今時の若い世代から、まさかこんな音楽が聴けるとは。
とプログレを知らなくても驚かされる力を秘めたバンド。

一つの映像作品として完成された、MVを紹介します。




クウチュウ戦というプログレッシブロックを演奏するバンドがいる。

正直自分としては、今まであまりプログレというものをちゃんと聴いたことがなく、キング・クリムゾン、イエスなど、どうしても元祖の名前しか出てこない。単純に演奏難度も高いと言われている。そのため、なんとなく若者が演奏するイメージはなかった。
そんな一方的なイメージを打ち破ってくれたのが彼らだ。

変拍子、インスト重視の楽曲、一曲の中の多様な曲展開など、プログレらしい要素をふまえつつも、泣けるギタープレイや、どことなく昭和アコースティックなテイストのある歌心の妙なマッチングが武器。



そんなクウチュウ戦がこのたびアルバム「プログレ」を発売した。
1stアルバムにしてこの題名。
今、プログレを鳴らせるのは俺達しかいないとでも言わんかのような堂々たるネーミングが、とても気持ちよい。
このアルバム発売にあたって、収録曲「佐知子」がMVとして撮影されている。


以前、ヤーチャイカ「めのう」の記事でも紹介したPVと同じ佐藤敬さんが監督。
これは見ておくしかない。






ギターとキーボードが織り成すいかにもなリフからの、突如として訪れる不穏なコーラス。
映像も衝撃的。まさに怒涛の展開から幕を開ける。


ストーリー仕立てになっている映像はよく見るけれども、音楽を編集して(時には曲中に音楽を止めて)演出しているのは斬新だった。特に曲中で音楽を止めてしまうのは、個人的にはタブーなような気もしていたので、もしかしたらその辺の批判もあるかもしれない。
ただ実際に曲中で音楽を止めるのは場面を展開させるためであり、その後流れる曲の展開とも合致していて、一つの映像作品として完成されている。

無音の後、全く別の曲が始まったようでいて、これも「佐知子」一曲の中であると言うのだから驚き。
よくあるロックやポップスを鳴らすようなバンドではなかなか表現出来ないと思う試みをすんなりやってのけたのは、プログレというジャンルの曲想の広さや、「佐知子」一曲の壮大さが成せるものなのでは。


冒頭のかっこよさから、シリアスな展開にちょっと可愛らしい音がのっかるとこんなにもコメディタッチに見えてくるのかと、クスっときてしまったようなシーンもあった。
ただ最後のシーン、泣きのギターに文字通り泣かされる女優の姿に、こちらまで心動かされてしまう。
この音楽性の広さ、これも全て「佐知子」一曲というのだから、プログレっていうのはある意味なんとも贅沢な音楽である。

これはクウチュウ戦「佐知子」をモチーフに映像化された、佐藤敬監督の作品であり、プログレという音楽の持つ懐の深さが存分に堪能できる作品となっているのでは。単なるMVやらPVとは一線を画す存在であると思う。
メンバーの演奏している姿が全く無いのも、一つの映像作品を完成させることに重きが置かれているからではないだろうか。

そんな彼らの演奏模様や、ステージパフォーマンスは、「白い十代」という別の曲のライブ映像が同時公開されている。抜かりない…。





個人的にはキーボードの方のステージングが好きですわ。かっちょいい。



もちろん「佐知子」の最後は、映像音源のようにあっさり終わるわけでなく、ここから渾身のキーボードソロが叩きつけられるわけなのだが、それはアルバムを買ってからのお楽しみっていうことですかね。


追伸:「佐知子」MV、おそらくではありますが、佐藤敬監督がインスピレーションを受けたとされる、北野武「アウトレイジ」を見るとより面白みが深まるような。この色使い、このシーン。