なんてアツいヤツなんだ。それが第一印象。
赤裸々な歌詞と心地よいメロディセンスが第二印象。
そんな人のパフォーマンスが収められたDVDなんだから買うでしょう。






今回のDVDには、2012年12月の終わりから2013年1月まで、3つのライブがピックアップされている。


2012/12/27 新宿marble。
いわば本拠地とも言えるライブハウスで、キーボードをサポートに加えての二人体制。
クリスマスのエピソードを交えたMCから、ちょっとした一曲を披露してたりもするが、ピアノの音で繊細に彩られた「ごめんなさい」がハイライト。
あなたを傷つけてしまったことへの後悔の念のようなものが、鍵盤の音によく合う。


2012/12/30 小田原姿麗人。
楽屋(かな?)での本番前に「心の声」を歌う姿が収録されている。
緊張を感じさせない、ただただ音楽を楽しむようなその姿が印象的。でも見ようによってはストイックに直前まで練習を続けているようにも見える。こういうバックステージでのアーティストを見ると、なんだかその人の人となりに親近感が湧く。
本番中にギターが壊れたハプニング時のMCも収録されていて、このチャプターは彼自身の人間性が垣間見れる。


2013/1/8 渋谷O-Crest
バンドセットでのライブをたっぷり5曲。
1、2曲目にはなんとこれまでのチャプターから「ごめんなさい」「心の声」を再び収録。
バンドセットであるから、これまでに聴いたものとはまた別のアレンジとなっており、その広がったスケール感に気持ちが盛り上がる。
もちろん個人によってアレンジの好みというのもあるだろうし、1つのDVDにたくさんの曲を入れる選択をしがちであろうが、その中で選曲を被せてくるあたり、やっぱりアサト自身にとって大切な楽曲であるのだろう。
ついでにもう一つ。初めてライブで聴いた曲を初めて音源で聴いたときの高揚感、あぁこれがあの曲だったのねという感覚から曲自体に親近感を持つ経験をした方もいるかも知れないが、この構成もそんな感じ。一気に曲を好きになれる感覚がある。
もちろんこのあと続く3曲も全て勝負曲と言って遜色ないインパクトを持つ。
好きな人に出会えた奇跡を綴った「もしも僕が神様だったら」や、最後の曲「Happy end」は前述したような一期一会の大切さを述べた楽曲。
「Happy end」に関しては、そのハコに合わせて歌詞を変えてくるのもニクい演出。

Happy endの歌を唄ってHappy endの夢をみようぜ 僕らの生きてる世界はきっと素晴らしいって思いたい


「Happy end」の前の曲が個人的に大好き。
「タワレコで買った先輩のバンド」

昨日はバイトを辞めました 明日はバンド辞めようか 今日が最後のステージさ 明日は実家に帰ろうか

社交辞令で交換したアドレスの中、誰にも相談できずここまで悩む主人公が、タワレコに並ぶくらいまでなった先輩達の歌に救われたことへの感謝を述べた歌詞。

ただその一方で、
世界平和を祈る事より僕はここで歌っていよう
という歌詞から、有名になってしまった人への反発心のようなものも感じる。

メジャーに行ったやつはクソだというのはもちろん一部の意見であるが、的を得たところもある。
急に音楽性が変わったり、明らかに「大人の力」が加わったと感じるのはリスナーでさえ思うのだから、もし自分がアーティストだったとして、対バンしたことのあるような身近なバンドがそんな変化をしてしまっていたら余計その影響や違和感に気付くであろう。
そんなんになるんだったら、僕は僕に出来ることを。
そんなことを深読みしてしまうような一文で、印象的だった。


まさに一期一会の形でこのDVDのレコメンドを勝手に書いているのであるが、人や音楽と出会ったときの衝撃やらエネルギーというのは本当に計り知れないもの。
縁という言葉もあるけれど、この縁を大切にして、またライブへ聴きに行ってみたいと思えるエネルギーだった。
もちろんそのときは他のバンドとの一期一会も狙って。


最後はもう一つ、動画をチョイスさせてもらっておしまい。