総勢16人!これだけでも一つの個性。
ひたすらに嬉しい音楽を鳴らす、大所帯インストバンド「画家」のアルバム。嬉しい音楽


歌詞の無い音楽のことを書いたので、今回はインストバンドのCDを取り上げてみようと思う。


画家という16人編成のバンド。
ざっと使用楽器を羅列してみると、
ギター、ベース、ドラム、キーボード、トランペット、アルトサックス、テナーサックス、アルトリコーダー、ピアニカ、木琴、鉄琴、ディジュリドゥ、その他賑やかなパーカッションの数々。
これだけでもまだまだ一部なので挙げてみるとキリがない。
こんな編成で果たしてどんな音が鳴るのか。PVがあるのでぜひ見てほしい。







こんな大編成だけれども、カオティックになりすぎるわけでなく、しっかり統率のとれた一つの音楽を鳴らしているのが特徴。
特にこの「遠足」に関しては、各パートそれぞれでソロ回しを多用しつつ、メロディはダンサブルであり、彼らの美味しいところが詰まった一曲であると思う。
これがアルバム一曲目にきているもんだからたまったもんじゃない。


続く「ツチノコ」「狩人」や後半に位置している「arabesque」では同じフレーズをしつこく繰り替えすトランス感で構成されており、さながら人力ミニマルミュージックといったところ。ディジュリドゥ大活躍。(「遠足」の冒頭のアレ)
ピアニカののんびりとしたフレーズが印象的な「祝祭」「愛-Amor-」は少しゆるめのリズムで平和なリラックス感。テンションを上げるものだけでなく、ちょっとした癒しの音楽も味わうことができる。「愛-Amor-」に至っては前半は完全にボサノバ。ジャンルの垣根なんざ初めから無かったかのように飛び越える。

ジャンルという話だと、「獅子舞」「旅役者」では三味線が主役を張り、完全に雰囲気は和。
祭囃子、演歌調、幼きころにどこかで聴いたことのあるような懐かしさに包まれる。
そして「画家の夜明け」と題された静と動の狭間でうごめくセッションでこのCDの幕は閉じる。

文字だけの表現では限りがあるが、ジャンルという枠に縛られることなく、ただ全員が嬉しくなる音楽ばかりを詰め込んだ、ギフトボックスのような一枚。
このバンド、PVやMVと題されて映像化されているものが1枚のアルバムに3曲もあるのだが、この表現の幅はどうしてもPVだけでは伝わらない。アルバム1枚、9曲を通して初めて分かるような気がする。



この集団、プロフィール(?)がとにかくいい。

「見た目も中身もバラバラな連中が、デカい真っ白なキャンバスに向かって、ワイワイ言いながら絵の具をブチまけていき、気が付いたら、壁や床や本人達もグッチャグチャに塗れ、何となく顔を見合わせてみんなで笑っていたら、素敵だね。」 
(公式HPから引用)

そう、彼らは絵、もしくはそれに似た抽象的な何かを描いている。

古くからクラシックでは「標題音楽」というジャンルで、風景から得たイメージや風景や出来事そのものを音楽で表現する手法があった。曲によっては「交響詩」なんてかっこいいタイトルをつけていたりも。
有名どころではヴィヴァルディの「四季」なんかは学校の授業やらなんやらで聴いたことがあるのでは。
他にも「展覧会の絵」なんかも標題音楽といっても差し支えないと思う。

画家を聴いてふとそのジャンルが思い浮かんだ。
彼らは音楽を通して絵を描いている集団であり、まさにこの「標題音楽」を地で行く存在なのでは。
例えばこの大人数で同じ景色を見て、それぞれの感情を音楽にアウトプットするとどんな音楽が広がっていくのか、考えるだけでとても楽しみ。それこそジャンルの垣根はやすやすと飛び越えるであろう。


もちろん逆のベクトルで、画家を聴いたリスナーも、そこから風景や感情を想像していくという聴き方も楽しいと思う。

音楽を聴いて、何を想像するかは十人十色であるけれど、どんな風景を見たか、どんな感情を抱いたか、何となく顔を見合わせてみんなで語り合えたら素敵だね!