前代未聞のオーダーメイドアルバムというシステムがあった。FoZZtoneというバンドの企画である。

あらかじめ用意された曲の中から、自分で曲順を選んで完成させる画期的なアルバム。
現在「from the INNER KINGDOM」という二枚目も企画・発売され、販売終了となっている。

今回はその一枚目のアルバム「from the NEW WORLD」について、自分のコンセプトを振り返りつつ、メモがてら残していきたいと思う。
jkt_otr_from

2010年8月に企画され、同年12月に発売となったこの一枚。

ライブを通して新曲を発表し(ライブ音源としてiTunesで配信もされた)、その中から曲順を選んで応募すると、その曲順になってCDが届くというシステム。
そして選ぶのは曲順だけではなく、曲そのものも発表された10曲の中から8曲に絞らなければいけない。これがシビアではあるがこの企画のキモでもある。

2曲を捨て、それを踏まえて曲順から構成しなければならないアルバム。
これほど自分の音楽遍歴が表れるものは無いのではないか。


さて早速ではあるがこちらが曲順。

ロードストーン
4D
slow flicker
白鯨
レインメイカー
HELLO C,Q,D
Jaguer in the stream
海へ行かないか


(猿飛、Stone in the black bootsを除外)

4Dの歌詞について、途中で閃いてから抜け出せない考えがあった。
衣・食・住で三次元を展開するならば果たして次の次元では何が必要とされるか。

個人的には愛を推したい。恋愛でもいい。音楽でもいい。
生きていくだけのたかが三次元立方体からより深い四次元へ。

そこからこの曲順が出来上がっていった。


1曲目、ロードストーンはしっかりとビジョンが決まっていた。
アルバムを始めるにはぴったりのワクワクシンプルなドラミング。
ド定番、スタンダードなナンバーを初っ端に持ってきたかった。

2曲目、前述の通り、三次元から四次元へ展開する疑問を湧き上がらせるとともに、アルバムのテンションを一気に上げる。
さながらこの辺はセットリストを組んでいるかのような感覚。

3曲目、4Dで提示した問いの後、この曲を持ってくることによって、答えを愛として証明した。
一方で流れにぐっとブレーキをかけることになったが、ここまでの三曲それぞれ全く違った曲になったことから、幅広い表現に繋がったのではと思う。

4曲目、アルバムも中盤に差し掛かり、ここでまた違った気色のものを入れたかった。
怒涛の変拍子から雪崩れ込むようにレインメイカーに移行するのが個人的に大好き。

5曲目、白鯨から曲間ほぼゼロで導入。白鯨の乱暴なエンディングから、こちらのじゃらーんとアコギを鳴らすオープニングの対比が素敵。
白鯨を挟んで、slow flickerとはまた違った愛の形。

6曲目、ここでトーンダウン。演奏時間も長くとにかく重い曲のため、これを除いた意見も多かったようだが、FoZZtoneのダークな部分も入れておきたかった。
次の曲のサビ「未来はいつも闇の中だったじゃない」をよりよく聴くために闇の一面も欠かせなかった。

7曲目、ある意味この曲でエンディングのようなもの。ベクトルこそ違えどロードストーンに並んで、今回の企画でのスタンダードナンバーのように思っていた。(どちらもシングルカットに成りうるものを備えていた)
「未来はいつも波の中だったじゃない」の歌詞の通り、次の曲で未来を見に行く。

8曲目、あとがきというか。映画で言うとスタッフロールの後にちらっと挟まる会話劇や後日談のようなものが好きで、そういう風にしたかった。絶望の淵に立たされたようなこの曲の主人公が海で見る未来とはどういうものだろうか。提案で終わっているこの曲では計り知れない。



一曲一曲でコロコロ表情が変わるアルバムにしたかった。
でも言いたいことは変わらずにというのがなかなか難しかった思い出がある。


どの曲の歌詞でもどこかの曲に通じているような言葉があったり、深読みし甲斐のあるものばかりで参加した人は、悶々としながらでも楽しかったのでは。

アーティストでもないただのリスナーに産みの苦しみと喜びを与えてくれたこの企画は素晴らしいものであった。