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華やかなステージの上の姿、そこに至るまでの数え切れない苦労やら葛藤やら。
決して華やかなだけの職業ではない、バンドマンという姿をあられもなく晒した一曲。






3markets(株)は「感情の株式会社」をキーワードに活動する、埼玉のスリーピースバンド。
そのキーワード通り、たどたどしく歌われるのは自分の感情を直接訴えかけるようなストレート過ぎる歌詞。


今作「売れないバンドマン」にも飾ることなくありのままの不安や不満、小さな苛立ちが書かれている。
綺麗ごとは何一つとしてなく、泥臭い表現ばかり。
共感を一切断つ、ひどく個人的につづられる歌詞の中、何故だか同調し心が痛んでしまう。


一曲を通して構成されるのはだめだめな情けない主人公とそれを取り巻く音楽や彼女などの環境。


中途半端な街で 中途半端な人になった

こんな僕に何も言わない 君がどれだけ怖いか

音楽なんてやればやっただけ金と数字の話ばかりだ


その物語にすっかり感情移入してしまうが、これが売れないバンドマンというリアルな姿であり、ノンフィクションであることの衝撃。ステージの上で華々しく演奏するアーティストという一般的なイメージとのギャップ。ステージを降りたバンドマンはやはり普通の人であり、社会や環境、音楽との葛藤に悶々としている。
それを支えてくれる恋人への感謝、そんな一見当たり前のこともなかなか出来ないもので、このバンドは曲を通してそれを表現している。
だめだめな主人公がリアルなフィルターを通してそこまで歌い上げる姿に、感銘を受けてしまうのである。
泥臭い歌詞があるからこそ、その感謝の言葉が綺麗ごとではなく響く。


ちきしょう いつだって思うんだ
ありがとう ありがとう ごめんな ありがとう ごめんな


これさえ言えれば十分なのだ。


自分の感情だけを切り売りして歌っているのに、人の感情に土足で上がりこんで揺さぶりにくる迫力がある。
リアルな個人を表しているからこそ、きっと誰しもが抱いたことのあるようなちょっとした闇に気付かせてくれるのかも知れない。
この矛盾にも見える魅力が彼らの武器なのでは。

フルアルバムの発売を控えている彼らであるが、新作ではどんな感情を見せてくれて、気付かせてくれるのか、非常に楽しみである。